◇ 本記事はこちらの続きです。
井原様
可能性は3つあると思うんです。1つ目は、経営層の理解力が低くて、情シスの重要性が理解できてませんという可能性。2つ目は、情シスが自分たちの価値をわかっていなくて、経営層に説明ができてませんという可能性。3つ目は、情シスが思っていること自体に価値が高くないという可能性があると思うんですね。1つ目は、会社が生き残って、伸びている会社であれば可能性は低い。3つ目はあるかもしれないんですけど、可能性が高いのは2つ目でないかなと思います。例えば、ネットワークを刷新しましたと、やったことはそうなんですけど、何のためにやったの?それってビジネスにどんないいことがあったの?というところまで説明できていないんじゃないかなと。そこまで説明したら受ける側もよくやってくれたね、確かにそれやらないとうちの売上こんなに伸びなかったわ、利益がこんなに出なかったわってなるんじゃないかと思うんですね。良かれと思ってやっているわけだから、売上を増やすか、コストを下げるか、リスクを減らすか、どれかに帰着すると思うんですよ。そこまで繋いで説明をすれば、正しく評価してもらうことができるんじゃないかなと思います。
園様
今はITを使うことによって企業価値を高めたり、お客様にとってもっと魅力的な会社になると経営者は思っているはずです。そこに対してITが重要だと、情シスが経営層にインプットできているか、ちゃんと情シスが認識できているかというところになるのかなと思います。井原さんの例を聞いて思ったんですけど、例えば社内のインターネットが混んでいるといった時に、「値段が高くなるからこれ以上帯域増やせません」みたいな思考になってないかなと思うんですよね。そうじゃなくて、ここでビジネスが困ってるんだよという認識になっているか。そうでない限り、情シスの人がどう貢献しているのか、経営層はわからないんじゃないかなと思いますね。
籔田様
目立たないのは確かですけど、組織内での立場は低くはないかなと思っていて、困ってないから目立たないっていう、それはそれでいいことだと思うんです。そこで組織内の立場を向上させるといった時に、自分たちは周りからどう思われているか知るのは大事だと思うんですね。私が情シスの責任者を始めてから、ずっと半期に1回アンケートを取っていて、一番最初のアンケートでは思ったより評価が低かったですね。そこから何回も何回もやっているんですけど、じりじりと評価が上がってきています。アンケート時には、我々は昨期こういうことやりましたとアピールもしておくんですよ。社内の大体6割ぐらいの方からご意見をいただいて、それを次に活かすっていうことをやり続けてますね。
籔田様
反応が遅いとか、質問してもレスが遅いとか、PCスペックが…とか、ネットワークが遅いとかですね。
籔田様
そうですね。満足度っていう指標を作って、例えば5段階で4以上と言ってくれる人をまずは8割を目指そうってやると、それぞれ担当の人が工夫し始めるんですね。それで少しずつ改善していくので、今では4以上が85%以上と結構高いです。
一ノ瀬様
中小企業だからか、インフラって動いてて当たり前って思われているので、その価値をちゃんと知ってもらうための活動は必要だと思います。もう1つは信用してもらうこと。そのためにビジネスに繋がるようなストーリーを作って、小さいことでもいいんで、成功したよ、投資したモノに対してリターンを得たよっていうことを積み重ねて信頼してもらう。そうすると意外と大概のことは意見が通るようになっていく。予算も動かせるようになってくるのではないかと。
一ノ瀬様
コミュニケーションを取ることは重要だと思います。会社がよくなるためにはこうした方がいいってことは、積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
井原様
ビジネスに対して、こんな価値を提供してるんだって説明ができるようになるには何が必要かっていうと、ビジネスに興味を持つ、あとは人間の行動に興味を持つっていうことだと思うんですね。例えば、ネットワークが遅いとなった時に、エンドユーザがそこで何の仕事をやっているのかがわかって、ネットワークが遅いとどんなダメージがあるかが理解できて、ここは切迫してますねと、これは投資する価値があるんですっていう話に繋がるわけです。なのでビジネスに関心を持たない限りは説明ができないんですね。
園様
事業に貢献するとなると業務部門との連携が非常に大切になるんですよね。困っている、変えなきゃいけない業務は現場なので、そこに対してどう貢献できるかは結構地道なんですよね。開発したところまでが情シスの仕事ではなくて、ちゃんと使われて、成果を出すところまでが仕事だと思わざるを得ないかなと思いながら、結構地道にやってるっていうのはありますね。そこまでやると成果が出ればよろしい、ダメだったらダメでしょうがないと思うしかないんじゃないですかね。
籔田様
自分達の仕事を、「株式会社情シス」だと考るようにしています。そう考えると、社員からの問い合わせはインバウンドなんですよね。頼られている証なんで、「困った時にだけ頼りやがって」ではなく、「ありがとうございます」っというマインドでやっていくと存在感が増してくるんですよね。
籔田様
違いますね。モチベーションも変わってくるし、そうするとありがとうございますって言われる件数も増えます。
一ノ瀬様
個人的に、役割はあまり変わっていないという認識です。昔から期待はされていると感じています。ですから期待値が高くなってるとは思っていません。ただ、情シスの社員が辞めた時になかなか補充がない状況なので、期待されていないのではと不安に思っていましたが、本日のイベントの開始前にパネリストの皆さんとの意見交換の中で「どこでも採用はすごく難しい」というお話が聞けてちょっと安心しています。社内にいて自分だけで考えていると期待値ってモヤモヤするんですが、こうやって外で色々な方とお話すると期待値は低くなかったんだなと感じられたので、こういった機会はありがたいと思っています。
一ノ瀬様
比較的若い会社なので、皆さん、重要度が高いと思ってくれていると感じています。ただ、その重要度への理解の深さがあるかと言われれば、そこまで深くはないですね。「期待してるよ」というような、ふんわりとした感じかなと思います。
籔田様
情シスには売上に関して期待してるよという明確な期待がないんですよね。なので何もアクションをしなければ、恐らく現状維持でいいよって言われる。でもそれだと僕が楽しくないので、5、6年先のビジョンを作って、こちらからこうやりたいっていうのを、例えば経営層の方とお話しながら予算をとって進めていくみたいなことをやっていると、勝手にこっちは期待を作ってるという状態になるので、期待されるじゃなくて、期待されるようにしてるっていうんですかね。
籔田様
そうそう。
経営とか、会社がどこを目指してるか、そこは外さないように気を付けながら、やりたい方向性を見出して進んで行くみたいな。
籔田様
中期経営計画の資料とかって社内を探せば多分出てくるはずだし、上司に聞けば教えてくれますので、そこに対する情報システム的な課題はないかなとか、もしかしてこれやった方がいいんじゃないですかとか言ってると、そうそうとなってくるので、そうすると動きやすいですね。非常に大義名分あるし。
園様
籔田さんが言ってたみたいに、やっぱりIT部門のリーダーがロードマップというか、ちゃんと持たないと期待してもらえないんじゃないかな。期待は非常に感じてますよね。事故が起きたら業務停止しちゃうとか、急に致命的になるので、そこに対して、今で言うとAIとか使った安全対策とかですね、そういうのは非常に大切だと思います。AIを使ってもっと上手くできないかみたいな期待が社内でもどんどん来ててですね、今色々取り組んでいる感じですね。
井原様
期待はもともと高いと思いますけどね。今時何か新しいことをやるのに、テクノロジー、ITを使わないでできることなんてないんだから、期待はあるでしょうっていう話と、あと籔田さんの話でいいなと思ったのは、期待されなくたって自分でやりたいことをやったらいいじゃんっていうのはありますね。ITを使うと絶対に会社を良くできると思いますよ。なのでもう期待されてなくたって良くなることはやったらいいと思います。
井原様
極端な例を言うと、現場の人たちからの要望は山ほど来ます。やっぱり困っている人は助けてあげたいですし、自分の持っているスキルを使えばなんとかしてあげられるとなると、どうしても現場の要望に応える方に行きがちなんです。ただし、そのような要望の大抵は投資対効果を見るとやってもやらなくても同じくらいの内容で、それを体力が続く限り消化しても、変革してよくできるポイントが見つかるわけではないし、経営からIT部門への変革の期待が大きくなるわけでもありません。変革しようと思うとIT部門だけが頑張ってもできないのでビジネスと伴走して一緒にやる必要がありますし、弊社の場合は、IT部門の中に経営層・ビジネス部門長とのコミュニケーションを担当する「ビジネスリレーションチーム」というチームを作って、苦労しながら頑張っています。
一ノ瀬様
情シスの取り組みを知ってもらえてないっていうのと、自分らで勝手に下げているっていう可能性も高いのかなって今日の話を聞いてて感じました。「自分は価値があるよ」ってもっと自信を持つことで、勝手に好転すると思います。
籔田様
会社からこれやれって言われそうな雰囲気の時あります?言われてやるんじゃなくて、そのような雰囲気を感じたら自分たちでやりますって言った方が良い。どうせやるんだったら同じことなので。
井原様
やれって言ったやつの成果ですからね。やったやつじゃなくて。
籔田様
基本、いつも先回りしてるつもりですね(笑)
井原様
セキュリティなんてわかりやすい例ですよね。事故起きる前にやりますから。まあ大概やれとも言われないので。
井原様
よく聞きますけど、それって説明をできない人の言いわけかなと思わないでもないんですよね(笑)
園様
ちゃんとリスクを設定して、このリスクヘッジをするかしないかじゃないですか。我々はした方がいいと思う理由はあるわけなんで。そこをちゃんと説明できれば、ごめん今年お金ないから来年ねって言われるかもしれませんけど、そこでちゃんとディスカッションできる。
一ノ瀬様
最終的には投資するかしないかは経営判断になるので、ただディスカッションする機会を設けられるっていう、第1ステップだけでもできれば話は変わってくる気がしますけどね。
IIJでは今後も情報システム部門の皆さま向けに、イベントを定期的に開催していきます。最新情報は以下のサイトからご覧ください。