インフラからアプリケーションのモダナイゼーションまでトータルサポート。レガシーシステムを短期間かつ低コストで刷新する新手法とは

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、クラウドの利用は欠かせません。しかし、クラウドを導入するだけでデジタル化が進むわけではありません。大きな足かせになるのが、レガシーシステムです。クラウドやデジタルテクノロジーとの連携が難しい上、運用・維持管理に多くの人とコストを奪われるからです。課題解決には、レガシー資産を刷新する「モダナイゼーション」が有効です。IIJはインフラ、ネットワーク、アプリケーションまで含めたトータルなモダナイゼーションを実現します。移行リスクを低減し、QCD(高品質・低コスト・短納期)に優れた手法を紹介しましょう。

目次
  1. クラウドの利用は広がるもDXの実現は道半ば
  2. レガシーシステムが抱える4つの課題
  3. 脱レガシーを目指すモダナイゼーションが直面する課題
  4. IIJ×ソフトロードが実現するリライト、リホスト方式
  5. IIJの強みを活かし、インフラ全般もモダナイゼーション

クラウドの利用は広がるもDXの実現は道半ば

ビジネスを取り巻く環境や顧客動向の変化に伴い、あらゆる産業でDXが重要なテーマになっています。それに伴い、DX実現の手段としてクラウドへの期待が高まっています。インフラやアプリケーションを所有せず、サービスとして利用できるのはもちろん、企業の投資コスト構造を変え、データやデジタルテクノロジーの活用も進みます。新しい価値創出や事業変革に向けたチャレンジにも取り組みやすくなります。

実際、クラウドの利用はますます広がりを見せています。しかし、DXの推進につながっているケースは少ないのが実情です。

この傾向は2020年12月28日に発表された経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ)」からも明らかです。“2025年の崖”を周知させたDXレポートから2年後に発表されたこのレポートによれば、「DX未着手」あるいはDXを進めたいが散発的な実施に留まっている「DX途上」に分類される企業は9割以上に達します。すなわち、ほとんどの企業がレガシーシステムという深い崖を超えられず、クラウドの真価を発揮できずにいるのです。

レガシーシステムが抱える4つの課題

“2025年の崖”が指摘されてから2年以上経つのに、今なおそれを超えられないのはなぜなのでしょう。レガシーシステムを取り巻く環境を紐解くと、以下のような課題が浮き彫りになります。

人材不足、業務の属人化

日本のIT人材は慢性的に不足しており、経済産業省の調査によれば(※)、2030年には最大で79万人不足すると見られています。なかでもCOBOLをはじめとするレガシーシステムのエンジニアは高齢化し、人材の確保はますます困難な状況です。そのため人材の流動性が乏しく、業務の属人化が進んでいます。

※ 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(平成31年4月)

高齢化と共にレガシーシステムに関わるエンジニアは減少していくため、保守・管理を担う人材もどんどん少なくなっていきます。最悪の場合「誰もシステムの全容を知らない」「問題が起きても、原因も対処も分からない」といった事態に陥りかねません。

ベンダーロックイン、老朽化

レガシーシステムの多くはベンダー固有の製品・機器に依存しているため、結果として「ベンダーロックイン」の状態になっています。高額な保守・運用コストが発生し、老朽化も進んでいるため、維持コストも膨らみ続けます。これがIT予算を圧迫し、クラウドをはじめとする新しい分野への投資を削ぎ落してしまいます。

システムの肥大化・複雑化

長年使い続けているレガシーシステムは機能追加や改修が繰り返され、継ぎ接ぎ状態。システムが肥大化・複雑化し、ブラックボックス化しています。レガシーシステムのエンジニアでさえ、手が付けられない状態になっていることも少なくありません。トラブル発生時には業務の遂行に支障が出るほか、ビジネス変化に対応した改善要求に応えることも難しい。その結果、企業としての柔軟性が失われてしまいます。

ビジネス要求・スピード

ビジネスを取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、企業が抱えるビジネス要件も常に変わっていきます。システムはその要件に応じてスピーディかつ柔軟に変化できることが求められています。

脱レガシーを目指すモダナイゼーションが直面する課題

こうした課題を解決するためには、レガシーシステムのモダナイゼーションが有効です。しかし、そのモダナイゼーションにも様々な課題が存在します。

モダナイゼーションにはシステムのマイグレーションが必要ですが、リスクやコストのバランスを考えて最適な手法を選択することは難易度の高い作業です。例えば、システムがブラックボックス化していると、システム仕様やソースコードの詳細を把握するのは困難です。システムが大規模で多様な業務で使われていると、マイグレーションによる影響範囲が大きくなるため、全体を統括するプロジェクトマネジメント力も求められます。

またマイグレーションにはいくつかの手法があり、何を目指すかによって最適な手法も変わってきます。主なマイグレーション手法とそのメリット/デメリットは下表の通りです。

概要 メリット デメリット
リホスト
(リフト)
アプリケーションロジックや言語を変更しない。インフラのみ移行する アプリケーションの修正は極小。タスクとコストを低く抑えられる アプリケーションのブラックボックス状態は継続
リライト アプリケーションロジックを変更せず言語のみ変更する 言語変換による開発生産性・保守性の向上、オープン化によるエンジニア問題の解消。ロジックを維持するためコストを抑えられる アプリケーションロジックを変更しないため、新機能の追加ができず、業務要件面での課題が残る
リビルド アプリケーションロジック、言語を変換し、システムを全面的に再構成する アプリケーションのブラックボックス状態の解消。業務要件に合わせた新機能の追加が可能 タスクとコストが甚大。期間も長期化し、マネジメントスキル、技術スキルが必要

レガシーシステムの課題解消には「リビルド方式」が最も効果的ですが、これには十分な期間とコストを確保しなければなりません。レガシーシステムのエンジニアだけでなく、オープン技術に精通したエンジニアも必要になり、実現のハードルは高くなります。実際、検討段階で頓挫している企業も少なくありません。

一方、「リホスト方式」は原則的に言語を変換せずに新しいインフラ/プラットフォームへ乗せ換える方式のため、実現性のハードルは下がります。言語変換を行わないため、レガシーシステムの言語技術を引き継ぐことになりますが、ハードウェアのサポート切れなどへの対応としては効果的な方式と言えます。

注目されているのが「リライト方式」です。リライトによりアプリケーションにおける開発生産性・保守性の向上を図り、同時にIaaS、ネットワークなどインフラ面の老朽化を解消します。このリライト方式により、期間とコストを抑えながら本格的なDX推進に備えることができます。エンジニア不足やハードウェアの保守切れなどの問題でオープン化せざるを得ない場合にも適した手法です。

IIJ×ソフトロードが実現するリライト、リホスト方式

レガシーシステムのマイグレーションには、アプリケーションとインフラ両面で最大の効果を出すために密な連携が必要となります。しかし、レガシーシステムを長く運用していた企業は、新しい言語や新しいインフラ、ネットワークに関する技術や知識に乏しく、プロジェクトのマネジメントは非常に困難です。

この課題を解決する有力なパートナーとなるのがIIJです。AI変換技術を用いた「システムリフォーム」を有するソフトロードとの協業により、リライト、リホスト方式によるマイグレーション及びモダナイゼーションをワンストップで支援します。

IIJ×ソフトロードの協業による対応範囲

ソフトロードは600件以上の更新実績を持つ日本最大規模の“システム更新専門会社”です。同社が開発した「システムリフォーム」はメインフレームやオフコンなどのレガシーシステム、老朽化したUNIXやWindowsシステムなどを、先進的なAI変換技術で最新のOSやデータベース、Javaなどのプログラム言語やフレームワークに自動更新します。レガシーシステムをAIが読み解くため、設計書や仕様書がないブラックボックス化したシステムもモダナイゼーション可能です。更新後のテストも自動で実行し、設計書の“再生”にも対応します。

その変換率はほぼ100%。過去の案件すべてにおいて、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が定める納品後バグ密度0.25を大きく下回り、極めて高品質なモダナイゼーションを実現します。

AIが変換やテストを自動実行するため、人海戦術の手法に比べ、圧倒的に少ない人員でスピーディに作業を進められます。人と工期を大幅に圧縮できるため、コストも大幅に削減。モダナイゼーションのQCD(高品質・低コスト・短納期)は格段にアップします。

IIJの強みを活かし、インフラ全般もモダナイゼーション

こうした「システムリフォーム」のメリットをさらに増幅させるのがIIJの役割です。IIJは大規模なシステム構築プロジェクト、多様なクラウドを活用した豊富なシステム構築および運用実績を有しています。この強みを活かし、インフラおよびネットワークの最適化、モダナイゼーション後のセキュリティ強化や運用支援、そしてプロジェクト全体のマネジメントまで幅広くサポートします。

例えば、AS400環境をオンプレミスではなく、クラウドサービスとして提供することも可能です。お客様現行環境のリソース状況を可視化し、パフォーマンス分析を行い、最適なサイジングを実施。この結果を踏まえた上で、各種クラウドサービスおよびオンプレミス環境を含めたシステム構築や統合運用管理サービスも提供しています。

IIJは多くのシステムリプレイス案件を通じて、アプリケーションとインフラが一体となった計画立案やプロジェクト全体のマネジメントと遂行が可能です。

モダナイゼーション後も業務/アプリケーション/インフラがシームレスに連携した運用をサポートします。さらにモダナイゼーションした基盤を軸に、DXの取り組みに欠かせないAI、IoT、ビッグデータ、クラウドなど新しい技術の活用を支援することも可能です。

DXの推進にはレガシーシステムのモダナイゼーションが欠かせません。そしてそのメリットを最大限に引き出すためには、アプリケーションだけでなく、インフラのマイグレーションまで考える必要があります。IIJとソフトロードの協業によるリライト、リホスト方式は、アプリケーションとインフラ両面のマイグレーションにワンストップで対応できるのが最大の強みです。効率的にレガシーシステムを刷新し、その先のDXの取り組みを支える新たな基盤を実現します。