アルペンが取り組んだ“無理をしない”データ活用基盤の内製化【イベントレポート前編】

DX推進やAI活用など、データドリブン経営の重要性が高まる中、情報システム部門には、従来の「守り」から脱却し、改革をリードする役割が求められています。
しかし現実には、「人材が足りない」「育成が進まない」といった課題に直面し、思うように進められない企業も少なくありません。

こうした課題へのヒントを得るべく、2025年12月19日に「非IT人材を戦力化し、人材不足を突破する ~アルペン流 内製化成功の秘訣~」と題したIIJ Motivate Seminarを開催。アルペンでデジタル本部を統括する蒲山 雅文氏に登壇いただきました。本記事ではこのセミナーの模様をお届けします。

本セミナーは2026年3月31日(火)までの期間限定で、アーカイブ映像を公開しています。実際の発表や質疑応答の模様は、ぜひ映像でもお楽しみください。

課題解決のヒントと明日への活力を得られるIIJ Motivate Seminar
非IT人材を戦力化し、人材不足を突破するアルペン流 内製化成功の秘訣
【無料】アーカイブ動画を視聴する

株式会社アルペン
執行役員 デジタル本部長 兼 情報システム部長
蒲山 雅文 氏

2019年アルペン入社。全社IT戦略策定から全社システムの構想、構築を主導し2022年から現職。脱レガシー・クラウドシフトの傍らでデータマネジメントの内製化を進め、さらに近年はデータの管理から利用へと活動をシフト。データ活用による各種意思決定の支援や、機械学習・AI活用を通じた各種取り組みの加速や効率化を推進。

アルペンは、スポーツ・接客を志向する人材が入社し、まず店舗でキャリアを積むという構造上、IT専門人材を育てにくい環境にあります。加えて、レガシー基盤と“Excel職人”依存の硬直化したデータ活用体制という課題に対し、蒲山氏は「無理をしない内製化」を合言葉に、段階的かつ着実にデータマネジメント改革を進めてきました。

本セミナーでは、
  • BI導入から始まるデータ活用基盤の再構築と内製チームの立ち上げ
  • 経営・現場・外部ベンダーを巻き込むステークホルダーマネジメントの実践
  • 「0→1はITリーダーが走るべき」という現場でつかんだ変革の核心

など、現場から導いた内製化の現実解が数多く語られました。

目次
  1. 非IT人材中心な会社で行き着いた「無理をしない内製化」
  2. 内製化データマネジメント│2019〜2023の変革
  3. 経営層とのコミュニケーション│内製化の“恩恵とリスク”を同時に伝える(後編)
  4. 社内人材の戦力化│「0→1」はリーダーが走り“着想”を現場から引き出す(後編)
  5. 外部とのつきあい│「クラウドサービスベンダー」と「馴染みのベンダー」(後編)
  6. 変革の起点はITリーダーの『覚悟』(後編)
  7. Q&A・トークセッション(後編)

非IT人材中心な会社で行き着いた「無理をしない内製化」

蒲山氏:

私はSIerで開発の基礎を学んだあと、コンサルとして約11年働き、2019年にアルペンへ入社しました。現在はデジタル本部を統括しており、情シスに加えてDX企画・データ分析・ECも担当しています。今日は「ステークホルダーマネジメント」という切り口で、当社がデータ活用の内製化をどのように進めてきたかをお話しします。

まず前提として、アルペンは構造的にITの専門人材を育てにくい会社です。スポーツや接客を志向する新卒が店舗でキャリアを積み、その一部が本社へ、更にその一部がIT部門に来る、という流れが基本です。中途採用も多くはなく、専門職としてエンジニアを集めるのは難しい状況です。また、オフィスを分けない方針のため、戦略的なIT子会社を作ることもできません。

一方で、小売は市場変化のスピードが速く、ITも同様にスピーディーに動かす必要があります。そこで行き着いたのが「無理をしない内製化」でした。瞬間的に頑張っても続かないと考え、まず“やらないこと”を決めるところから始めました。

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事業の中心に関わる領域は内製化せず、止まると事業継続に影響が出る“モノの流れ”には手を出さない。その代わり、“データの流れ”に積極的に介入し経営や意思決定を支える領域に絞って内製化を進めることにしました。

人材についても、技術力を前提にはしていません。思考力や提案力を重視し、地頭が良ければ扱えるツールで内製できる範囲に限定する。足りない部分はAIやレガシー保守ベンダーに支援してもらう。そうした形で、無理のない内製化を進めてきました。

内製化データマネジメント│2019〜2023の変革

ここからは「内製化データマネジメント」の具体事例です。ステークホルダーマネジメントの話に入る前に、当社の内製化がどう進んだかを時系列で整理します。

2019年当時、データ活用はかなり硬直していました。レガシー基盤のデータを“Excel職人”が加工するという、いわば“職人芸”に依存した状態です。売上明細は年間1億件あり、Excel中心では限界がありました。

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■BI・DWHを導入し、固定レポートから自由分析へ

まず内製でBIを導入し、Excel偏重の状態から脱却しました。基幹システムには触らない前提で既存データを取り込み、本社と経営が見る指標を共通言語化しました。

次に、レガシー基盤の制約でデータが2年分しか保持できないことが壁になりました。そこでDWHを導入し、売上・在庫に加えてECや顧客データも扱えるようにしました。コロナ期のように事業が大きく動く時期の変動を、その前後まで含めて見られた点は、大きな意義があったと感じています。

更に分析を深めようとすると、既存DWHでは運用形態の関係でコストが見合わない懸念が出てきました。そこで蓄積用と分析用でDWHを分け、「固定レポート」と「自由分析」の役割を分担させることで、柔軟性とコストの両立を図りました。BIも用途に応じて拡大し、店舗向けにも展開しています。

■専門家依存からの脱却。“Excel職人”を核にした分析組織の立ち上げ

インフラは整いましたが、専門的な分析ノウハウが社内にないという課題が残りました。採用もコスト面から簡単ではありません。

そこで、同じデータを2社の分析会社に見てもらい、インサイトの違いを比較しながら、「データ分析で何ができるか」を掴んでいきました。

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理解が進むほど「これは内製化した方が絶対に意味がある」という思いが強くなり、社内のExcel職人たちを情報システム部配下に集めて、データ分析組織を内製で立ち上げました。

これにより、経営向けの多角分析、部門長向けの課題・ポテンシャル可視化、店舗向けのCRMや商圏観点まで、内製で対応できる状態へ移行しました。


続くレポート後編では、メインテーマである「ステークホルダーマネジメント」に加え、視聴者の皆さんからいただいた質問にお答えするQ&A・トークセッションの様子をご覧いただけます。

(次ページ)ITリーダーを取り巻くステークホルダーたちとの向き合い方

本セミナーは2026年3月31日(火)までの期間限定で、アーカイブ映像を公開しています。実際の発表や質疑応答の模様は、ぜひ映像でもお楽しみください。

課題解決のヒントと明日への活力を得られるIIJ Motivate Seminar
非IT人材を戦力化し、人材不足を突破するアルペン流 内製化成功の秘訣
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