お客様に最適な提案をよりタイムリーに!Salesforceのデータ連携で実現した営業支援パワーアップの秘策

IIJのサービスコーディネーション部は営業部門をサポートする部署です。お客様に“今必要な情報”をお届けできるように、お客様の課題に合わせた情報をタイムリーに営業担当に提供しています。この活動をより強化するため、IIJは新たな仕組みを構築しました。それはどのようなもので、業務はどう変わるのか。実際に開発し、業務に活用するサービスコーディネーション部のキーパーソンに話を聞きました。

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目次
  1. 営業支援のための情報提供に、手間と時間がかかる
  2. データの抽出・加工処理を自動化
  3. 情報の“鮮度”と提供スピードが大幅に向上
<話者>
IIJ サービスコーディネーション部
  • 江郷:マネージャー
  • 細川:開発担当
  • 西本:業務担当

営業支援のための情報提供に、手間と時間がかかる

サービスコーディネーション部は営業を支援する部署だそうですが、具体的にどのような業務を行っていますか?

江郷

営業向けに、お客様の要望を満たす構成・見積もりであるかの確認や提案における支援をしています。

お客様の課題解決につながる提案は、1つのサービスで完結せず複数のIIJサービスを組み合わせることが多いため、多くのサービスを理解する必要があります。

営業だけでは対応しきれないので、私たちがサポートしています。

西本

提案の初期段階と、話が進んでからでは、お客様の求めるものや実現したいことが変わってきます。
情報のアップデートや、要件を漏れなく網羅することが重要になるため、営業と二人三脚でお客様対応を進めています。

そうした支援業務に課題を抱えていたそうですね。

江郷

営業活動を支援するため、「提案テンプレート」というものを作成しています。営業が現在提案している内容に加えて、お客様の課題を解決できるようなサービスを付加価値として案内するものです。

西本

営業の活動履歴はSalesforceで管理されているので、Salesforceを見れば商談状況などが確認できます。私たちはSalesforceのレポート機能を使い、提案テンプレートを活用できる商談はないかを確認します。Salesforceに表示されているサービス、ステータス、スケジュールなどを提案テンプレートと照らし合わせ、マッチする商談をExcelにまとめる作業を週次で行っていました。

江郷

Salesforceのレポート機能は、設定した条件のデータがすべて見られるため、ノイズも多い。どの情報がマッチしているかという取捨選択は、人が判断しなければなりません。ステータスが進んだり、お客様の要件が変わったりすると、新たにサービスが追加されることもあります。データが更新されるたびに手作業で見直しをしていました。

人手で対応すると、営業支援の負担が大きくなり、営業に情報を提供するまでのリードタイムも長くなる。作業を効率化し、よりスピーディに最適な情報を提供したいと考えていました。

データの抽出・加工処理を自動化

課題解決のために、IIJクラウドデータプラットフォームサービスを採用しましたね。その理由と狙いを教えてください。

江郷

IIJクラウドデータプラットフォームサービスは様々なシステム間のデータ連携を叶えるEAIツールで、データの抽出から加工・変換まで簡単に行えます。これを使えば、人手で行っている作業を自動化できるのではないか。そう考えたのがきっかけです。

実際の開発も担当したそうですね。

細川

開発と言っても、プログラムを組んだりはしていません。やりたいことはノーコードですべて実現できました。

どんな仕組みを実現したんですか?

細川

まず、アダプターを使ってSalesforceと接続しました。本来であれば、Salesforceとの接続はAPIを使う必要がありますが、IIJクラウドデータプラットフォームサービスではログイン情報などを入力するだけ。APIなしでかんたんに接続できました。

次にSalesforceのデータを取得し、その中から提案テンプレートと照らし合わせて、最適な情報だけを抽出しました。

また、抽出したデータは、SharePointに格納します。その後、Power Automateが起動して、Teamsへ自動通知される。大まかな流れはこんな感じです。

(クリックして拡大)

この仕組みを作る上で工夫した点はありますか?

細川

一連の処理の実行タイミングです。IIJクラウドデータプラットフォームサービスはスケジュール実行ができるため、日次で実行できるようになりました。作業ボリューム的にこれまで週次が限界でしたが、よりスピード感を持って支援できるようになりました。

また、Salesforceの情報をデータベース内に蓄積し、前回との差分だけ抽出できるようにしました。
案件のステータスが進めば、必要な情報も変わってきます。過去の情報はノイズになるので除外する。いわば情報の仕分けを行っているわけです。差分抽出ができるようになったことも、大きなメリットの一つでした。

情報の“鮮度”と提供スピードが大幅に向上

開発は結構大変だったんじゃないですか。期間はどれぐらいかかったんですか?

細川

2023年10月に検証を始めて、11月には実現できることが分かりました。そこから具体的な設計に入り、2024年1月から開発に着手。できたものから順次実装を進め、同年5月にリリースしました。

ノーコードで作れたので、それほど大変ではありませんでした。マニュアルも整備されているし、処理もコンポーネント化されているので、開発はやりやすかったですね。

江郷

子フローを使えるので、親フローとなる処理から分岐させて別の処理を行うというフローも作りやすい。子フローが使えないと、同じような処理も一から作り込まないといけないので、非常に便利です。汎用的なフローを作っておけば、再利用もしやすいですね。

営業支援の業務はどのように変わり、どんなメリットを実感していますか?

西本

Salesforceの情報選別は人が行っていましたが、それが自動化され、Teamsの通知を確認するだけになりました。
支援業務は、一人当たり月十数件あるため、効果は非常に大きいですね。

営業への情報提供のスピードも上がったんではないでしょうか?

江郷

その通りです。実は週次での情報提供では、その間に案件のステータスが進んでしまって、情報がうまくマッチしないこともありました。Salesforceから日次で情報を抽出できるようになったおかげで、“鮮度”の高い情報をすぐに提供できます。

西本

お客様のニーズや案件ステータスにマッチした最適な情報をタイムリーに提供できるため、営業活動をより力強く支援できます。よりよい情報をより早く提供できるので、私たちの営業支援も、これまで以上に数多く行えそうです。

IIJクラウドデータプラットフォームサービスはデータをつなぐだけでなく、業務変革も実現できる。今回の取り組みは、そのことを示す好例と言えそうですね。ほかにも様々な業務に活用できそうです。

西本

もちろん、今回の仕組みが完成形というわけではなく、自動化領域をどんどん広げていきたいと思っています。Tableauのアダプターもあるので、営業活動をデータ分析し、データドリブンな営業支援にチャレンジすることも考えています。

江郷

今回の取り組みによって、IIJクラウドデータプラットフォームサービスの活用可能性を示せたと思います。これを1つのモデルとして、社内横展開が進めば、より大きな成果につながると思います。

細川

IIJクラウドデータプラットフォームサービスはノーコードで直感的に利用できます。何と何を使えばどういうことができるのか、分かりやすい。今回の開発を通じて、発想次第でいろんな使い方ができると思いました。

これからも要請があれば、やりたいことをどんどん形にしていき、既存業務のデジタル変革に貢献していきたいと思います。