【アカウント管理を自動化】情シスの業務負荷を激減させるデータ連携ツールとは?

サービスプロダクト推進本部 営業推進部 クラウドソリューション課

金沢 直輝

データ連携を中心に、IIJのクラウドサービスの推進に従事。業種・業態を問わず、幅広いお客様をご支援。

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こんにちは。IIJのクラウド製品を中心にプリセールスを担当している金沢です。
様々な業種・業態のお客様の課題をお伺いする中で、最近、特に増えているのが「システムのアカウント登録/更新」に関する内容です。実際、IIJが実施したアンケートでも、74%の企業がアカウント登録を手作業で行っているという結果が出ており、情報システム部門の多くがこの業務に課題を感じていることが明らかになりました。

(関連記事)74%が手作業!アカウント登録を複雑にする“システム間ギャップ”

本コラムでは、そうした現場の声を踏まえ、情報システム部門の「アカウント登録/更新の手間」を大幅に削減できる「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」について、実務視点で解説します。

目次
  1. 現場でよく聞く課題と声
  2. 現状の対応策とその限界
  3. アカウント連携の課題を解決する「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」とは?
  4. ID統合管理サービスとの連携による相乗効果

現場でよく聞く課題と声

「4月の異動シーズン、毎日が“情報のコピペ地獄”でした」
私がご支援したある企業の情報システム部門の担当者様は、そう振り返っていました。人事から届く入社・異動・退職の情報を元に、Active Directory(AD)、経費精算、勤怠、顧客管理、基幹システム…と、どんどん増えていく10以上のシステムに同じ情報を手作業で登録/更新。CSV連携ができるシステムもあれば、できないものもあり、フォーマットもバラバラ。
「“姓・名”を“姓名”に変換するだけで1時間かかることもありました」
こうした作業は、単なる“手間”ではありません。更新漏れや入力ミスが、セキュリティ事故や業務トラブルにつながるリスクも潜んでいます。

このような課題は、特定の企業に限った話ではありません。IIJが実施したアンケート結果からも分かる通り、多くの企業では情報システム部門の業務負荷として、アカウント情報に関する登録/更新作業が慢性的に発生しています。

実際のアンケート結果の声をいくつか抜粋します。

  • 「複数のシステム、システム毎に異なる項目、差分(中途入退社等)対応が煩雑」
  • 「一人情シスのため、登録・更新の作業の効率化を検討している時間が無く、アナログな手作業になってしまう」
  • 「作業担当者によるCSV取込のため、担当者不在の場合に取込ができず、速やかなアカウント発行が出来ない」

現状の対応策とその限界

情報システム部門が抱えるこうした業務課題に対して、アカウント管理の効率化を図るために、手作業以外に多くの企業が以下のような手段を導入しています。

IDaaS(Identity as a Service)

システムのアカウント情報を一元管理するシステムで、SCIMプロビジョニングを活用し、クラウドサービスとのアカウント連携を自動化する仕組みです。代表的なサービスとしては、Microsoft Entra IDやOktaなどが挙げられます。

しかし、以下のような課題もあります。

  • SCIM非対応のシステムでは連携が難しい
  • API連携には、リファレンスの読み込み、認証方式の理解など技術的な知識が必要
  • オンプレミス環境との接続には追加設計が必要で、導入のハードルが高い

RPA(Robotic Process Automation)

CSVのアップロードや画面操作の自動化により、定型業務を効率化できます。

しかし、以下のような課題もあります。

  • 高頻度・大容量の処理には不向き
  • 複雑な分岐条件や例外処理には対応しづらい
  • UIの変更やエラーに弱く、保守コストがかかる

このように、手作業以外に上記のような手段で対応することは可能ですが、連携できるシステムにはどうしても限りがあり、結果として手作業が残ってしまうケースも少なくありません。アカウント登録/更新作業を完全に自動化することは難しいのが現状です。

※IIJが実施したアンケートにも、上記のような声が挙げられていました。

アカウント連携の課題を解決する
「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」とは?

「手作業による業務負荷」「既存手段の課題」を解決できるのが、IIJが提供するクラウド型のデータ連携ツール「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」です。
基盤として、国内でも有数の導入実績を誇るアステリア社の「ASTERIA Warp」を採用しており、入退社や異動に伴うアカウント登録・更新業務の自動化を目的とした導入が進んでいます。

特長は大きく3つです。

①IDaaSなどでは対応しきれない、幅広いシステムとアカウント連携が可能

オンプレミス/クラウドを問わず、専用の連携インタフェースである「アダプター」を約90種類以上、接続先としてご用意しています。
また、アダプターが未対応のシステムであっても、REST API、ファイル連携、データベース接続により柔軟に連携できます。連携対象を限定せず、幅広いシステムとアカウント連携を行うことが可能です。

②人事DBと周辺システムの連携処理は、ノーコードで柔軟に実装可能

連携処理をノーコードかつGUIベースで構築できるため、専門的なプログラミングスキルが豊富でない方でも連携処理を構築できます。RPAなどと比較しても、複雑な分岐処理やデータ変換の設計がしやすく、保守性にも優れている点が特長です。
また、人事DBと周辺システム間の項目レイアウトの違いに対する加工変換や、差分検出・更新処理なども、GUI上でスムーズに実装できます。

③オンプレミス環境とのアカウント連携も、セキュアに対応可能

中間サーバを介さずに、オンプレミス環境にあるシステムと直接連携できます。
特にActive Directory(AD)など、社内ネットワーク内に存在する人事マスタや認証基盤との連携では、IIJが提供するインターネットVPNや専用線などのネットワークサービスと組み合わせることで、セキュアかつ安定した接続を実現します。
これにより、クラウドサービスでありながら、お客様拠点内のオンプレミスシステムともプライベート接続で安全にアカウント情報をやり取りできます。セキュリティポリシーや運用要件が厳しい環境でも安心してご利用いただけます。

ID統合管理サービスとの連携による相乗効果

IIJではアカウント管理の効率化に向けて、データ連携サービスだけでなく、ID統合管理サービスとして、IIJ IDガバナンス管理サービスを提供しています。企業内の人・組織・アカウント情報を過去・現在・未来の時系列で管理/可視化することができます。

本コラムでご紹介したIIJクラウドデータプラットフォームサービスと組み合わせることで、社内に点在する様々な人事マスタデータをIIJ IDガバナンス管理サービスに集約することができます。その上で、人事イベントに合わせて、周辺システムへのアカウント登録/削除を自動化することが可能です。

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もしご興味がある方は、お客様の課題に沿ったご説明やユースケースのご紹介も可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。