企業のIT予算のおよそ8割を占…
(前編から読む)
IT部門が本来の姿を取り戻し「攻めのIT」を加速していく――。この実現を支援するため、IIJは新たなソリューションの提供を開始しました。それが「ストラテジックITアウトソーシング」です。このソリューションは、定められた要件に基づいてITインフラの役務や資産を提供する従来のアウトソーシングサービスとは大きく異なります。
最大の特長はIT部門が持つ事業目標・KPIに基づいて、お客様とともにIT組織の構造変革を進めること。お客様は適切なコスト状態を維持しながら、「守りのIT」のコスト比率を、より多く「攻めのIT」へと転換していくことが可能になります。
IT組織の構造変革を含むシフトチェンジには、ハード/ソフト、システム構築から運用・保守に至る幅広いフェーズの技術と知見が求められます。サービス事業とインテグレーション事業を併せ持つIIJだからこそ実現できた、高度な提供価値をもたらすソリューションです。
ストラテジックITアウトソーシングが提供する内容は大きく3つあります。1つめは「ワンストップの調達力」。IT部門が管理するハード/ソフトを含むすべてのインフラおよび外部サービスを、業績目標・KPIに基づいてIIJが一括で調達します。ビジネス環境やシステム要件の変化に応じて、最適なインフラやサービスを継続的かつトータルに提供するので、IT部門は調達にかかる煩雑な業務から開放されます。
2つめは「運営業務の代行」です。提供するインフラおよびサービスの運営業務全般をIIJが代行。高品質な運用サービスにより、システム全体の安定性・可用性を担保し、IT部門の業務負担を大幅に軽減します。
そして3つめは「ITコストの継続的な削減」です。提供範囲におけるシステム維持運用のコストを、お客様と合意した比率で、長期契約(年次など)による更新サイクルで継続的に削減していきます。つまり、役務と資産の提供範囲を長期契約することで、「前年比○○%のコスト削減」といった形でコスト削減幅を高めていくのです。当然、初年度より2年目、2年目より3年目になるほど、全体に占めるシステム維持運用コストの削減比率は高まっていきます。
このほかにも、ITコストを変動することなく同一単価で提供しシステムスペックを向上させるプラン、社員のスキルレベルに応じた育成カリキュラムでIT人材育成を支援するプランなど、お客様のKPIに沿ったサポートも可能です。
ストラテジックITアウトソーシングが従来のアウトソーシングサービスと大きく異なる点はもう1つあります。それは「標準化」を軸にしていることです。例えば、カスタイズやアドオンを重ねたシステムの運用をアウトソーシングしても、運用業務を“外出し”するだけ。煩雑な運用が変わることはなく、お客様の業務プロセスもレガシーなままです。「守り」の比重が高いコスト構造が変わることはありません。
その点、ストラテジックITアウトソーシングは標準化を進めたIIJサービスを中心としたマルチサービスを提供します。アウトソーシングによってIT環境を標準化することで、無駄をなくしていく。これによって継続的なコスト削減が可能になるわけです。
標準化のためには、お客様にシステムや運用業務上の独自性を捨てていただく必要があります。この決断は、時に痛みを伴うこともあるでしょう。大きな“果実”を手にするまでには、時間もかかります。そのためにインフラ要件の検討から調達・構築・運用に至るすべてのプロセスに、IIJが深くコミットします。これによって“身軽なIT”とコスト構造の転換を実現します。
加えて、IIJはDXのための人材シフトの最適化も支援しています。人材を含めたIT組織の構造変革が進むことで、お客様はDXをはじめとする戦略分野により多くの人材と予算を注力できるようになります。
中堅・準大手以下の企業の多くは、限られたIT人材と予算の中で、ビジネスのためのITの実現を求められています。しかし、システム維持運用のためにIT予算の大半を注ぎ込まねばならず、やりたいことに人も予算も費やせないのが現状です。
この構造を抜け出さない限り、DXの実現に向けたチャレンジは難しいでしょう。ここにメスを入れ、従来のITパートナーとのビジネス構造を変えていく。そのために提供を開始したのが、ストラテジックITアウトソーシングというわけです。
IIJは幅広いサービス事業とインテグレーション事業を展開しています。お客様のニーズを深く理解し、多様なシステム要件を実現する技術力と知見・経験も豊富です。またIIJのサービスの多くはクラウドや業界標準のオープン技術で構成されています。これらを活用することで、独自性を排除したシステムおよび業務プロセスの標準化が進みます。
運用業務を支える高度な技術力とスキルも大きな強みです。IIJは数多くのシステムインテグレーションを担っており、これが売上全体に占める比率は全体の3分の1強。お客様のインテグレーションを担うシステムエンジニア(SE)は約1300名の陣容を誇ります。契約のお客様には、この中から特に経験豊富なSEを「アカウントSE」にアサインします。そしてこのアカウントSEがお客様に成り代わって業務を推進していきます。
今回のサービス提供にあたり、IIJは「コストパフォーマンス向上センター」を新設しました。ここが中心となって、蓄積されたナレッジや最新技術トレンドを検証します。この結果をもとに、変革を支えるシステムアーキテクチャの確立、コストパフォーマンス向上に向けた運用改善方式の策定、機能拡充案などを取りまとめ、アカウントSEを支援します。
提供価値のさらなる向上を図る活動も進めています。運用の自動化を推進するIIJ統合運用管理サービス(UOM)の機能拡張はその1つです。多様なシステムの業務プロセスを1つのプラットフォームで完結できる仕組みを目指しています。業務フロー、サービスメニューのデリバリ、インシデント対応などを自動化/定型化し、業務負荷を低減。業務の属人化を解消することで、業務品質の均一化とスピードアップも可能になります。将来的にはアプリケーションの開発・デリバリ・運用も1つのプラットフォームで実現できるようにする計画です。このプラットフォームは2021年以降、順次提供を開始する予定です。
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、世の中が大きく変わろうとしています。ビジネスを支えるITにも「ニューノーマル」時代に対応した変革が強く求められています。運用業務を“外出し”するだけのアウトソーシング体制を見直し、「守りのIT」から「攻めのIT」に転換することが急務です。IIJはすべてのITインフラ業務をKPIの達成と共に請け負う“戦略的アウトソーシング”の提供を通じ、お客様の変革と成長戦略の推進を強力に支援していきます。