店舗運営の慢性的な人手不足、求められる省力化への現実解とは

小売業界の慢性的な人手不足を解消するために、店舗運営における省力化・省人化の取り組みが急がれます。IoTやAIなどを活用して、人手に頼らない販売業務や防犯対策を実現する方法とは。設備投資を抑えた効率的な省力化ソリューションをご紹介します。

目次
  1. 深刻な小売業界の人手不足
  2. 「IIJ IoTサービス」による省力化・省人化の取り組み
  3. 省力化・省人化による店舗運営の実現へ

深刻な小売業界の人手不足

昨今の労働市場では、労働生産年齢人口の減少や超高齢化により慢性的な人手不足の問題が顕在化しています。特に小売業での人手不足は深刻です。厚生労働省「雇用動向調査」(※1)によると、小売業の欠員率は2.9%で全産業の平均を上回る水準です。また、人材の確保や流出防止のための賃金アップで人件費が上昇し、利益率が悪化する傾向にあります。さらに、小売業の労働装備率は659万円/人で他産業と比べて低く(※2)、生産性向上による省力化・省人化で人件費の削減が求められています。

(※1)厚生労働省「雇用動向調査」2016
(※2)出典:財務省財務総合政策研究所「法人企業統計調査」(平成30年度)『労働装備率』

このような状況下で、日本でも小売業における省力化・省人化に向けた取り組みは活発化しています。例えば、駅のKioskを無人化する実証実験、コンビニ大手のセルフレジ導入、海外でもAmazon Goなど、積極的な取り組みが行われています。しかし、実際には一店舗あたりの投資額が大き過ぎるため、期待する費用対効果が見込めない場合が多く、省力化・省人化の普及には課題が残ります。帝国データバンク「2019年度の設備投資に関する企業の意識調査」によると、「設備投資計画がある」と回答した企業は62.3%に上るものの、「すでに実施した」と回答した企業は6.6%に留まっており、設備投資が進んでいないことが分かります。このことから、多くの企業にとっては、極力設備投資を抑えた効率的な省力化・省人化への取り組みが必要と言えます。

「IIJ IoTサービス」による省力化・省人化の取り組み

IIJでは、2008年より法人向け高速モバイルデータ通信サービスである「IIJモバイルサービス」の提供を開始しました。「IIJモバイルサービス」を活用することで、ネットワークの敷設コストやロケーション的な制約によりオンライン化が難しかった現場業務のIT化を推し進めています。最近では、IoTを活用したスマート農場を普及させる取り組みとして、水田の水管理を省力化・省人化する「IIJ水管理プラットフォーム for 水田」を開発。水田の水管理にかかる労働負荷の大幅な軽減を実現しています。また、2020年の6月に義務化されたHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)の中でも食品の衛生管理で最も重要な温度管理を省力化・省人化する「IIJ LoRaWAN®ソリューション for HACCP温度管理」、製造業のスマートファクトリー化、ものづくり現場のプロセス改革を推進する「Cognitive Factoryソリューション」、産業機械・工場設備のリモートモニタリング、リモートメンテナンスを実現する「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」などのソリューションを提供。IoT・AI技術の活用による生産管理の自動化・最適化で、人手で行っていた作業の省力化・省人化を実現しています。

省力化・省人化による店舗運営の実現へ

各業界で省力化・省人化の取り組みは進んでいるものの、「長時間労働」「休日の少なさ」「低賃金」などから、2019年の人手不足倒産は前年比で約1.3倍(※3)になっており、年々倒産が増え続ける小売業への関心は特に高まっています。

(※3)出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」

小売業における人員の効率的な活用による省力化・省人化への取り組みは、消費者の来店から購入までの行動及び従業員の業務において、様々な場面で進められています。

例えばレジ業務であれば、セルフレジやスマートレジカートなどの導入が行われ、商品のバーコードのスキャンや梱包、会計までの一連の行動を消費者が実施する場面も多く見かけるようになってきました。お酒を買う時の年齢確認や、何か困ったことがあった際は従業員が対応する必要がありますが、レジ業務全体でみれば人員の削減が可能です。また、店員が現金を触ることが減るため、レジ締めなどの業務効率が上がるだけでなく、現在の社会的課題であるウイルスの接触感染を抑制するために店員と消費者の接点を極力減らせるという効果もあります。セルフレジによる商品の読み取りには、バーコード以外にもRFIDタグを値札に埋め込むことで買い物かごに入れただけで読み取りが完了するものや、画像認識により手に持ったタイミングで自動的に読み取るものなど、様々な仕組みが導入されています。

検品や在庫管理の省力化・省人化でも、RFIDの導入が行われています。定期的に実施が必要な棚卸し作業は、ラベルやバーコードを一つ一つ読み取り、在庫数を確認する必要があります。この方法ではどうしてもカウント漏れや読み取りミス、台帳への転記ミスといったヒューマンエラーを防げません。RFIDであればリーダーをタグにかざすだけで読み取りが可能なため、正確に在庫を管理できます。さらに、ECサイトと実店舗を運営している場合、ECサイトから購入された商品が実は店舗で売り切れてしまい、在庫切れになっていた、というケースが発生することがあります。このような場合も、RFIDを導入すれば在庫をデータとして保持できます。これにより、実店舗で購入された品物とECサイトで購入された品物の在庫をリアルタイムに管理することが可能になり、予期せぬ在庫切れを防げます。これまでRFIDはコストが高いことが導入障壁となっていましたが、金属容器や冷凍など特殊な条件がなければ、1枚5円という低価格での提供も開始されています。取扱商品の単価が比較的高く、棚卸作業が負担になっているアパレル業界などでは、RFIDを導入することで正確でリアルタイムな在庫管理による生産性向上と、人件費削減の効果が見込めます。

また、値付けの省力化・省人化であれば、AI活用によるダイナミックプライシングの導入も行われています。賞味期限や競合価格、天気などの情報からAIが最適な価格を算出することで、値札の付け替えなど価格変更にかかる時間とコストを削減し、需要と供給の状況に応じた価格設定の実現により、収益の最大化が見込めます。清掃業務の省力化であれば、自律走行型清掃ロボットの導入が行われています。

省力化・省人化以外の領域では、店舗運営のデジタル化として、RFIDや重量センサーなどIoTの活用が行われています。来店者が特定の陳列棚の前に立っている際に、RFIDと重量センサーによって「その人がどの商品を手に取ったか?」を識別することで、消費者の行動動線やアクションをデータで把握でき、店舗レイアウトやマーケティングへの活用が可能になります。

デジタルサイネージやデジタルシェルフなどの導入も行われています。静止画の切り替えや動画の再生により、チラシやポスターの作成、印刷、貼り付けなどの時間とコストを削減し、時間帯や天気、エリアに合わせた情報の提供を行うだけでなく、カメラと組み合わせることで、サイネージ付近にいる消費者の年齢や性別といった属性をとらえた最適な情報の提供も可能になり、従来と比べて効果的な訴求を実現しています。

IIJでは、設備投資を抑えた効率的な店舗運営の実現を、AIを活用した自動化によって推進しており、従業員の販売業務と防犯対策の省力化・省人化を重視した「省力化・省人化店舗ソリューション」を提供しています。

消費者の来店から商品の選択、購入までスマートフォンアプリによる一括操作での買い物を実現することで、一般的に必要とされる高額なPOSレジシステムの導入を必要としない従業員の販売業務の省力化・省人化ができます。

また、IoTデバイス向けのSIMとネットワークカメラ、カメラ動画のAI分析を組み合わせたソリューションでは、消費者の不正な動作を検知・監視しつつ、従業員の監視業務の省力化も実現しています。完璧に不正を検知し無人化を目指すものではなく、不正しづらい環境作りを目的とするため、AIによる分析結果を考慮した店舗内環境の改善などにより、カメラの台数を最小限に抑え、圧倒的な低コストでの導入を実現しています。AIは店舗での混雑予測、行動分析など利用目的に応じた学習済みモデルを備えており、低コストですぐに利用を開始できます。このソリューションを活用いただくことで、極端な設備投資を回避し、投資対効果のバランスを強く意識した展開を可能としています。

投資コストを抑えて自社に合った店舗運営の省力化・省人化で人件費削減をご検討の方は、ぜひ一度「省力化・省人化店舗ソリューション」をご検討ください。お客様が抱える課題に応じて、RFIDや重量センサーなどの各種デバイスを活用したIoTサービスで、在庫管理の省力化・省人化や店舗運営のデジタル化の支援も実施しています。また、従来人が判断をしなければならなかった部分に対してAIカメラを適用することでコストを抑えた省力化・省人化を実現する「AIカメラソリューション」も提供しています。お気軽にご相談ください。

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