突如として発せられた「緊急事態宣言」。言葉としては耳にしていたものの、実際にそれが現実のものになるとはなかなか想像しがたく、多くの企業・団体では対応に大わらわになったのではないでしょうか。
特に今回大きな衝撃となったのは、多くの人が想定していたオリンピック・パラリンピックなどのイベント、首都直下型地震や台風に代表される自然災害のような局所的なものとは異なり、全国的・全世界的規模での災害によるディザスター対応が必要になったことです。
局所的なものであれば、他の地域で対応することで問題は解決します。今回は、その対応場所すらなくなってしまうという大変厳しいものでした。
この状況下で、Web担当者はどのような行動をとり、問題を解決したのか。本記事では、IIJがWeb業務を支援している企業や団体のお客様の例をもとに、Web管理に焦点を絞って解説します。
不要不急の外出が制限される状況では、多くの人々が家にいるため、スマートフォンやパソコンを通して情報を集めることが多くなります。このことから、企業や団体によるWebからの情報発信は、情報を欲している人達にとって非常に重要性が高まっているといえます。
一方、多くの企業や団体のWeb担当者も、今回の緊急事態宣言によって、業務の状況に関わらずテレワークを実施することになったのではないでしょうか?
そんな困難な状況の中で、重要性の高まったWebを止めないためにWeb担当者はどうしたのか。スムーズにテレワークに移行しWeb管理ができたお客様は、普段から以下の3点を意識して業務にあたっていました。
この3点を普段から意識し、準備していたことで、今回のように急な要請にも短時間で対応することが可能だったのです。
主に、業務フローと権限設定を見える化しておくことが大切です。
普段何気なくルーティーンとなっている仕事について、図解化し、俗人的な業務をなくす。昔からWeb管理を行っている部署で多く見られるのは、知っている人だけができる業務が存在するということです。各種システムへのログイン権限や、アプリケーション内の権限設定状況と業務の流れが見える化されていれば、いざという時、何がどこで滞っているのか、何を最低限やればよいのかすぐに把握することが可能です。テレワーク下において業務をスムーズに移行できた企業の多くは、見える化がなされていました。
ディザスター対策において大切なことは、何かあった時にどういった体制で何をどうするのか決めておくことです。
例えば、東日本の拠点が使えなくなった場合、どこの拠点を使うのか。西日本?海外?など。また、データセンターやクラウドの冗長利用のみならず、回線の確保(有線、無線、衛星等)、拠点が使えないのか、システムが使えないのか、回線が使えないのか様々な組み合わせにおいて検討しておくことが大切です。そして忘れてはならないのが、それを維持する人材、体制を作ることです。企業によっては、毎年ある程度の規模で訓練を行っている場合もあります。
ディザスター対策における訓練は、テレワーク下における業務の継続と非常に親和性が高く、定期的に訓練を行っているお客様は、訓練時とほぼ同様に業務が遂行されていました。
業務の見える化や、ディザスター対策を普段から行っておけば、ある程度のことは問題なく対応できるのではないでしょうか。
ただどうしても、専門分野の知識が必要になってくる場面は出てきます。こういった時に、支援やアドバイスを求められるパートナーを確保しておくことは重要です。Webを管理していれば予想だにしない事象は必ずあるものです。テレワーク下に限って、アクセス集中が起こる、テレワークがうまくいかずWebの更新が滞る、いつもと違ったWebページを作らなければならないなど様々なことが起こります。普段からパートナーと定期的な情報交換を実施しているお客様ほど、すぐに業務体制に外部リソースを取り込んで業務を分担するなどし、スムーズにWeb管理を実施しているように見えました。
テレワーク下でもスムーズにWeb管理業務を行えた企業・団体では、上記3点を日頃から意識していました。まずは業務の見える化から地道に整備していき、外部リソースの活用までいけると、今回のような事態においても、強い組織でいられるのではないでしょうか。
今回のコロナ禍の件でいろいろ見えてきたことがありました。皆様もこれを機に自分たちの業務と上記3点を照らし合わせて、何がまだ整え切れていないのか確認してみるのもよいのではないでしょうか。