#3 オンプレミスのデータを、SaaSにセキュアに連携する方法とは?

特集

開発者が実践&解説!かんたんデータ連携(EAI)の活用術

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IIJ クラウド本部 プラットフォームサービス部

部長

鈴木 透

執筆・監修者ページ/掲載記事:11件

かんたん・セキュアにデータ連携(EAI)を実現できる「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」は、使い方が無限大。本企画では、具体的にどんな活用方法があるのか、開発者が実践してみせます。今回のテーマは「プライベートネットワーク」です。少し技術的な内容も含むため、特にIT担当者の方におすすめです。

目次
  1. 社内環境にはインターネットアクセスできないシステムがある
  2. 「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」がオンプレミスの一部になる
  3. クラウドやSaaSの利用が増えても、回線の追加は不要
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登場人物

IIJ
クラウド本部
プラットフォームサービス部長

鈴木 透

IIJ
クラウド本部
プラットフォームサービス部 プラットフォームサービス課

佐藤 陽平

社内環境にはインターネットアクセスできないシステムがある

前回までで「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」から簡単にSaaS連携ができることは分かりました。今回は、オンプレミス環境から本サービスまでの接続について詳しくお話を聞きます。
そもそも、社内データベースやファイルサーバをつなごうと思っても、インターネット越しにはアクセスできないですよね。

鈴木

社内データベースやファイルサーバには、事業の根幹を支えるデータや個人情報、機微情報などがありますからね。重要システムは情報セキュリティを確保するため、インターネットとの境界点にDMZを設けてアクセスを制限するのが一般的ですよね。

データベースやファイルサーバとクラウドサービスとの間で、データを中継するサーバをDMZに立てれば、データのやり取りができそうです。ただ、構築の手間がかかるし、運用も大変そうです。

佐藤

IIJクラウドデータプラットフォームサービス」は、IIJのネットワークサービスと合わせてご利用いただくことで、お客様のオンプレミス環境とプライベート接続できます。インターネットからの到達性を持たせたくないオンプレミスのデータベースを本サービスと接続し、本サービスとクラウドサービスを連携させることで、オンプレ環境の安全性を確保することが可能です。これを使えば、中継サーバを立てる必要はありませんよ。

「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」がオンプレミスの一部になる

でも、回線の手配や構築とか面倒じゃないですか?

鈴木

そんなことはありませんよ。ネットワークはすべてIIJが提供しますし、設定もGUI上で完結します。
では、実際にプライベート接続の手順をお見せしましょう。今回は、オンプレミスにあるリレーショナルデータベース(以下、RDB)とプライベート接続してみますね。接続のイメージは図1の通りです。

図1:接続イメージ

RDBから「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」までの経路は、「IIJ Omnibusサービス」と「IIJプライベートバックボーンサービス」を利用している状態から始めます。

(※) IIJ Omnibusサービス:IIJが提供するSD-WANサービス
(※) IIJプライベートバックボーンサービス:IIJが無償で提供する、IIJサービス間を閉域でつなぐネットワーク

これで準備が整ったわけですね。

鈴木

はい、そうです。いよいよ、「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」でRDBとのコネクションを作成します。
GUIのコネクション作成画面で、接続種別(RDB)とコネクションの名前(任意)を入力すると、図2のような接続設定画面が開きます。

図2:コネクション設定画面

接続名、ユーザー名、パスワードは任意のもので構いません。RDB接続のためのプライベートIPアドレスは、ここでは「192.168.1.5」、つまりオンプレミスのRDBと同じIPアドレスなので、これをURL欄に設定して保存します。これで完了です。

これだけでいいんですか!? 本当につながっているか、ちょっと心配です。

佐藤

では接続テストで確認してみましょう。こちらもやり方は超簡単。同じくGUIのツールバーで「接続テスト」アイコンをクリックするだけです。ほら、図3のように「成功」というテスト結果が表示されました。

図3:接続テスト画面

(クリックすると拡大表示します)

繰り返しになりますが、超重要なのでもう一度言います。オンプレミスのRDBと同じプライベートIPアドレスで接続ができています。つまり、このサービスはインターネットを経由せずに、オンプレミス環境の一部のように安全に使えるということです。

クラウドやSaaSの利用が増えても、回線の追加は不要

個別の回線だから、いろいろ大変なのかと思いましたが、本当に簡単なんですね。クラウドやSaaSの利用が増えたら、プライベートネットワークも増やさなきゃいけないんですか?

鈴木

一般的にはそうですよね。もちろん、プライベートネットワークを複数経路用意することもできます。ただ、「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」の場合は、一度つないでしまえばこのサービスがハブになって様々なクラウドやSaaSの連携を集約してくれるので、 図4のように、オンプレミス側のネットワーク構成に手を加える必要はなくなります。SaaSとの連携手順は、前回紹介しましたね。

図4:オンプレミスからSaaSへの連携

最近、会社ではSaaSの利用が増えているので、とても助かります。インターネットではリスクがあって使えないデータも、これなら安心して使えますね。

佐藤

さまざまなクラウドやSaaSと連携することで、多様なデータを組み合わせた利活用が可能になります。より高度なデータ分析、ワークフローの自動化など“できること”も大きく広がるでしょう。