未経験でも広がる可能性!情シスで新しい業務に挑戦する面白さ【情シスのキャリア】

IIJ 情シスBoost-up Projectでは、情報システム部門の皆さんに、日々の活動を更に充実させるためのヒントをお届けしています。

本記事は、情報システム部門で活躍する方々のキャリアを通じて、皆さん自身のキャリア設計や情報システム部門の魅力を再発見していただくためのコラムシリーズです。

今回は、信託銀行でITシステムの企画から運用まで豊富な経験を積まれた後、車両輸送事業を展開する企業の情報システム部門でご活躍されているK.J.氏のキャリア遍歴についてお話を伺いました。

K.J.氏のキャリア遍歴についてお話を伺いました

車両輸送業界 情報システム部門 部長
K.J. 氏

信託銀行で営業職としてキャリアをスタート。その後、IT業務に従事し、システム運用・開発から要件定義、企画立案に至るまで幅広い業務を経験。現在は、車両輸送事業を展開する企業の情報システム部門にて部長を務め、IT環境の整備と安定運用の実現に向けた取り組みをリードしている。

目次
  1. ITシステムの企画から運用まで幅広い業務を経験
  2. これまでの経験を活かした異なる環境での挑戦

ITシステムの企画から運用まで幅広い業務を経験

大学を卒業後、信託銀行に営業職として入社されたと伺いました。入社の経緯と、ご経験された業務についてお聞かせください。

K.J. 氏:

就職活動時、宅地建物取引士の資格を取得していたこともあり、不動産関連業務に関心を持っていました。その中で、信託銀行は融資業務を行いながら、不動産関連業務にも携われる点に大きな魅力を感じ、入社を決意しました。

入社後、支店に配属され、主に年金に関する商品やサービスの提案・販売を行っていました。営業の基本を学びながら、お客様との信頼関係を築き、成長を実感する日々にやりがいを感じていました。営業職としてキャリアを積んでいきたいと考えていた矢先、突然異動の辞令が出て、システム部に配属されることになりました。理系のバックグラウンドがない自分がなぜシステム部に異動になったのか、戸惑いと不安を感じましたが、システム部が主導する大規模プロジェクトに参加する機会を得ることができました。このプロジェクトでは、各支店の営業担当者に加え、若手社員の視点を取り入れる方針があり、その一員として選ばれたのです。これが大きな転機となりました。

IT関連業務は未経験とのことですが、必要な知識はどのように習得されましたか?

プロジェクトには銀行のシステム子会社のメンバーも参加しており、彼らからプログラミングや設計に関する知識を学びました。現場と連携しながら要件定義を行い、その後のプログラム修正や設計書作成を通じて実務的なスキルを磨きました。
この経験を通じて習得した構造化プログラミングの考え方は、その後の業務で非常に役立ったと感じています。また、開発ベンダーとやり取りする際に、彼らの立場や課題を理解できるようになり、より円滑な協力関係を築くことができたと感じています。

システム部で大規模プロジェクトに携わった後、ポートフォリオマネージャーに転身されたと伺いました。これはご自身の希望によるものでしょうか?

システム部で年金のファンドマネージャー業務に関連するデータを扱っていたことがきっかけで、ファンドマネージャー職に興味を持ち、異動を希望しました。
ただし、すぐにその役割を担うのではなく、まずはポートフォリオマネージャーとして、ファンドマネージャーとお客様をつなぐ役割を経験しました。

そろそろファンドマネージャーとしての業務を経験したいと考えていたところ、ファンドマネージャーやポートフォリオマネージャーの業務をシステム化するプロジェクトに参加する機会を得ました。私の役割は、現場の担当者とシステム開発ベンダーの間に立ち、要望を正確に伝えることでした。システム要件を適切に定義するには、業務への深い理解が求められますが、ポートフォリオマネージャーとしての経験を活かすことで、業務効率化の実現に貢献できたことに大きな達成感を感じました。

その後も引き続き、IT業務に携わっていたのでしょうか?

その後はシステムの管理・運用に関する改革プロジェクトに携わりました。
当時、各部署で異なるシステムが運用されており、管理面で課題を抱えていました。
開発には各業務に対する深い知識が必要なため、他部署が担うのは現実的ではありませんでした。しかし、運用については共通点が多いため、IT部門が一括管理する方が適切だと考えました。この案を経営陣に提案して承認を得た後、部下やシステム子会社のメンバーと協力し、分散していたシステムを一元管理する体制を構築しました。この結果、現場の担当者は本来の開発業務に集中できるようになり、業務効率が大幅に向上しました。

プロジェクト完了後は、信託銀行におけるIT全般の企画推進を担当し、次長としてチームマネジメントにも従事しました。これまで構築してきたシステムに加え、様々な業務依頼に対応する中で、金融庁の監査対応を含む幅広い業務に携わり、大変充実した経験を積むことができました。

更にその後は、グループに属する別の銀行のITシステム統括部の部長として、プロジェクトマネージャーの統括や重要案件に関する経営陣への説明・承認、進捗管理及びサポートを担当しました。

これまでの経験を活かした異なる環境での挑戦

現在は車両輸送事業を展開する企業で情報システム部門の部長としてご活躍されているとのことですが、どのような経緯だったのでしょうか?

K.J. 氏:

銀行からの出向を経て、現在の会社に移りました。
現在はIT戦略の策定と、その実現に向けて複数のプロジェクトを立ち上げています。

入社当初、IT部門の業務が属人化していることや、会社全体としてIT戦略が明確でないことが課題でした。そこで、業務の標準化を目指し、システムのライフサイクルを考慮した戦略を経営陣と共に検討しています。これまでの経験を活かし、組織のIT環境を整備し、安定した運用を実現するべく取り組んでいます。

今後、より注力したいことはありますか?

リスク管理を専門に担当するチームを立ち上げ、組織全体のリスク管理体制を強化したいと思っています。

銀行では、IT部門の中に「開発」「運用」「リスク管理」など、それぞれの分野に精通した専門組織が設けられていました。一方、現在の企業では、これらすべての業務を包括的に担当しています。しかし、開発や運用を担当する社員が自身の業務範囲についてリスク管理を行う場合、客観性を欠き、リスクを見落とす可能性があります。そのため、専門チームによる客観的な視点を取り入れることで、組織全体の健全性を確保する必要があると感じています。
また、DXについてはもっと取り組む必要があると感じています。

これまで様々な業務をご経験されてきた中で、情報システム部門ならではの魅力はどのような点に感じますか?

各部門で使用するシステムを通じて、業務理解を深められる点だと感じています。
システムは単なるツールではなく、業務のプロセスや現場で直面している課題を可視化し、効率化や改善のヒントを与えてくれます。例えば、営業経験がなくても、システムを介して営業部門の活動を理解し、現場のニーズに応じた最適な提案ができることは、他の部門では得られない貴重な視点です。
今後、DXを更に推進するためには、システム的な視点が必要です。どの部署においても、ホワイトカラーの従業員にとっては必要不可欠なスキルになると考えています。情報システム部門は、こうしたスキルを習得できる場であり、その点が魅力の一つだと思います。