EAI/ETLとは?それぞれの仕組みや効果的な活用法まで徹底解説

クラウド本部 プラットフォームサービス部

部長

鈴木 透

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クラウドの利用がますます広がりを見せ、複数のクラウドを使い分けるマルチクラウドも一般化しつつある一方、データの分散化という課題が顕在化してきています。
様々なクラウドやオンプレミスにデータが分散し、連携・活用が難しくなってくるとデジタルトランスフォーメーション(DX)も思うように進みません。
その解決策として「EAI/ETL」が注目されています。それぞれの仕組みやメリット、ツール選びのポイントや効果的な活用法まで徹底解説します。

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目次
  1. EAI/ETLとは?
  2. EAI/ETLツールの活用メリット
  3. EAI/ETLツールの特性と課題
  4. EAI/ETLツールの選定ポイント
  5. EAI/ETLの進化と新たな選択肢
  6. IIJが提案するEAI/ETLの新しいカタチ

EAI/ETLとは?

EAIは「Enterprise Application Integration」の略で、複数の異なるシステムを連携させ、データやプロセスを効率的に統合する仕組み及びそのシステムのこと。EAIが多様なシステムやデータをつなぐハブの役割を果たします。

データベースやファイル、クラウドサービスなどと連携することで、分散しているデータや業務プロセスを統合することができます。例えばシステムAからシステムBへのデータ入力を人手で行っている場合、EAIを使えば転記の手間がなくなり、データ入力後のワークフローも自動化できます。

ETLは「Extract Transform Load」の略で、データの抽出・変換・格納・処理を行う仕組み及びそのシステムのこと。

各種システムのデータを集約し、フォーマットを整えた上で格納先に書き出すのが主な用途です。大容量データの連携に適しており、大量データも安定して処理できます。

EAI/ETLはデータ連携という点では共通していますが、目的や用途は異なります。EAIはシステム間のデータ連携をスムーズにするための仕組み、ETLは大量のデータを整理して集約するための仕組みと言えるでしょう。

以前はEAI/ETLに相当するデータ連携、データ集約の仕組みをスクラッチ開発することもありましたが、現在は多くのベンダーからEAI/ETLツールが提供されています。今はこれらのツールを使うのが一般的な手法です。

EAI/ETLツールの活用メリット

多くのEAIツールは様々なクラウドサービスやアプリケーションに対して連携インタフェースを提供しており、様々なシステムや形式の異なるデータと柔軟に連携可能です。連携の仕組みを一から自前で開発する必要はありません。インタフェースの多様性はEAIツールの大きなメリットです。分散したシステム間のデータ連携をスピーディーに行えます。データのリアルタイム同期も可能です。

マルチクラウドだけでなく、オンプレミスのシステムと連携できるツールもあります。これを使えば、データ連携・活用の可能性は大きく広がります。

ETLツールは多様なデータの集約が可能です。形式の異なるデータの抽出・変換・格納処理を自動化します。データの集約を目的としているため、大量のデータも一括処理できます。基本的な機能はノンプログラミングで利用できるため、こちらも開発の手間はほとんど必要ありません。

EAI/ETLツールの特性と課題

EAIツールはデータのリアルタイム連携が可能な半面、イベント指向の処理なので大量データの処理にはあまり適していません。

ETLツールは大量データの処理が可能ですが、その用途は主に分析のためのデータの集約や統合。連携処理はリアルタイムではなく、基本的にはバッチ処理で行われます。即時性を求めるデータ連携には不向きです。

EAI/ETLツールはどちらも自社でサーバを構築し、運用も自分たちで行う形です。構築・運用の手間と、それに伴うコストを見込んでおく必要があるでしょう。

もう1つ、重要なポイントがあります。ネットワークやセキュリティへの対応です。クラウドに分散したデータの連携・集約には、当然クラウドとの連携が必須です。安全・確実にデータをやり取りするためには、セキュアなネットワークが欠かせません。情報保護のためのセキュリティ対策や運用ポリシーも見直しが必要でしょう。

EAI/ETLツールの選定ポイント

先述したように、EAIツールはシステム間のスムーズなデータ連携のため、ETLツールは大量のデータを整理して集約するために使われます。目的や用途は異なりますが、共通する選定ポイントを次にまとめました。

EAI/ETLの進化と新たな選択肢

EAI/ETLツールの目的や用途は異なりますが、クラウドサービスの普及により、近年はその境界が次第に薄れつつあります。例えば、ETLはDWHやAIで分析する前にデータを変換・統合するために使われることが多いのですが、昨今はDWHやAIをクラウドサービスとして提供する形態が増えました。そこで、データ連携ツールはデータの抽出とクラウドへの集約のみを行い、大量データの変換と統合はクラウド上の膨大なコンピューティングリソースを活かして行うスタイルに変わりつつあります。これをELT(Extract Load Transform)と呼びます。

このような処理方式の進化により、従来は大量データの変換が苦手であったEAIツールでも、ELT処理であれば対応できるようになり、クラウド上のDWHへのデータ統合にもEAIツールが利用されるようになっています。

一方、ETLツールは様々なクラウドサービスへのインタフェースに対応するように進化を続けており、インタフェース対応の豊富さが特徴であったEAIとの差はなくなりつつあります。こういった背景の中、EAIとETL双方のメリットを併せ持つデータ連携ツールとして「iPaaS(Integration Platform as a Service)」の注目度が高まっています。

iPaaSは複数のクラウドやオンプレミスのデータ連携機能を提供するクラウド型サービスです。連携したデータを一元的に統合できるのはもちろん、連携したデータを活用したワークフローを作成・実行できるサービスもあります。これを使えば、業務の自動化が進みます。EAIとしても、ETLとしても使える点が大きなメリットです。今後はiPaaSがデータ連携ツールの主流になっていくでしょう。

IIJが提案するEAI/ETLの新しいカタチ

市場にはいくつかのiPaaSが提供されていますが、その中で注目したいのが「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」です。

クラウド上のプラットフォームをベースにEAI/ETLの主要な機能を提供します。kintone、Salesforceなど約90種類の連携アダプターを実装し、多様なシステム及びデータ連携を容易に実現できます。

ローコード/ノーコード開発にも対応しています。処理機能のカスタマイズはもちろん、データ連携処理やその後のワークフローも容易に作成可能です。

オプションのデータベースサービスを活用すれば、連携したデータを統合したデータベースをクラウド上で構築できます。アセットレスなので初期費用を抑え、運用も効率化できます。

IIJのネットワークインフラを活用した、セキュアな「プライベートネットワーク」もセットで提供します。個人情報などの機微データを匿名化する「データマスキング機能」など、データセキュリティに配慮した機能も充実しています。

既に多数の企業が採用し、大きな成果を上げています。夕食用ミールキットの宅配サービスを展開するヨシケイライフスタイルはその1社。kintoneとAWSの業務システムのデータ連携基盤を短期間かつ低コストで実現しました。既存資産を活かしつつ、データとローコード/ノーコード開発の活用により、業務を効率化する「現場発」のアプリも数多く生まれています。

DXを実現する上で、データはなくてはならないアセットです。そのデータが各所に分散したままでは活用は進みません。「IIJクラウドデータプラットフォームサービス 」は既存インフラにほとんど手を加えることなく、多様なデータの連携・統合を実現します。データの価値を高め、DXを加速させる有力なソリューションとなります。