◇ 本記事は後編です。前編も併せてご覧ください。
井原様
何人か採用していますけど、何でもできる人とか、元気な人で募集するとかえって来てくれないので「こういうことがやりたいんです、こういう専門性を求めています」と募集しています。なので、特定の分野に秀でている人ですね。例えば、プロジェクト管理をずっとやっていましたとか。弊社はそういう人が欲しい状況なので、そのように募集しています。
園様
情シスでは採用していないんですけど、逆にSIの方から情シスに行った人は何人かいたりします。やっぱりお客さんに言われたことだけをやるというよりも、自分ごととして働きたい人はいるんだなと実感していますね。
籔田様
募集をかけた時期があって、あんまり集まらなくて取り下げちゃったんですけど。そのときはシステム選定と導入ができる人で募集をかけてて、何人か面接はしたんですけどマッチする人がいなくて。
籔田様
ゼロじゃないです。理由としてはキャリアップ。弊社でスキルを身に付けて、そのスキルを武器に転職していく人が多いですね。
井原様
私3社目で、会社の状況も業種も違いますけど、使っているフレームワークは同じで使えているんで、共通性は高いと思いますね。共通性が高いおかげでスキルアップもしやすいと思いますね。
井原様
意識的にはやりたいことも変わっていないし、やってることも変わっていないので。例えばフレームワークでいうと、COBITとかPMBOKとか色々あるじゃないですか。あのIT周りのフレームワークってどこに行っても使えると思うので、フレームワークに沿ってスキルを上げておけば、どこでもポータブルかなっていう感じがしますね。
籔田様
やりたいことが明確な方ですね。例えば、基幹システムを導入時に、その基幹システムを導入することで、ここの部分の効率化を図りたいとか、この不具合を解消したいとか、自分なりのビジョンとか目的を持ってる人、定義付けができる人。期待を超えるようなところ、いい感じにストレッチしたゴール・目標を自分で置いて動ける人は活躍していますね。
園様
自分のやりたいことと会社に求められていることの一致は難しいんですけど、求められていることに対して、自分なりに考えて仮説を立てて、進められる人は成長すると思っています。
井原様
出世している人はどんな人ですか?と捉えたときに大きく2つパターンがあって、お二人が仰っていた自発的に行動できる人もいるんですけど、一方で言われないとやらないかなと思って「このとおりにやってみて」と言うと、地道にそのとおりやって成果を出す人もいて。弊社の場合は業績目標を年1回作るんですけど、そのときに目標通りにできたら自分の評価は上がると思っている人が多い。評価を高い順にABCの3段階だとすると、ここまでやったら上司の期待どおりで「B評価」、こんなことができたら上司はそこまでできると思っていないので「A評価」ですねというのを自分の業績目標に書かせています。「それがやりたいんだったらこのやり方でやったらいいよ」って言うと、そのとおりに地道にやる人がいて、フレームワーク通りにやるからちゃんと成果が出て昇格する人もいますね。
籔田様
仕事以外でも、自分自身でPDCAを回していることっていっぱいあると思うんですよね。それをどう仕事にフィットさせるかって考えたときに、この仕事をやったらこうなるだろうみたいな理由を付けるんですよね。そうすると勝手に自分でモチベーションを上げて、勝手にPDCAを回し始める。辛い仕事でも何かしらの幸せを生み出すそうとすると、人生を幸せにできるんじゃないかと思います。
園様
上手くサポートできる上司も必要ですよね。個人で判断して進めると、優先順位の設定を誤る可能性もあるから。
井原様
IT部門の人って「ありがとう」って言ってもらうと嬉しい、困っている人を助けてあげたい、役に立ちたいと思う人が多いなと思っていてですね。そうなると困ったなと思うことは、ユーザに対して、嫌がるかもしれないけど正しいことをやってもらう役割と、ちゃんと考えて迷惑をかけないようにやる役割と同時に両方やるのは難しいんですよね。だから「ありがとう」って言ってもらいたい人は、物事を正しくやってもらう役割にした方が幸せな機会は増えるかなと思いますね。やっぱり役割は分けといた方がいいかなとは思いますね。
籔田様
これはみんなの幸せになるはずだって思う仕事をなるべく選んで、そう思われなかったらそうなるように工夫しながらやると、モチベーションの維持になるかなと思いますね。
園様
チャットでも「システムは動いて当たり前と思われていて評価されない」という話がありましたけど、感謝される場面を自分が作っていかなきゃいけない。
井原様
我々IT部門も、経理部が財務諸表をミスなく作成したり、人事部がミスなく給与計算するのは「できて当たり前」と思っていて、その裏側の苦労は知らないし考えることもないので、お互い様だし不公平でもないと思います。IT部門長の立場からすると「システムは動いて当たり前」はそうなんですけど、そのためにやってる努力があるじゃないですか。でも言われないと分からないので、それはちゃんと発信していかないといけないと思うんですよね。
井原様
専門性を獲得してっていう意味合いで言うと、色々あるなと思います。1番母数が多いユーザ企業のIT情報システムだと、サービスをデリバリーする、システムを開発したり運用したりしている人が多いと思うんですけど、仮にそこを出発点だとしたら、その道で腕を磨いていくっていうのもあると思いますし、品質保証とかサービス管理に行くとか、サービスデリバリーの中でもキャリアパスがあると思いますし、ちょっと違う道だとプロマネに行きますもあると思います。また、ちょっと違う道だとユーザ部門との窓口になるような役割、あとはアーキテクチャー側に寄っていくとか、ガバナンス系とか、セキュリティとか本当に色んな道のりがあるなと思いますね。
井原様
会社ごとに全然状況は違うと思いますけど、弊社の場合は専門性ごとに組織を割っていて、給料はジョブサイズに連動してるので、専門性のタワーごとのラインの長にいった方がお給料は上がりますね。
井原様
出世したくないよという人もいますね。出世しないからキャリアのパスがないって思わなくていいと思いますけどね。
井原様
あまりないですね。専門性を高めて自分を成長させたいっていう話と、その職位を上げたいっていう話は似てはいますけど、同じではなくて。
園様
ある程度、専門的に組織を分けているので、その道で良ければ、その道の中で課長、部長になったり。部長から上になるとCIOとかになるので、専門以外のところもやらなきゃいけなくなる。スペシャリストについては、若くてスキルは持っているけど給料を高くする理由として、その職位をつけて、課長じゃないけど課長以上の給料をあげるとか、その人の価値を評価するために使っていることが多いですね。スペシャリストの人が将来、課長になったりすることはあると思うんですけど、課長になるには何年働かないといけないみたいな条件があって。
園様
繋ぎとめておきたいし、やっていることに対してきちんと給与、報酬を払ってあげたいですね。
籔田様
情シス部門の人数は少ないので、きっちりしたパスって作りづらいとは思うんですよね。大きい会社ならいいんですけど。大体2、3人ぐらいでやっている人たちで、どうやったら給料が上がるかっていうと、経験を積んでいくしかない。課題を解決するために、私はこれをやりますと、その課題を解決したら、それが今度職歴になるんですよね。そういうのを繰り返していく上でキャリアっていうのは作られていく。経験がある程度積まれると、たぶん大手に行けるかもしれない。
井原様
先程の「スキルアップで何をやっていますか?」というスライドですごく違和感があって、何かスキルを獲得するときって、1割が座学、2割が人がやってるのを見て学ぶ、残り7割は自分でやってようやく獲得ってよく言われると思うんですけど。どちらかというと1割のところを頑張っているような気がするんですよ。なので、普段の仕事でやりたいことをやってスキルを獲得したら1番効率がいいんじゃないかと思いましたけどね。
籔田様
キャリアアップするにも、自分の職務経歴書に何の本を読みましたって書かない。大事なのは、何をやりましたですよね。
園様
私もそのとおりで。お客様向けのSIをやっているとなかなかそういうことができなくなってくる。情シスに入ったのも、自らやりたいことを現場感覚を持ってやりたいと思ったからで。自分は趣味と言っていますけど(笑)。
籔田様
いかにそういう状況に自分で持っていくかが大事ですよね。
「IIJ 情シスBoost-up Project」では今後も情報システム部門の皆さま向けに、イベントを定期的に開催していきます。最新情報は以下のサイトからご覧ください。