コロナ禍によって多くの企業が働…
今回ご紹介するのは、企業のIT環境を新規構築したプロジェクトの事例です。既存のIT環境から短期間で切り替える必要があり、差し迫った状況にありました。その上、お客様の業務は継続しなければならないという難しい案件です。さらに、ネットワークからサーバ、セキュリティ、運用までをトータルで提供する必要がありました。IIJのプロフェッショナルサービスチームはどのようにこの難問に取り組んでいったのでしょうか。
――お客様がIT環境を見直すことになったきっかけを教えてください。
お客様の事情により、元々利用していたグループ企業のデータセンターからIT環境を引き上げなければならなくなったのです。タイムリミットが迫る中でIT環境の新規構築が必要になりました。
――新規構築における要件はどのようなものでしたか。
それまでグループのIT環境を利用していたので、情報システム部門の人員は少なく、ベンダーに運用を任せられる体制を求めていらっしゃいました。短期間での設計・構築から稼働後の運用までをトータルで任せられるベンダーを探していたのです。しかも、システムの品質やセキュリティ、安定性や信頼性を兼ね備えたIT環境を要求なさっていました。スピード感があり、ネットワークからサーバまでトータルで提案できるベンダーは多くはなかったようです。
――IIJにはどんな経緯でお声掛けがありましたか。
お客様とIIJの間には、この案件以前にはお取り引きはありませんでした。ただし、お客様の情シス部門に、以前大きなプロジェクトをIIJと実施した企業出身の方がいらっしゃいました。古くからのお付き合いがあったその方から、お話をいただいたという経緯があります。IIJが様々なお客様のIT環境をお手伝いしていることから、つながったご縁ですね。
――お客様がIIJを選定された決め手はなんでしょうか。
先ほども説明しましたが、新規のIT環境をトータルで構築する必要がありました。PCなどの端末管理からインターネットゲートウェイ、サーバまでを含み、その上でセキュリティを強化し、運用も依頼したいというお客様のご要望に応えるのは、なかなか難しいことです。要件を満たすIIJの提案内容、迫る構築の期限に対応できるスピード感を評価していただき、決定に至りました。
――具体的なプロジェクトの内容を簡単に紹介してください。
今回のプロジェクトでは、セキュリティ強化および信頼性・安定性の向上を目的とし、インターネットゲートウェイ環境と拠点間ネットワークをIIJサービスで新規構築しました。IT環境を全面的に新規構築するので、対応する範囲は非常に幅広いものがありました。
ネットワーク系サービスでは、インターネットゲートウェイ、ファイアウォール、Webプロキシ、リモートアクセス、WAN機能などをクラウドサービスとして導入しました。サーバ系サービスでは、サーバ基盤としてのIIJ GIO(IaaS)、Active Directory、エンドポイントセキュリティ、メールセキュリティの機能に加え、Microsoft 365も導入しました。さらに運用監視サービスも提供し、運用の効率化も実現しました。
――多くのサービスを組み合わせて構築する場合、お客様とのコミュニケーションはどのように進めるのでしょう。
お客様としても、新規のIT環境ではクラウド化を進めるという意識をお持ちでした。とはいえ、実際にクラウド化したネットワークやサービスをどのように使うのか、既存の環境とはどのような点が異なるのか、そしてお客様のご要望にIIJのサービスがどのように応えられるのかなど、意識をすり合わせる必要は多くありました。その上で、物理的な環境や論理的な環境の既存の情報を吸い上げ、IIJのサービスを導入するための要件を定めていきました。
お客様が新規IT環境に求めるイメージを要件定義として引き出し、技術的なフォローをしながらIIJが提供するサービスに当てはめていくことが重要です。IIJのプロフェッショナルサービスチームは、IIJが提供するサービスに対して横断的に知見やノウハウを持っており、サービス単体だけではなく総合的にお客様の要件に対応するようなサービスの組み合わせを提案できます。サービスインテグレートのエキスパートである私達が迅速にお客様のお問い合わせに対応できる体制があり、短期間でのプロジェクト遂行の力になれたと感じています。
――お客様の要件に対応するIIJからの提案は、どのように受け取られましたか。
運用部分まで含めたトータルなIT環境を、クラウド型のサービスで構築できることは高く評価していただきました。ご予算の問題から部分的には見送った要件もありましたが、最終的にはご予算の範囲でご要望に合致するところの大きいシステム構築ができたとご満足いただいています。
――プロジェクトの完了までの工程はスムーズに進みましたか。
IT環境の新規構築を短期間で実現するプロジェクトでしたから、全体に時間をかけることができなかったのは事実です。そのため、特に初期のヒアリングから要件定義を短期間ながらも丁寧に行いました。要件定義をきっちりと行ったことで、IIJの各サービスの推奨ポリシーと上手くすり合わせることができ、レディメードに近い形で提案できたことは大きな成果でした。実際のプロジェクトでは、ほぼノントラブルで作業を進められましたし、手戻りもなく最後は余裕を持った形で環境移行を達成できました。
もう1つポイントを挙げれば、お客様とIIJとの役割分担が明確であったことです。IT環境のインフラ部分はIIJが、既存の業務システムの移行部分はお客様がと線引きがきれいにできていたため、相互に守る範囲を明確にしながら作業を進められたことも、短期間の新規構築をトラブルなく進められた要因でしょう。
――スムーズに進んだプロジェクトの中でも、苦労したことはありましたか。
今回のIT環境では、IIJのActive Directoryサービスを、メールサービスとMicrosoft 365に連携しました。ところが、お客様側のAD情報に膨大な量のリストがあり、これが連携されて不要な課金が発生する事象が起きてしまいました。少しイレギュラーな形ではありましたが、IIJからスクリプトを提供することで解決することができました。こうした柔軟な対応ができたのも、IIJの技術力があったからこそと自負しています。
――稼働後の運用フェーズではどのような評価をいただいていますか。
引き渡し後には、「トータルで導入してもらって満足しています」というお言葉をいただいています。稼働後の運用面でも、ネットワークだけでなくサーバ基盤までIIJが運用監視機能を提供していることの安心感は高いようです。何かあったらIIJに問い合わせればいい、という安心感は、500人を超える規模の企業を実質2人ほどの情シス担当者がまとめている状況で大きな力になっていると思います。
元々のグループ会社のITインフラを利用していたときよりも、セキュリティ強化などのプラスアルファがありながら、コストを低減したIT環境を構築することができました。しかも期限が決まった短期間での構築をスムーズに進めることができたことは、お客様に高く評価されています。
――ありがとうございました。短期間での新規構築という難題を、IIJの幅広い知見や経験、ノウハウによって乗り越えたプロジェクトの事例をご紹介いただきました。
ネットワーク、サーバ、セキュリティなどに課題をお持ちの場合は、IIJのプロフェッショナルサービスにご相談ください。