データセンターはどこにある?「場所」が大切な理由とその選定ポイントとは

IIJ 基盤エンジニアリング本部 基盤サービス部 データセンターサービス課

平川 一貴

執筆・監修者ページ/掲載記事:3件

AIによる要約 β版(Microsoft Copilot)

  • データセンターの場所選定が事業継続性や運用のしやすさに与える影響を徹底解説します。
  • 国内外のデータセンター事情を比較し、地政学リスクや自然災害リスクなどの違いを紹介します。
  • IIJの白井データセンターキャンパスは、地震に強く、災害リスクが低い立地で安心です。

IT環境の重要な基盤となるデータセンター。そのデータセンター選びにはファシリティの堅牢さや内部の設備の充実度が重要な要素になりますが、もう1つ、外せない条件があります。それが「場所」です。データセンターがどこにあるかによって、事業継続性や運用のしやすさが変わってくるからです。自社のニーズや要件にマッチした場所を選定することが重要です。データセンターにおける場所の重要性から、その選定ポイントまで徹底解説します。

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目次
  1. データセンターの正確な場所は非公開
  2. データセンターが多い場所には理由がある
  3. 国内/海外で異なるデータセンター事情
  4. 国内データセンターの場所選定のポイントとは
  5. データセンターの場所に対するIIJのこだわり

データセンターの正確な場所は非公開

データセンターには企業や官公庁、自治体などが運営するサーバなどのIT機器が収容されています。そのデータセンターは一体どこにあるのでしょうか。

実はデータセンターの正確な住所は原則非公開です。データセンターは厳格な入退館管理を行っており、部外者は立ち入ることができません。ファシリティ自体も耐震・免震構造により安全に守られています。

しかし、テロや不正侵入など物理的な攻撃を受けるリスクはゼロではありません。重要なシステムが停止したら、ビジネスや社会への影響は計り知れません。そこで大切なお客様のIT環境を守るため、正確な住所を非公開としているのです。

日本データセンター協会(JDCC)のデータセンター一覧でも、公開されているのは県あるいは市区レベルのみです。

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データセンターが多い場所には理由がある

原則非公開のデータセンターですが、大まかなエリアは公開されているケースもあります。その情報を見ていくと、データセンターが多く集まるエリアがあることが分かります。

東京近郊では、千葉県印西市近辺がその1つであり、メガクラウド事業者のAmazonがデータセンターを構えています。IIJも近隣の白井市に「白井データセンターキャンパス」を展開しています。

では、なぜこのエリアにデータセンターが多いのでしょうか。都心からも空港からも比較的近い上、地盤が強固で地震に強く、洪水・土砂災害・液状化などの災害リスクも低いこと、まとまった平坦な土地を取得しやすいことなどが主な理由のようです。こうした“地の利”は以前から注目されており、かねてより銀行の計算センターが多数建設されていました。

印西市近辺以外では、東京近郊なら横浜、東海地方は名古屋、西日本は大阪や福岡、北日本は札幌など大都市周辺にデータセンターが多く建設されています。

国内/海外で異なるデータセンター事情

国内でビジネスを展開する企業や官公庁、自治体は国内のデータセンターが大前提になりますが、海外に拠点がある場合やグローバルでビジネスを展開する企業は、海外のデータセンターも選択肢になるでしょう。場所選定の観点で、国内/海外それぞれのデータセンターのメリット/デメリットを見比べてみましょう。

大きく違いとして挙げられるのは「地政学リスク」「自然災害リスク」「電力供給の安定度」「運用体制」「コスト」の5つです。

地政学リスク

まず地政学リスクは、海外より日本の方が圧倒的に低いでしょう。政情や治安が不安定な国ではテロや地域紛争、暴動、クーデターなどのリスクがあります。政情が安定し、世界有数の低犯罪率を誇る日本では安心してデータセンターを利用できます。

実際、海外の企業が東アジア圏でデータセンターを利用する場合、地政学リスクが低いことから、近年は日本のデータセンターを選択するケースが増えています。

自然災害リスク

一方で、日本は地震や台風など自然災害のリスクが高い国です。特に近年は気候変動の影響から、台風や豪雨による災害が激甚化する傾向にあります。

災害リスクは高いものの、建物の耐震基準は厳しく、耐災害性も高いレベルにあります。DR(ディザスタリカバリ)対策を考えるなら、日本国内のデータセンターに加え、自然災害リスクに低い海外のデータセンターを利用するのも有効な手立てです。

電力供給の安定度

電力はデータセンターの安定稼働を支える重要な要素です。日本の電力供給の安定性は世界屈指ですが、海外は電力インフラが十分に整備されていない地域もあります。

また海外では電力供給の不安定さを自家発電で補っているところもあります。自家発電は非常時には欠かせない設備ですが、これを前提にした電力供給は安定性が高いとは言えません。海外データセンターの利用を検討する場合は、電力インフラの整備状況を忘れずに確認しましょう。

運用体制

国内と海外で技術力には大きな差はありませんが、運用体制には違いがあります。日本のデータセンターの多くは、経験豊富なITエンジニアがトータルでサポートしますが、海外の場合はデータセンターエンジニアという専門職がサポートを担当します。

その中でもファシリティの専門家、ITの専門家など役割も細分化されています。各専門家に任せれば安心ですが、問題はコミュニケーション。母国語だけでなく、英語や日本語サポートに対応しているかどうか確認が必要です。

コスト

コストは人件費、管理費、電力コストなどが大きな比重を占めます。利用の仕方によるため、一概に言えませんが、以前は国内より海外の方が安く済む傾向にありました。しかし、近年は円安傾向にあるため、海外の利用者からみるとむしろ日本の方が安くなるケースもあるようです。一方で国内からの視点でみると、東京オリンピック後も大阪万博やIRリゾート関連など建設需要は依然高く、業界の人手不足も影響し、建設コストは上昇している傾向にあります。更に電力コストは燃料調達が国際情勢に左右されるため、見通しづらいリスクを含んでいます。

国内データセンター 海外データセンター
地政学リスク 政情が安定し、治安も良く安心して使える 政情や治安が不安定な国ではテロや地域紛争、暴動、クーデターなどのリスクがある
自然災害リスク 地震や台風などによる被害リスクは高い 多くの場合、自然災害のリスクは日本より低い
電力供給の安定度 電力供給の安定性は世界屈指 電力インフラの整備が十分でないところもある
技術力 ITエンジニアがトータルに対応する 役割が細分化されたデータセンターエンジニアという専門職が対応する
コスト 利用の仕方による
建設コストは上昇の傾向あり
利用の仕方による

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国内データセンターの場所選定のポイントとは

データセンターを日本国内で利用する場合においても、やはり自社のニーズや要件に合った立地条件で選ぶことが大切です。建物の安全性や設備の安定性はもちろんですが、どこにあるかによって、運用性も大きく変わってくるからです。ポイントとしては以下のような点が挙げられます。

自然災害リスク

まず確認すべきなのが「自然災害リスク」です。そのエリアの大規模地震の発生リスク、台風や豪雨時の洪水・土砂災害リスクなどを確認する必要があるでしょう。

沿岸部より内陸部にある方が、津波の被災リスクは低くなります。対象エリアの災害リスク評価には、自治体が公開するハザードマップが参考になります。

アクセス

駅や空港、高速道路の出入り口に近いといった「アクセスの良さ」も重要な選定ポイントです。例えば、障害が発生した場合はできるだけ早く駆け付け、迅速に対応する必要があります。距離的に比較的近く、アクセスしやすければ、短時間で移動できます。自社や拠点から60~90分程度が1つの目安と言えるでしょう。

電力効率

もう1つの重要なポイントが「電力効率」です。国内データセンターの電力供給の安定性については先ほど紹介した通り大きな心配はありませんが、近年は省エネや脱炭素化の社会的意識が高まりを見せています。データセンターは大量の電力を消費するため、そのエネルギー効率の向上が重要な課題になっています。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを積極的に利用しているか。そうした取り組みを進められる広い敷地を確保しているか。こうした点もデータセンター選びの重要な評価基準になりつつあります。

(関連記事)グリーンデータセンターとは?グリーン化の方法や国内外の動向などを解説

データセンターの場所に対するIIJのこだわり

データセンターは企業経営や行政サービス、社会インフラを支える基盤となるため、ユーザにとっては最適なコストで長く安定的に使えることが重要な条件です。また一度使い始めたら、簡単に移転することもできません。

こうしたことから、IIJはデータセンターの立地条件を非常に重要視しています。現在は全国の主要都市はもちろん、海外にもデータセンターを展開しています。

地域 所在地
東京 東京都目黒区
東京都豊島区
東京都練馬区
東京都三鷹市
千葉 千葉県白井市
神奈川 神奈川県横浜市都筑区
大阪 大阪府大阪市西区
大阪府大阪市北区
大阪府大阪市中央区
島根 島根県松江市
福岡 福岡県糟屋郡
海外 米国(ニューヨーク)
米国(サンノゼ)
米国(ロサンゼルス)
シンガポール(パヤレバ地区)
英国(ロンドン)

東日本・西日本エリアのユーザが最寄りのデータセンターを利用できるのはもちろん、東西エリアや海外のデータセンターも含めてリスク分散を図り、広域なDR対策を実現することも可能です。

いずれのデータセンターも信頼性・堅牢性・拡張性が非常に高く、長期的に安心して利用できます。なかでも「白井データセンターキャンパス」と島根県松江市にある「松江データセンターパーク」は最先端の技術・設備を実装した次世代型データセンター。再生可能エネルギーや蓄電池の活用によるグリーン化、AIを活用した運用自動化などを推進し、省エネや脱炭素化を加速させる新技術の開発・検証・実装にも取り組んでいます。

データセンターのDR対策や、次世代を見据えたデータセンターの最適活用をお考えのお客様はぜひご相談下さい。

(関連記事)最近よく聞く「データセンター」ってなに?(IIJ Engineers Blogへ)

<よくあるご質問>

データセンターの場所は非公開ですか?
データセンターの正確な住所は原則非公開です。データセンターは厳格な入退館管理を行っており、部外者は立ち入ることができません。ファシリティ自体も耐震・免震構造により安全に守られています。しかし、テロや不正侵入など物理的な攻撃を受けるリスクはゼロではありません。重要なシステムが停止したら、ビジネスや社会への影響は計り知れません。そこで大切なお客様のIT環境を守るため、正確な住所を非公開としているのです。

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