ITSM(ITサービスマネジメント)とは? ITSMの全貌とメリット、その実践的アプローチを徹底解説 – ユーザを主役にしたITサービスを考える

ビジネスのデジタル化が重要な経営課題となる中、ITの重要性がますます高まっています。情報システム部門には、ビジネスや業務を支えるITサービスを高品質かつ安定的に提供することが求められています。従来の管理や運用手法では、この期待に応えることはできません。有効な手立てとなるのが「ITSM」という仕組みです。ITSMとはどのようなもので、どんなメリットがあるのか。具体的な実装方法とともに詳しく解説します。

ITSMで業務を効率化する、情シスのお助けツール
サービスガイドブック
ダウンロード(無料)
目次
  1. ITSMとは?ITサービスの品質と安定性の向上がより重要に
  2. ITSMの主な管理項目とITILとの関係性
  3. ITSMとITOMの違い
  4. 自社に必要な管理項目を絞り、できるところから始める
  5. 運用の効率化・標準化にはITSMツールの活用が有効

ITSMとは?ITサービスの品質と安定性の向上がより重要に

ITSMとは「ITサービスマネジメント」の略称で、ITサービスを適切に管理するための仕組みのことです。その目的は経営やビジネスの成長に貢献する、より良いITサービスを提供すること。社内ユーザを起点として最適なITサービスのあり方を考え、継続的な改善によってその実現を目指していきます。

では、なぜITSMが必要とされるのでしょうか。背景には情報システム部門の役割の変化が大きく影響しています。ITシステムを開発し運用保守するだけではなく、社内ユーザが安心して業務に専念できるITサービスの提供が重要なミッションになっているのです。

そのためには適切なユーザサポートを提供し、ニーズの変化に迅速に対応できるマネジメント体制が欠かせません。また昨今はITガバナンスの実現に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)などの認証・評価制度の取得が強く求められています。こうしたことから、近年ITSMの必要性が高まっています。

(資料DL)ITSMで業務を効率化する、情シスお助けツールのガイドブックを差し上げます。
ダウンロード(無料)

ITSMの主な管理項目とITILとの関係性

そのITSMは多くの場合、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)のベストプラクティスに沿って実施されます。ITILは英国の政府機関が取りまとめた、システムの運用管理業務の国際標準的なガイドラインです。サービスオペレーション に分類される主な管理項目には「インシデント」「問題」「変更」「リリース」「リクエスト」などがあります。

具体的には監視システムで検知したアラートのうち、問い合わせやセキュリティ関連など何らかの対応が必要なものを「インシデント」として記録します。その中で根本解決に時間を要するものや重大事案は「問題」として管理し、その問題解決のためにシステムの変更が必要なものは「変更」と「リリース」で管理します。ユーザからの設定依頼などは「リクエスト」に分類されます。

ITILではITサービスをマネジメントする方法論が体系的に整理されています。これを参考にすることで、組織に適したITSMのプロセスや手順を作成しやすくなります。

なお、システムの運用管理業務を最適化する仕組みとして、ITSMと別にITOM(IT運用管理)という仕組みもあります。情報システム部門はITSMだけでなく、ITOMへの対応も必要なのでしょうか。

ITSMとITOMの違い

ITSMは社内ユーザの満足度や利便性向上を目的としているのに対し、ITOMは情報システム部門のシステム運用の最適化に向けたもの。ITOMではシステムの構成要素(ハード、ソフト、ライセンスなど)の管理が重要とされます。市場でITSMに構成管理をセットにしたツールも広く提供されていることもあり、この2つは混同されがちです。しかし、システムが最適化されれば、自ずとITの利便性は向上していきます。つまりITOMがうまくいけば、ITSMの向上にもつながるので、必ずしも2つを明確に区分けして考える必要はありません。

(資料DL)ITSMで業務を効率化する、情シスお助けツールのガイドブックを差し上げます。
ダウンロード(無料)

自社に必要な管理項目を絞り、できるところから始める

ITSMがカバーする管理プロセスは多岐にわたります。すべてを一気に実装するのは現実的ではありません。管理プロセスの一部を先行採用するなど、必要に応じて使われるケースがほとんどです。

どこにフォーカスするか。どこから始めるか。これは企業の置かれた状況をもとに判断していきます。例えば、障害監視と結びつけてインシデント管理から始めるのも一つの手です。昨今はマルチクラウド化が広がりを見せ、情報システム部門が監視・管理するITインフラは多様化・複雑化しているからです。そこから発生する膨大なアラート管理は大きな負担です。対応が間に合わないと重度の障害に発展し、システムが使えなくなる――。不十分な管理のままシステムアップデートした結果、動作が不安定になってしまう――。そんなリスクも懸念されます。

障害・アラート監視はITサービスの安定運用に欠かせない仕組みの1つです。監視アラートを厳選しインシデント化して管理し、そこから問題事象を整理するといったアプローチを採ることで、ITサービスの品質と安定性向上につながります。

ITSMはITサービスを適切にマネジメントするための仕組み。そのやり方はさまざまで、障害監視やインシデント管理にExcelを使っている企業も少なくありません。しかし、膨大なアラートやインシデントを一つひとつシートに起票するのは大変な手間です。ミスや漏れも発生しやすくなります。複数の担当者で管理している場合、誰かが起票やチェックでExcelを使っていると、ほかの人は作業を行えず、タイムリーな対応が難しくなります。

円滑かつ正確に作業を行うにはITSM用のツールを利用するといいでしょう。特に監視アラートの発生数は膨大なので、これを自動起票できれば現場の負担を減らし、ミスも激減できます。ツールを使えば、チームとしての情報共有も促進できます。過去のインシデントやその対応履歴をナレッジとして活用できるため、作業の属人化を防ぎ、障害対応も均質化・迅速化するでしょう。

運用の効率化・標準化にはITSMツールの活用が有効

このようにツールを使って、まず必要な管理プロセスの運用定着を図り、そこから徐々に適用範囲を広げていく。これが無理なく、かつリスクも少なくITSMを組織に実装していく現実的なやり方です。

IIJはこのITSMの運用をサポートするツールを提供しています。それがシステムの監視・運用業務を自動化する「IIJ統合運用管理サービス」(以下、UOM)です。

IIJがSIやアウトソーシングサービスで培ったマルチクラウド運用の技術と知見をもとに開発したサービスです。構成管理は社内や複数のクラウド上に分散したシステム構成情報(インベントリ)を自動収集し、一元管理を実現します。ITSMツールは、多様な管理プロセスに対応したワークフローテンプレートを提供します。これを活用することで、システム運用業務を標準化・可視化し、ITサービスのマネジメントと継続的な改善を効率化できます。手間のかかるインシデントの記録も、アラートの発生から通知、対応、復旧まで、タイムラインとして自動で行われます。

ITSMはより良いITサービスを提供し、ビジネスの成長に貢献する上でも大切な仕組みです。システム運用の負荷を下げるだけでなく、社内ユーザの満足度向上に寄与します。まず情報システム部門の課題を整理し、導入ステップを検討する。その上で最適なITSMツールを活用し、自社に合ったマネジメント体制を目指しましょう。IIJはUOM及びITSMツールの提供を通じ、お客様のITSM実装を強力に支援します。

<よくあるご質問>

ITSMとは何ですか?
ITSMとは「ITサービスマネジメント」の略称で、ITサービスを適切に管理するための仕組みのことです。その目的は経営やビジネスの成長に貢献する、より良いITサービスを提供すること。社内ユーザを起点として最適なITサービスのあり方を考え、継続的な改善によってその実現を目指していきます。詳しくはこちら

ITSMとITOMの違いは?
ITSMは社内ユーザの満足度や利便性向上を目的としているのに対し、ITOMは情報システム部門のシステム運用の最適化に向けたものです。詳しくはこちら