GA4とBigQueryを連携すると何ができるの?

IIJ サービスプロダクト推進本部 プロモーション部

吉本 佐保

2016年からサービスのプロモーションを担当。当初はサービスサイト制作をしていたが、今はWebサイトへの集客が主な担当業務。
ペットは陸ガメ。17歳。

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Webサイトを運用している方なら、一度は聞いたことがある「BigQuery」。IIJの法人向けサイトを担当している私の部門でも、Google アナリティクス 4(以下、GA4)とBigQueryを連携して利用しています。今回は「2つを連携すると何ができるのか」についてご紹介します。

目次
  1. 毎週の進捗レポートがたいへん!
  2. GA4の導入と、無償版GA4の盲点
  3. GA4とBigQueryを連携
  4. Looker Studioでデータを可視化
  5. これまでとこれから

毎週の進捗レポートがたいへん!

私のいるデジタルマーケティング部門では、法人向けサービスのプロモーションで得られたデータを分析・活用して、お客様へ価値ある情報を届ける活動をしています。

Webサイトに、どんな媒体から、どんな人が、何に興味を持って流入してきているのか?流入後の行動は?Web広告の成果は目標に達しているのか?などを週次で確認するのですが、これが一仕事。分析のためにはアクセス解析データ、申込データ、目標値データ、広告の配信データなど多くのデータを見る必要があります。毎週、手作業でデータを集めて結合するのは手間も時間もかかります。もっと早く集計して、もっと早く次の手を打ちたい…歯がゆい状態が続いていました。

GA4の導入と、無償版GA4の盲点

私達がGA4の導入を決めたのは2021年後半。それ以前は別の有償アクセス解析ツールを使っていました。乗り換えの決め手は周辺ツールとの連携がしやすいこと、情報が豊富なこと、そして無料で使えることでした。

GA4の導入後、まず行ったのが申込データとアクセス解析データの紐づけです。コンバージョン地点となるページ(フォームの完了画面など)は、MA(マーケティングオートメーション)ツールで生成されます。そこで、MAのコンバージョンページにユニークなID(申込ID)を出力し、GA4で取得できるようにしました。

GA4データとの紐づけ

実はIIJでは、法人サービスが100以上あり、問い合わせフォームや資料ダウンロードフォームの数も160種類以上あります。申込IDをキーに紐づけをすることで、どんな媒体や広告からサイトを訪問し、どんなコンバージョンをしてくれたのかという、一連の流れが確認できるようになりました(詳細は割愛しますが、プライバシー保護の観点から、個人を特定できる情報の紐づけは行っていません)。

ところで、GA4のデータ保存期間をご存じでしょうか? 無償のGA4を利用する場合、保存期間は最長で14ヵ月(2023年12月時点)となっているため、前年度の実績を見ることができません。また、GA4の探索レポートや目標到達プロセスではイベントが一定の上限を超過するとデータがサンプリングされてしまい、全量を見ることができません。今のところ、私が担当しているサイトではデータはサンプリングされていませんが、アクセス数が大きなサイトを運用する方は注意が必要です。

※最新情報は、公式サイトのヘルプをご確認ください。

GA4とBigQueryを連携

GA4の完全なデータが取れないと、正確な分析ができない!そこでGA4データをBigQueryに連携し、全量データの参照・保存を無期限で行えるようにしました。

BigQueryはGoogleのクラウド(Google Cloud)で提供されるデータベースのサービスです。データを取り出すためには、SQLクエリを書く必要があります。急に難しくなりましたよね?ここからは、外部のパートナーさんの力を借りて実装を進めました。

以下は、キャンペーンのデータをBigQueryのコンソールから出力するイメージです。期間を指定して「実行」ボタンをクリックし、結果をCSVファイルでダウンロードしています。

BigQuery画面イメージ

実際にクエリで出力したデータとサンプリングされていないGA4のデータを見比べると、数値に若干の差が出ます。ツールによって流入元の計測方法などデータの取り方に違いがあるため、どちらのデータを採用するかなどは事前に決めておく必要がありそうです。

GA4とBigQueryを連携

BigQueryに連携するために料金がかかるのか?も気になるポイントです。BigQueryにはGoogle Cloudの無料枠の一部として無料で使える枠がありますが、「毎月10GBまでのストレージと毎月1TBまでのクエリデータ処理」などの制限があります。IIJではGoogle Cloudの有償アカウントにBigQueryの紐づけを行っているため課金が発生しますが、月に数10円程度と安価です。

※Google Cloudの料金体系について詳しくは、BigQuery の料金をご確認ください。

Looker Studioでデータを可視化

さて、GA4とBigQueryの連携が無事に済んだところで、いよいよデータの可視化(ぱっと見て状況が分かるような表やグラフでの表現)に着手しました。毎週の会議で、チーム全員が進捗を把握できるレポートを作るには、GA4から取れるデータ以外に、目標データ、広告の配信データなどのローカルデータも必要です。これらのデータもすべてBigQueryへ投入し、レポート出力に必要なSQLクエリも作成しました。

Looker Studioでデータを可視化

可視化ツールにはGoogleのLooker Studioを選びました。無償で利用ができ、他のGoogleサービスとの互換性も高く簡単に接続できます。可視化するにあたって、今まで目視でやってきた突合作業や慣例でやっていた手作業をすべてルール化する必要があり、ローカルデータの整備にかなり苦心しました。現在では、以下のようなレポートで毎週の進捗管理を行えるところまで来ています。

Looker Studioのダッシュボードイメージ

これまでとこれから

これらを全部、私1人でできたわけではありません。外部のパートナーや、社内のクラウドサービス部門のサポートを受けて対応しました。多くのサポートに感謝しつつ、この後はいよいよ、より早くPDCAを回して、デジタルマーケティングの効果最大化を目指していきます!

最後に、IIJではGoogl Cloudの導入をお手伝いする「IIJクラウドサブスクリプションライセンス」や、GA4とBigQueryの連携サポート(有償)、「IIJクラウドWebホスティングサービス」なども提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。