大規模から小規模まで、オンプレミスだけでなくクラウド(Microsoft 365を含む)などのシステム導入において、提案活動やプロジェクトマネージメント(PM)、運用を多数担当。近年は公共のお客様を中心に提案から運用までを実施。
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オンプレミスの業務アプリを脱し、OA環境のクラウド化に取り組む企業が増えています。クラウドサービスの導入自体は決して難しい作業ではありませんが、導入後の運用まで見据えておかないと、思わぬリスクを抱え込むことになります。これはOA環境のクラウドサービスとして広く利用されている「Microsoft 365」でも同じこと。Microsoft 365導入に伴う検討課題と、その解決を支援するIIJのサポートサービスを徹底解説します。
企業における業務用のOA環境はクラウド化の一途をたどっています。コロナ禍でこの流れに拍車がかかりました。在宅勤務をはじめとするリモートワークの必要性が高まったからです。コロナ禍は収束し、最近はオフィス回帰の企業が増えていますが、引き続きリモートワークも新しい働き方の1つとして定着しています。
SaaSをはじめとするクラウドサービスは設備機器の購入が不要で、すぐに利用を開始できるのがメリットです。しかし、契約だけ済ませれば容易に利用できるものではありません。コロナ禍をきっかけに、急ピッチで導入が進められた結果、様々な問題に直面している企業が少なくありません。
よくある失敗パターンが社内システムの「今」を把握せずクラウド化してしまったケース。既存システムの開発・運用はベンダー任せにした結果、お客様自身がシステム連携やデータの流れを把握していない場合があるのです。その状態でクラウドを導入すると、後からセキュリティや運用の見直しが必要になることがあります。まず現状のシステム構成やデータの流れをお客様自身が把握し、その上で自社に最適なクラウドサービスを選定することが重要です。
IIJが考える、クラウドサービス導入で失敗しないための選定ポイントは以下の通りです。
特に重要になるのがデータ保護です。SaaSのデータは様々な部門のユーザが利用し、社外からアクセスすることもあります。データの保存場所やアクセスコントロールの仕組みは事前に確認が必要です。
サービスの停止は業務の停止やビジネス機会の損失につながります。SLAで定義された障害発生頻度、平均修復時間などを確認し、自社としてどの程度のサービス停止なら許容できるかを検討します。
提供しているサービスや機能が現在の業務フローにマッチしているか。操作性や利便性は満足できるものか。現場のユーザ視点で検討することが重要です。
SaaSサービスのUIや機能は不定期で変更されることがあります。アップデートによって操作性が変わったり、今まで使えた機能が使えなくなったりすることもあるので注意が必要です。
基本的にSaaSはインターネット接続で利用することが前提。既存ネットワークのままではレスポンスが低下し、処理遅延などの原因になることがあります。導入後の利用状況を見据え、帯域や同時接続セッション数など適切なネットワーク設計が不可欠です。
上記の選定ポイント以外にも、実際にクラウドサービスを利用する際は、運用プロセスや体制の整備、既存システムとの連携や切り替えなど検討すべきことは多岐にわたります。これらを適切に設計しないと、かえって運用の負荷が上がったり、情報漏えいなどセキュリティインシデントにつながったりするリスクがあります。
OA環境のクラウド化には「Microsoft 365」が広く利用されていますが、その導入にあたっても、現状のシステム構成やデータの流れを把握し、先述した選定ポイントに基づく検討が必要です。
Microsoft 365は業務アプリをクラウド化するだけでなく、Teams(チャット、Web会議)、Exchange Online(メール、予定表)、SharePoint Online(ポータル機能)などを利用でき、チームやメンバーとの情報共有やコミュニケーションを支える重要な基盤となります。既存システムとの整合性や連携性、導入後の運用やセキュリティを含めた最適化を考えることが欠かせません。
情報システム部門が高い技術力を有している企業は自社で検討・対応することが可能ですが、クラウド技術に精通しているエンジニアがいない場合、自分達だけで適切な導入・設計・運用を行うことは大きなハードルです。
“失敗しない”Microsoft 365の導入とその価値を最大化するため、IIJは以下のようなサービスやソリューションを提供しています。
お客様に最適なMicrosoft 365環境を提案し、ライセンスからセキュリティ、ネットワークまで必要なサービスをワンストップで提供します。
お客様拠点とデータセンター、主要クラウドサービスを閉域網で相互接続し、インターネットを介さないセキュアなクラウド接続が可能です。
MicrosoftのMDMサービス「Microsoft Intune」の設定・検証・運用やポリシーの最適化までワンストップで支援し、最適なデバイスマネジメントを実現します。
クラウド型の認証管理サービス(IDaaS)。お客様環境に最適な不正ログイン対策とシングルサインオン(SSO)を実現します。
IDの管理・認証・認可に求められる多様な機能を自由に組み合わせて提供可能。IDガバナンスと認証セキュリティの強化を実現します。
IIJは上記サービスの提供に加え、お客様の個別要件にも柔軟に対応します。メニュー化されたサービスだけでは対応できない要件は、IIJエンジニアが個別にインテグレーションするのです。そのプロセスは主に以下の表のような流れで進めていきます。具体的にどのような対応が可能なのか、豊富な実績の中から一例を紹介します。
プロセス | 概要 |
---|---|
①現状のシステム環境を可視化する | どのシステムがどのような処理を行い、どんなデータを生成・処理しているのか。システム間の連携やデータの流れを把握・可視化する |
②現状の課題を抽出・整理する | 業務部門や情報システム部門にヒアリングやアンケートを行い、現状のシステムにおける業務上の課題や運用面の課題を抽出・整理する |
③抽出した課題と要件をすり合わせる | お客様が実現したい個別要件と現状の課題をすり合わせ、「お客様が何に困っているか」「それをどう改善すればいいか」を明確にしていく |
④個別要件としてインテグレーション | 既存のシステムやデータ、業務フローとの整合性を踏まえ、最適な仕組みを構築する。実現方法は新たな仕組みをスクラッチ開発する場合もあれば、IIJサービスのカスタマイズで対応する場合もある。コストや工数をお客様と相談し、最適な方法を提案する |
Entra IDを用いた認証はもちろん、Microsoft Intuneを用いたマルチデバイス対応のセキュアな認証基盤を構築します。「IIJ IDサービス」をカスタマイズし、お客様の要望に合った認証・認可の仕組みも構築可能です。
既存メール環境からExchange Onlineへの切り替えにおける問題点を洗い出し、オンプレミス環境を含めた最適なメール環境を実現。既存環境からExchange Onlineへのメールデータの移行も支援します。
オンプレミスからSharePointへの切り替えに伴うデータ移行、新たなポータルサイトの構築などを支援します。
人事マスタやActive Directoryと連携したMicrosoft 365のアカウント作成やライセンス付与、Microsoft 365と「IIJセキュアMXサービス」の連携によるメールセキュリティ強化などをスクリプトによって自動化します。人手で行っている社内業務フローも「IIJアイデンティティ&アクセスマネジメントソリューション」や業務自動化ツール「Microsoft Power Automate」を活用して自動化します。
IIJの専任チームが運用立て付けの再構築を支援します。システムの導入だけでなく、OA環境のクラウド化後の運用を見据えた運用立て付けにより、最適な運用体制・プロセスを実現します。また、切り替え後はSES(システムエンジニアリングサービス)がお客様の環境のサポートを実施します。
IIJは、サービスやソリューションの活用に加え、その枠を超えた個別要件も含め、100件以上のMicrosoft 365の導入支援実績があります。サービスやソリューションを利用することで構成をシンプル化し、それらでは難しい部分は個別対応していくというのがIIJのスタンスです。更にその後の運用・保守までライフサイクル全体をトータル支援できるのもIIJの強みです。
OA環境をクラウド化したい――。既にクラウド化したものの、課題が顕在化している――。そんなお客様はぜひ一度、IIJへご相談ください。