もともとは、まっさらな物理筐体という意味で使われた「ベアメタルサーバ」。最近では仮想サーバとの対比で用いられることが多くなりました。ベアメタルサーバって物理サーバなの?クラウドなの?そもそもベアメタルサーバって何…?と思っている方もいるはずです。
今回は、その「ベアメタルサーバ」についてお話をします。
一般に「ベアメタルサーバ」や「ベアメタルクラウド」は、高度に自動化されセルフサービス化された物理サーバを指します。IIJのクラウドサービスでは、OSやハイパーバイザがインストールされたお客様専用の物理サーバがそれに該当します。
クラウドコンピューティング技術が発達した現代では、仮想サーバを立ち上げたり、仮想サーバをネットワークに接続したり、といった操作は比較的容易に行えるようになりました。これは、ハイパーバイザが備えているAPIをソフトウェアで制御することができるためです。
しかしベアメタルサーバでは、ソフトウェアからハードウェアを制御しなければなりません。実際には、ハードウェアの中に組み込またファームウェアを制御するのですが、制御する仕組みはメーカー・機種・バージョンによって異なるので、自動化は比較的難しいと言われています。
では、ベアメタルサーバを使うと、どんなメリットがあるのでしょうか。
1点目は、お客様専用の物理サーバをオンデマンドで利用できることです。コントロールパネルから申し込みを行うと、サーバ・ネットワーク・ストレージの各ハードウェアに指示が出され、OSやハイパーバイザのインストールと立ち上げが自動的に行われます。物理サーバを仮想サーバのように、即時利用することができるのです。
次に性能面です。仮想”専有型”サーバの場合、ハイパーバイザがハードウェアのリソースを消費してしまいます。また、仮想”共有型”サーバの場合、ハイパーバイザのリソース消費に加え、複数のユーザでリソースを共有するために性能が劣化してしまう恐れがあります。
ベアメタルサーバでは物理サーバが専有型で提供されるので、ハードウェアのリソースをフルに活用できます。
ベアメタルサーバは「ハイパーバイザを自社で管理したい」場合や、「性能を余すことなく利用したい」場合に最適です。
例えば、仮想サーバに割り当てるリソースや集約率(オーバーコミット率)を自由に決めたいケースでは、ハイパーバイザがインストールされたベアメタルサーバが有力な選択肢となります。
また、リレーショナルデータベースサーバの性能を向上させたい場合、サーバをスケールアップするしかない(スケールアウトできない)ので、より高性能を発揮できるベアメタルサーバが最適です。さらに、大量にメモリを消費する検索エンジンや、解析処理などにも適しています。
このような適性はオンプレミスにおける物理サーバにも該当しますが、ベアメタルサーバはオンデマンド性(即時性)も備えているため、いずれの場合であっても、必要なときに必要な台数をすぐ利用することができます。
最後に、IIJが提供するベアメタルサーバをご紹介します。
IIJでは2015年11月から、IIJ GIOインフラストラクチャーP2(IIJ GIO P2)の「プライベートリソース 仮想化プラットフォームVWシリーズ」として、VMware vSphere ESXiサーバを提供中です。また、2016年5月からは、同じくIIJ GIO P2の「プライベートリソース 物理サーバ」の提供を開始しました。
実はベアメタルサーバに至る歴史は長く、2010年からサービス開始したIIJ GIOコンポーネントサービスや、IIJ GIOの前身サービスであるIBPSでも多くのお客様に物理サーバを提供してきました。最新サービスのIIJ GIO P2では、これまで培ってきたノウハウを結集して、ベアメタルサーバサービスの開発に取り組んでいます。
IIJ GIOのベアメタルサーバは、性能を余すことなく利用したいというエンタープライズのお客様のニーズにお応えします。ぜひお気軽にご相談ください。
※2016年6月に弊社ブログに掲載した記事を、一部加筆修正しました。