【IIJ GIOの裏側を語る#最終回】IIJ GIOが目指す未来

連載『IIJ GIOの裏側を語る』では、IIJのクラウドサービス「IIJ GIO」の安定稼働を支える仕組みを、サービスの開発者や基盤運用エンジニアが解説します。

最終回は、「IIJ GIOが目指す未来」についてご説明します。

クラウドを取り巻く環境の変化

既に、日本中の企業の約半数がなんらかの形でクラウドを活用し、特に資本金50億以上の企業の約8割がクラウドを利用しています。しかしながら、企業のクラウド活用が進むにつれて、クラウドの利点を享受できるだけではなく、課題があることも分かってきています。

弊社のクラウドサービス「IIJ GIO」の利用ユーザにアンケートを取ったところ、実に70%のお客様が複数のクラウドを併用しているというデータがあります。お客様に聞いてみると、もともとは効率化・迅速化を目指してクラウドを導入したものの、実際は、複数のクラウドを利用することでシステムが複雑化し、また、クラウドごとに異なる機能特徴を理解し安定して運用し続けることは、各社情報システム部門のメンバのスキル面、リソース面で大きな負担を抱えているとのことです。

図1:IIJ ユーザのマルチクラウド活用状況(2015年調査)

クラウドに対する考え方、様々な利用形態は日本の企業に確実に定着が進んでいるのですが、これからの時代はオンプレミスやクラウドサービスをいかに適材適所、効果的・効率的に利用するか、という点が重要だということを痛感しました。

新しいクラウドサービスコンセプト - Sharing Value & Intelligence -

これまでIIJ GIOは、インフラIaaSの機能そのものを提供してきました。高い技術力を用いた高信頼・高性能のパブリックリソースと、オンプレミスの環境をそのままクラウドへ移行できるプライベートリソース。また、IIJのクラウドサービスの特徴として、ハイブリットクラウド、マルチクラウド利用環境下でのお客様のシステム導入コンサルティング、設計・導入、ならびに運用を引き受けるサービスも行っています。

巨大なクラウドサービスを開発、運営するだけでなく、そういったお客様システムの運用を通じて培った技術情報、対応ナレッジが蓄積されて、サービス運用に寄与しています。

実際に、IIJが運用するノード数はすでに数万を超え、年間1,000万件ものインシデントアラートが発生していますが、蓄積されたナレッジを活用した自動処理機能を自社開発し、実に94%ものアラート対応を自動化することに成功しています。

これからのクラウドサービスは、こういったサービス運用で培ったノウハウ、技術情報の価値をお客様へ提供し、お客様のビジネスそのものを止めないサービスの提供を目指して行きたいと思っています。

例えば、あるシステムで発生した障害情報を基にしたリスク情報の展開や、運用負荷の大幅軽減、サービスシステムの開発や運用により得た知見を基に、コストを大幅に削減できるシステム設計をお客様システムに還元する形です。

次世代のサービス像としては、単なるIaaSやその付帯機能の提供だけではなく、蓄積され続ける膨大な運用ノウハウ・データ、AIを利用した自動処理機能を更に高度化させ、お客様システムの運用情報の可視化、予兆検知、さらにはシステムの自動運転を実現するサービスへと進化させていきます。

図2.サービスコンセプト

IoTへの取組 -真のOne Cloudへ-

「IoT」のキーワードを新聞紙面やインターネット上で目にしない日はほとんどないと言ってよいでしょう。あらゆる産業において、IoTに新たな成長の可能性を感じ、世界中が注目をしています。

IIJは創業当初からインターネットという技術革新を後押しし、従来の考え方、ビジネスモデルに変革を与えることを基本的なコンセプトとしてきましたが、IoTはまさにIIJが目指していた世界です。

一方、IoTに携わる方は理解されているかと思いますが、その適用範囲は、従来のITの範囲を超え、いわゆるOT、デバイスやリアルビジネス上の運用技術が必要となり、高度に多層化された複雑システムを必要とします。

IoTを検討しているユーザ企業の企画部門や事業部門の方は、デバイスから集められたデータから新たな価値を生み出すことを主目的としているにも関わらず、データを収集・集約することに多大な労力を必要としているのが現状です。

IIJには、従来から得意としてきたMVNOモバイルを始めとした多彩なネットワークサービス、さらには、WAN拠点のネットワーク機器の遠隔自動運用を可能としたデバイス管理の自社開発技術を有しています。コンセントにつなぐように簡単に、デバイスから自動的にデータがクラウド上に収集・集約され、データを活用できる世界を目指しています。

IIJのネットワークサービスIIJ OmnibusとクラウドサービスIIJ GIO、そしてセキュリティサービスを融合し、「真のOne Cloud」の世界を実現し、今後本格化されるIoT世界の到来に向けて、最適なIoTサービスを提供していきます。

図3. IIJ IoT

※2017年6月に弊社ブログに掲載した記事を、一部加筆修正しました。