2023年12月21日に開催さ…
デジタルが競争力の源泉となった今日、ITはどの企業にとっても常に経営戦略の主要テーマとなっています。その中で情シスは、従来の役割にとどまらず「生成AI活用」や「DX推進」を担う存在として、経営層や他部門からこれまで以上の期待が寄せられています。
一方で、役割の変化を強く感じながらも、その期待にいかに応えるべきか模索している情シスリーダーの方も多いのではないでしょうか。
こうした課題へのヒントを得るべく、2026年3月17日に「生成AI活用を成果に変える情シス戦略 いま求められる発想転換とは」と題したIIJ Motivate Seminarを開催。富士フイルム及びロート製薬でDX推進や生成AI活用を牽引してきた板橋 祐一氏に登壇いただきました(前編と併せてご覧ください)。
本セミナーは2026年8月2日(日)までの期間限定で、アーカイブ映像を公開しています。実際の発表や質疑応答の模様は、ぜひ映像でもお楽しみください。
こうした30年ぶりの変革期において、情報システム部門のあり方が改めて問われています。
現場を見ていると、変革を妨げているのは外部要因ではなく、自分たち自身なのではないかと感じる場面もあります。情シスが守りの組織となり、新しい取り組みにブレーキをかけてしまうケースも少なくありません。もちろん安定運用は重要ですが、それだけでは十分ではありません。求められているのは、役割の拡張です。
私はこれを、「守り」「AI活用の基盤づくり」「価値創出」の3段階で捉えています。多くの企業はまだ前半にとどまっていますが、本当に重要なのは最終段階です。
情シスは全体を俯瞰できる立場にあります。部門横断の業務をAI前提で再設計し、データとシステムをつないで価値へと変換する。この役割を担えるのは情シスにほかなりません。
生成AIの導入は、文案作成や要約といった用途から始めることが多いものの、その先にあるのは知的業務の再設計です。実際に、AIをワークフローの中心に組み込む取り組みも始まっています。これは、情シスが関与しながら業務構造そのものを変えていく領域です。
例えば製造業では、設計や開発に関する文書やデータが分散しており、十分に活用しきれていないケースが多く見られます。こうした状況に対して、RAGなどを用いて情報を整理することで、必要な知識に迅速にアクセスできる環境を構築することが可能になります。
また、品質・生産・保全部門における導入も進みつつあります。過去データをAIに取り込み、原因や対策の候補を提示させることで、意思決定の質とスピードを高めることができます。
更に、作業動画からマニュアルを生成するなどの使い方も広がっています。こうした取り組みは、現場の生産性を大きく変え始めています。
このような変化は、製薬のような規制の厳しい業界でも起きています。生成AIは単なる効率化にとどまらず、業務プロセスそのものを変革する段階に入っているのです。
生成AIの技術的な課題は大きく改善されてきましたが、現在、より大きな障壁となっているのは心理的な壁です。仕事が奪われるのではないかという不安が、活用の足かせになっている側面があると感じています。
これを乗り越えるには、安心して使える環境を整備すると共に、実際に仕事の質の向上を実感してもらうこと、そしてそれを評価につなげていくことが重要です。加えて、トップ層自らが活用する姿勢を示すことも欠かせません。
ただし個人レベルの活用にとどまる限り、大きな成果にはつながらないでしょう。「点」をつなげて部門間の「線」にし、更に全社の「面」に広げていくことで、初めて経営インパクトが生まれます。ここをリードできるのが情シスです。
生成AIはいずれ誰もが使う前提となります。差が生まれるのは、自社固有のデータや業務、判断基準とどのように組み合わせるかにあります。
情報システム部門には、業務とデータを全社視点でつなぎ、AI前提の仕事を設計する役割が求められます。すなわち、変化を価値へと展開する設計者としての存在です。
30年ぶりの変革の機会に、皆さんご自身が変革のアクセルとなり、新しい日本の未来を形づくっていくことを期待しています。
セミナーの後半は、IIJによるファシリテーションのもと、皆さんからの質問にお答えするQ&A・トークセッションが繰り広げられました。
A. 問われているのは、効果だけでなく「推進する側の覚悟」
会社のカルチャーによってアプローチは異なります。ボトムアップ型かトップダウン型かによっても、説明の仕方は変わってきます。
一般的には、世の中の事例を用いたり、想定される効果が投資コストに見合うことを説明したりする方法が取られます。ただ、多くの稟議者は、生成AIなどの効果について一定の理解はすでに持っているケースが多いと感じています。
その上で問われているのは、稟議書を書いている本人や部門としての「覚悟」ではないかと思います。つまり、この取り組みを本気で推進し、自らリーダーシップを取って会社に定着させる意思があるのか、という点です。
新しい技術の導入にあたっては、「先頭に立って挑戦する意志があるのか」が暗に問われていることも多く、その姿勢を示すことも重要だと考えます。
A. 現場を顧客と捉え、潜在課題を見つけに行くマーケティング視点を持つ
マーケティングの視点を持つことをおすすめしています。特に大切なのは、「顧客を知る」という考え方です。ここでいう顧客とは社内の現場部門を指します。
現場の人たちが抱えている課題は、必ずしも明確に言語化されているわけではありません。そのため、潜在的な困りごとを把握し、それに対する改善策を提示していくことが求められます。
困っていない領域に対して提案を行っても、現場の協力は得にくいものです。だからこそ、課題を正しく特定することが重要になります。
その第一歩として有効なのが、実際に現場に足を運ぶことです。プロアクティブに現場に出向き、業務を観察することで、机上では見えにくい課題が見えてくると思います。
A. 役員層には説明よりも「実際に使わせて体感させること」が理解促進の鍵
製造業の企業支援などでもまず実施しているのは、役員層への直接的な説明です。その際に重視しているのが、「実際に目の前で使ってみせること」です。
ツールの有用性を説明するだけでなく、その場で実際に操作し、どのような結果が得られるのかを体験してもらうことで、理解と納得を得やすくなります。
具体的には、リサーチツールを用いて対象企業の分析を行い、経営課題に対してどのような示唆が得られるのかを、その場で可視化して見せたことがあります。
重要なのは、役員自身がいま抱えている課題に直結する内容であることです。事前にヒアリングを行い、それに合致した形でデジタル技術の活用方法を実演することが、理解促進に大きく寄与すると感じています。
当日はこのほかにも次のような様々な質問が寄せられ、活発な質疑応答の時間となりました。
本セミナーは2026年8月2日(日)までの期間限定で、アーカイブ映像を公開しています。実際の発表や質疑応答の模様は、ぜひ映像でもお楽しみください。
IIJでは、企業の情シス部門で働く方に向けた情報発信を行う「IIJ 情シスBoost-up Project」を推進しています。この活動の1つである「IIJ Motivate Seminar」では、有識者による講演を通じて、業務における課題解消のヒントを探り、明日へのモチベーションを感じられる情報をお持ち帰りいただけるイベントを定期開催しています。「IIJ 情シスBoost-up Project」の最新情報は、以下のサイトからご覧ください。