AIによる要約 β版(Microsoft Copilot)
IIJの情シス、通称「BIRD(バード)」は社員向けに、ソフトウェア開発者の養成プログラム「BIRD Academy」を開設しました。受講生は2年間、一人前のソフトウェア開発者となるべく真剣に取り組みます。
どんな思いで始めたのか、現時点でどんな成果があがっているのか、関係者に話を聞きました。
※BIRD(バード):IIJ 情シスの通称。Business Infrastructure Reformation Departmentの略
登場人物
IIJ 経営企画本部 副本部長
藤原
顧客向けサービスの開発者からIIJ情シス(BIRD)の長に。BIRD Academy発起人。
会社全体の生産性向上を目指すプロジェクトで、リーダーも務めている
(聞き手) IIJマーケティング担当 小河
藤原
BIRD Academyは、開発初心者を対象とした「ソフトウェア開発者の社内養成学校」です。受講生は約2年間、日常業務と並行しながら、業務時間の2~3割を使って学習に取り組みます。BIRD Academy は2022年に開始し、現在は情シス内で実施していますが、将来的には全社展開を目指すプロジェクトです。
藤原
IIJの従業員のうち、約7割はエンジニアです。通信・IT業界で働くエンジニアにとって、勉強を続けて、自分のスキルを高度で最新の状態にしておくことは欠かせない素養です。だから「勉強は仕事の一環であり、勉強しつづけるのが当たり前である」という認識を、まずは若い世代に持ってほしいと考えました。
藤原
ITインフラはどんどんソフトウェア化が進んでいます。クラウドが端的な例ですね。概念化された世界のなかで現実の業務を抽象化し、様々なソフトウェアを駆使しながら具体的な価値へと変換する力が、情シスには求められています。しかし求めに応じるためには、具体的な業務への理解と、抽象的なソフトウェアを使いこなすスキルを兼ね備えた人材が必要です。こうした人材を確保するには、自社で育てるのが遠回りに見えて近道だと考えました。
藤原
IIJは「ITインフラの会社」というイメージが強いためか、われわれ情シスだけではなく、SI部門やサービス開発部門でもソフトウェア開発者の採用に苦労しています。抽象的な問題を具体的な解決へと導けるソフトウェア開発者が必要なのは、どの部門でも同じです。個々の部門の事情に応じたプログラムのチューニングは必要でしょうが、BIRD Academyの「学びを当然のこととし、業務の一環と位置付ける」プログラムは、全社展開の価値があると信じています。
登場人物
IIJ 情シス 課長
五十嵐
情シス歴はもうじき10年。前職はSIerで、客先常駐のSE、PM。通常業務に加え、BIRD Academyの運営も担当
IIJ 情シス リーダー
関
客先常駐のSEを10年以上務め、2022年度からBIRDに。BIRD Academyでは受講生のトレーナーを担当
IIJ 情シス
パク
2022年度にIIJ入社後、BIRD Academyを受講。前職は情シス子会社でインフラ運用に従事
IIJ 情シス
柴田
2022年度にIIJ入社後、BIRD Academyを受講。前職はSESでシステムの開発と運用保守に従事
(聞き手) IIJマーケティング担当 小河
五十嵐
BIRD Academyは、プログラミング言語や各種開発技法を学ぶ「理論編」と、システム開発の企画からリリースまで自分で行う「実践編」に分けられます。1年目、2年目ともに「理論編」「実践編」があり、2年目の最後には、卒業制作として実際の業務システムの開発をしてもらいます。受講生には、先輩社員が1対1でトレーナーとしてつき、日々の進捗管理から困りごとまで相談に乗ります。藤原さんから構想を聞いたときは多少驚きましたが、自分が新人だったころのことを振り返ると、ソフトウェア開発の理論を体系的に学び、実際に手を動かして身に付けるプログラムは、あった方がいいなと思いましたし、2年間じっくり学べるところは一般的な新人研修にはない特色だと思いました。
関
サービス開発部門では個別に学習に取り組んでいるところもありますが、情シス発でこうしたプログラムを実施する例は、一般的には珍しいでしょうね。
パク
はじめは「新卒の時に習ったことを、もう一度やらされるのか」と思いましたが、知ってはいても身に付いてはいなかった知識があることや、既存の知識の応用など、学ぶことは多かったです。いまは「BIRD Academyで学べてよかった」と思っています。
柴田
前職でも新人研修はありましたが、BIRD Academyのように体系的に学ばせてもらえる機会はなかったので、すごくありがたいと感じました。中途=即戦力だと思って入社しましたが、会社がここまで中途採用者を育てようとしていることに驚きもしました。
関
受講生をフォローするトレーナーの立場でいうと、理論編はさほどでもありませんでしたが、受講生が自らシステムを開発する実践編になると、フォロー役の出番はたくさんありました。
五十嵐
通常業務と並行してBIRD Academyをするというよりは、BIRD Academyも大事な仕事の1つという認識でした。BIRD Academyは部のアクションプランのなかで、かなり優先度の高い施策に位置づけられていたことも認識を強めました。受講生のトレーナーとしての活躍が目覚ましかった関さんを、途中から運営側に巻き込みもしました。「BIRD Academyは、全員で作り上げていくプロジェクトだ」という意識を醸成し、受講生もトレーナーも運営も一丸となって、前向きに取り組めたことはよかったと思っています。
パク
中途入社してすぐ、BIRD Academyで学びつつ仕事をする体制ができたので、滑り出しはスムーズでした。上司も趣旨を理解していたので、ストレスは少なかったです。個人の業績目標の中に、BIRD Academyでの取り組みも入れられました。
柴田
社会人になると、学習のためにまとまった時間を確保するのは難しいですが、BIRD Academyでは数日間におよぶ外部研修を受講することもできたので、初めて学ぶ分野では非常にありがたかったです。
柴田
1年目の実践編で、開発をはじめて1、2週間後のことです。それまで1行ずつ調べてコードを書いていたのですが、ある日「こうしたいなら、こう書けばいい」という勘所がつかめて、それからはサクサクと進むようになったことです。このあたりから実業務でのコーディングスピードも上がり、身になっていると実感しました。
パク
私はJavaやCでの開発経験はあったのですが、PythonやDjangoを本格的に使ったのは1年目の実践編が初めてでした。最初はエラーばかりで大変でしたが、2~3週間後には慣れていき、最終的に自力でちゃんとしたシステムを作れました。自分の成長を実感しました。この時作ったシステムは、BIRD Academyの運用ツールとして現在利用されています。
柴田
作ったアプリは、Dockerのイメージに組み込んで社内の共通基盤へデプロイします。実践編ではDockerの扱い全般に苦労したのですが、その苦労した経験は後々業務で大いに役立ちました。開発に至るまでの環境構築や、アプリを作ってデプロイする経験から、インフラについてももっと学びたいと思うようになりました。
パク
アプリの開発をしましたが、実感したのはアプリ以下、アプリ以外のレイヤーに対する知識の必要性でした。今はフルスタックエンジニアを目指し、DBの勉強に力を入れています。
関
アプリ開発はもちろん、アプリをインフラにのせる工程でも、インフラの構築や運用でも、ソフトウェアで問題を解決する能力は仕事の現場で欠かせません。
五十嵐
今は部内で展開しているBIRD Academyですが、エンジニアとして必要な知識を網羅的に身に付けたい人は、部外でもぜひ参加してほしいですね。