ご紹介するのは、企業のIT環境…
今回ご紹介する小売業のお客様は、合併を機に、資産を持たずに短期間でIT基盤を統合することに成功しました。そのポイントは、システムの構築運用をトータルで支援するIIJの技術力とスピード感、そして幅広いサービスラインアップでした。実際の事例について、IIJのプロフェッショナルサービスチームに尋ねていきましょう。
――お客様とIIJのお付き合いはいつ頃に始まったのでしょうか。
お付き合いが始まったのは10年ほど前のことでした。閉域リモートアクセス環境の構築でIIJのサービスを導入したところ、特にセキュリティ面で評価をいただきました。翌年にはお客様の社内ポータル刷新の依頼を受け、良好な関係を保ち続けてきました。
――個別システムを担当するベンダーという位置づけから、IIJの立ち位置に変化が訪れたのはどのようなことが契機だったのでしょうか。
今から数年前に、お客様が系列企業と合併することになったのが変化への直接的な要因です。合併と同時にシステムの統合と刷新が必要になったためです。元々、お客様は別のメインベンダーにシステムの構築運用を任せていらっしゃいました。ただし、IIJが話を聞いたところでは、どうも既存のシステムについて運用に不満や不信感があるようでした。その上、合併の案件では既存メインベンダーから高コストな提案があったようです。
お客様としても、この旧メインベンダーに委託し続けるのが良いか、疑問に思っていたのです。お話をしていくと、コストや運用への不満に加えて、本質的には「エンドユーザのことを考えて、IT全体を統括してくれるベンダー」を要望していることがわかりました。そこでIIJから、合併後のシステムをトータルでお任せいただけませんか、と提案したのです。
――IIJの提案に対して、お客様はどのような反応を示されましたか。
リモートアクセス環境や社内ポータルの導入・運用で、お客様はIIJに一定の信頼感を持っていたようです。IIJはネットワークやクラウド、セキュリティなど、幅広い分野に数多くのサービスを用意しています。これらを適材適所に利用することで、サーバからネットワーク、エンドポイントの端末まで含めた統合マネジメントができることをアピールしました。
IIJが提供するサービスを組み合わせて利用することで、お客様が多くのIT資産を持たずに合併後のシステムへと移行できることも評価のポイントでした。さらに、決断を後押ししたのがTCO(Total Cost of Ownership)でした。お客様には、今でも「あの時IIJに頼んでコストを最適化できて良かった。別の会社のままだったらどうなっていたかわからない」と声を掛けられるほどです。
IIJはシステム全体の統合とネットワークの入れ替え・統合を実施しました。お客様としては、大規模なシステム更新を任せるわけですから、一種の賭けだったと思います。しかし、システム運用の1ベンダーという立場でお付き合いを始め、信頼感を持っていただいてきた関係性があったからこそ、合併という大変革のタイミングでメインベンダーへの昇格という転機が訪れたのだと感じています。
――合併によってIIJをメインベンダーに据えてくださったあと、現在までにお客様のシステムはどのように変わってきていますか。
まずネットワークでは、WAN、インターネット接続ともにIIJがサービスを提供しています。ルータやファイアウォールをフルマネージドで提供するほか、メールセキュリティやWebセキュリティもクラウド型のゲートウェイサービスで実現しています。社内システム用のサーバは、IIJのクラウドサービスで構築しました。サーバの監視や運用、認証システムにもIIJのサービスを使っていただいています。
実は、IIJが依頼を受けているのはシステム面の構築・運用だけではありません。オフィスの移転などの際のレイアウト検討やファシリティ調達など、ファシリティ分野でもプロジェクトマネジメントを担当しています。IT基盤を支える非常に幅広い範囲で構築から運用までを任せていただいているのです。
また合併後、お客様は社内のコミュニケーションシステムとしてMicrosoft 365の導入を実施しました。この際の導入設計から教育までを、すべてIIJが対応しています。
――個別システムの提供ベンダーからメインベンダーとなり、システムからファシリティまで広範に渡る運用管理を任されるようになったIIJですが、どのような点が評価されたからだと感じますか。
合併の際には、情報の公開から合併までの期間が短いこともあり、短期のシステム統合が求められました。コスト面での優位性はもとより、お客様の要件をしっかりヒアリングした上で、短期間でシステム統合できるような提案をして、それを完遂したことはその後の関係強化につながったと思います。
また、「資産を持たない」というお客様の方向性に合致するような多様なマネージドサービスを用意し、それらをお客様の要件に合うように組み合わせて提案できる技術力も評価していただいていると感じています。さらに、情報システム部門に対する「よろず相談窓口」としてのSEサポート、エンドユーザからの問い合わせ窓口となるヘルプデスクなどを、すべてIIJが窓口となり提供できたことも、お客様にとって窓口の一本化というメリットを感じていただいています。
――Microsoft 365環境の導入では、特別な支援策がありましたか。
数百の販売拠点では、フィールドワーカーの方々が業務に就いています。そうした環境では、新しいコミュニケーションツールを導入しても定着が難しいと言われています。IIJでは、拠点での業務をヒアリングし、新しいツールをどう使えばどんなメリットが生まれるかを分析しました。それを現場のマネージャーに対して直接教育するためのプログラム作成と講師の役割を担いました。例えば、拠点間の連絡を電話でしようとすると、相手が出られないことも多く非効率です。Teamsのチャットを使えば、スムーズに連絡が取り合えることなどを現場視点で説明していきました。
Excelを特定の条件で同時編集できることなども、情報を提供すると現場ではとても喜んでもらえました。こうした社員の教育にまでIIJが関わることができたのは、エンドユーザの視点に立ったシステム導入の経験を積んできたことの現れだと思っています。
――お客様が抱えていたシステム統合やIT基盤コスト削減、社内コミュニケーションの活性化などの課題に対して、貢献できたと感じるのはどのような点でしょう。
プロジェクトマネージャーや担当者が親身にお客様に寄り添う姿勢が評価されたと感じています。システム統合の際のスピードやコストへの対応はもちろんですが、Microsoft 365の導入ではシステム提供だけでなく現場の声を拾った教育まで担当することになりました。これらは、すべてお客様の経営課題に寄り添う姿勢があったからだと思いますし、そのように評価いただいています。
システムからファシリティまでIIJがワンストップの窓口になるメインベンダーになることができたのは、お客様に寄り添うことによる「つながり」が第一にありました。その上で各サービスの品質やプロジェクトメンバの対応力があってお客様のご要望に応えられたのでしょう。
――ありがとうございました。IT基盤の構築運用に課題を抱えている企業の経営者や情報システム部門の方にとって、こうした親身な対応は心強いことだと思います。
ネットワーク、サーバ、セキュリティなどに課題をお持ちの場合は、IIJのプロフェッショナルサービスにご相談ください。