EAI/ETLはデータ連携とい…
執筆・監修者ページ/掲載記事:11件
クラウドの利用が拡大し、複数のクラウドを組み合わせて使うマルチクラウドを採用する企業が増えています。オンプレミスとクラウドを併用するケースも多く、利用形態も多様化しています。
それに伴い、データのサイロ化が大きな課題になってきます。サイロ化すると管理が煩雑になり、データの利活用が局所化してしまうリスクが考えられます。
この課題解決策として、マルチクラウド環境におけるデータ連携ニーズが高まっています。どのようなメリットが享受できるのか、その方法や最適なツールの選び方、注意すべきポイントまで徹底解説します。
ビジネスのデジタル化に伴い、データの重要性が高まっています。例えば、販売履歴のデータを分析すれば、売れ筋商品や顧客の嗜好の変化などを捉え、より効果的な販売戦略やマーケティング戦略をスピーディに展開できるようになります。そのためには、様々なシステムのデータを活用し、多角的に分析することが必要です。
しかし、異なるシステムにデータが分散していると、データを取得したり転記したりといった人的な作業が発生します。この手間は大きく、入力ミスのリスクもあります。こうしたことから、オンプレミスを含むマルチクラウド環境のデータ連携ニーズが高まっています。
データ連携は主に専用のツールやサービスを使って行います。ツールやサービスを使うことで、既存環境にあまり手を加えず、効率的でリスクの少ないデータ連携を実現できます。
では分散するデータを連携することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。下の表にまとめました。
データ連携によって様々なメリットが期待できますが、その実現には注意すべき点もあります。そのポイントは次の2つです。
オンプレミスにあるデータの連携は、ファイルサーバにデータを集約して共有したり、データベースを参照する方法が一般的です。社外にあるデータはFTPによるファイル転送、メッセージングによるデータ交換などの手法が用いられます。
これらはデータ連携手法として以前から使われてきましたが、近年はクラウドの利用拡大に伴い、データ連携手法も多様化しています。SaaSのデータ連携は提供されるAPIを利用するのが一般的。IaaSやPaaSはその上で動くOSやアプリケーション、扱うデータも多様なため、連携のインタフェースも多岐にわたります。
従来の連携の仕組みに加え、マルチクラウドによってインタフェースが複雑化しているのです。異なるデータ形式を連携する場合は、データの加工・変換処理も必要です。
マルチクラウド環境のデータ連携はネットワークを介して行われます。データの中には社外秘の重要情報が含まれていることもあるため、その扱いには細心の注意が必要です。セキュアなプライベートネットワークを整備したり、ユーザやデバイスの認証を徹底する必要があるでしょう。自社のセキュリティポリシーに沿って、対策と運用を見直すことが重要です。
またクラウドに重要情報を保管して活用するには、情報の漏えい対策のほか、個人情報保護法やGDPRなどの法律やルールに適切に対応することも欠かせません。
オンプレミスを含むマルチクラウド環境のデータ連携には、いくつかの方法があります。代表的な方法は以下の通りです。
多くのSaaSには、クラウドベンダーが提供するAPIが用意されています。このAPIがSaaSとの接続口となるわけです。SaaSとのデータ連携はこのAPIを使うのが一般的です。
APIを使うためには、APIにリクエストするためのプログラムが必要です。リクエスト処理や取得したデータの制御・管理の仕組みはユーザ側で開発します。
多くのベンダーから多様なシステムやデータ形式に対応したデータ連携ツールが提供されています。その代表格と言えるのがEAI/ETLツールです。異なるシステムをつなぎ、多様なデータを連携できるだけでなく、データを統合したり、そのデータを処理・活用するワークフローを作成できるものもあります。
多様なAPIにも対応しているため、SaaSと連携する場合も、個別にAPIリクエストを開発する必要はありません。高度なプログラミングの必要がないローコード・ノーコード開発に対応していれば、開発やメンテナンスの手間とコストも削減できます。ツールの利用は、自前でサーバを構築・運用する形が一般的です。
iPaaSとはクラウド上で提供する統合プラットフォームのこと。多様なシステムやデータの連携・統合機能を備えています。多彩なAPIに対応し、オンプレミスとの連携も可能です。
しかもiPaaSはクラウド型のサービス。自前でサーバを構築・運用する必要はありません。アセットレスで様々なデータを一元管理できるため、新たなデータ連携手法として、近年注目が集まっています。
データ連携の手法はツールやサービスの利用が一般的です。ツールやサービスを利用すれば、連携の仕組みを一から開発する必要はありません。選定の際は以下のポイントが重要になります。
クラウドだけでなくオンプレミスとも連携すると、レガシーなデータ連携インタフェースが必要になります。自社のIT環境や用途を踏まえ、クラウドやアプリケーションのインタフェース及びデータ形式の対応状況を事前にチェックすることが重要です。
EAI/ETLツールやiPaaSを使いこなすには一定のITスキルが必要ですが、ローコード・ノーコード開発に対応していれば、高度なITスキルがなくても業務部門での活用が進みます。開発ベンダーに頼らず、多様なシステムやデータの連携・統合処理を内製開発できるため、対応スピードが向上し、開発コストも低減できます。EAI/ETLツールやiPaaSがローコード・ノーコード開発に対応しているかどうかは重要なポイントです。
マルチクラウド化が進めば、当然、連携先も増えていきます。連携するデータの種類や量、連携の頻度もニーズによって変わってきます。連携先の追加や修正、設定変更を容易に行えることも重要なポイントです。
また自前でツールを導入する場合は、サーバなどのインフラの構築・運用も必要になります。保守性はこの手間とコストも含めて考えることが大切です。
自社のセキュリティポリシーと照らし合わせ、ツールやサービスがセキュアな仕組みを実装しているかどうかも確認が必要です。例えば、データ暗号化やマスキングの仕組みを実装していれば、第三者への情報漏えい防止に有効です。
オンプレミス側のデータは、多くの場合、データベースやファイルサーバに蓄積されています。そのサーバはセキュリティを考慮してインターネットとの到達性を持たせず、インターネットの先にあるクラウドサービスと直接やり取りができない構成になっていることがほとんど。そのため、オンプレミスとクラウドサービスのデータ連携を行う場合は、ネットワークの考慮が必要です。iPaaSによっては、オンプレミスとの閉域ネットワークを一体的に提供するものもあります。こうしたサービスを使えば、別途ネットワークの整備を考えずに済みます。iPaaSを利用する場合はネットワークへの対応状況を事前に確認しましょう。
自前でツールを利用する場合は、構築コストに加え、インフラやネットワーク、サービス全体の保守・管理も必要になります。導入コストだけでなく、その後の運用管理に係る工数も含めた全体のコストを考え、最適な手法を選択することが重要です。
様々な選定ポイントを踏まえ総合的に判断すると、オンプレミスを含むマルチクラウド環境のデータ連携はiPaaSの活用が最適解と言えそうです。複数のベンダーがiPaaSを提供していますが、その中で注目したいのが「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」です。
これはデータ連携ツールとして広く利用されている「ASTERIA Warp」をベースとしたクラウド型サービス。kintoneやSalesforceなど、約90種類の連携アダプターが用意されており、あらゆるデータを簡単・セキュアに連携できます。もちろん、データ結合や加工、コード変換も可能です。サービス内のデータベース(PostgreSQL)を活用すれば、連携したデータの統合利用も可能になります。マスキング機能もあるので、機微データを匿名化してクラウド上で安全に取り扱えます。
ローコード・ノーコード開発の機能もあり、高度なプログラミングスキルがなくてもカスタマイズやワークフローの作成が可能です。マルチクラウド環境だけでなく、オンプレミスとも連携できるセキュアなプライベートネットワークも一体的に提供します。料金は月額16万円からと安価に利用できるため、スモールスタートで導入しやすいのも大きなメリットです。
DXを推進するためにはクラウドを利用するだけでなく、オンプレミスやマルチクラウド環境のデータをどう活用するかが重要になります。「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」はあらゆるデータをシームレスに連携・統合し、データドリブンなビジネスを加速させます。