#5 スケジューラもメールもMicrosoft 365へ移行。ユーザを第一に考えたIIJの移行方法とは

特集

IIJの情シスはどうやって自社デジタルワークプレース(DWP)を実現したのか?

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業務に必要不可欠なスケジューラとメールをMicrosoft 365へ移行。ユーザの利便性を第一に考えて、IIJの情シスが選択したちょっと変わった対応とは?移行の背景や方法について、詳しく聞きました。

目次
  1. 自社開発のスケジューラからMicrosoft 365へ
  2. メール環境をオンプレミスからMicrosoft 365へ
情シス513人に聞いた
「メールセキュリティに関するアンケート調査レポート」
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登場人物

IIJ 情シス

関 一夫

IIJグループの社内ITインフラを統括。
インフラからアプリケーションまで豊富な知識と経験を備える

IIJ 情シス

青木 昌貴

スケジューラ移行プロジェクトを担当。
自社開発のスケジューラからMicrosoft 365へスムーズな移行を実現

IIJ 情シス

森 耕平

IIJグループ全体のメールシステムの企画運用を担当。
オンプレミス・クラウドのハイブリッド環境で安定した運用を推進

(聞き手) IIJマーケティング担当 向平

自社開発のスケジューラからMicrosoft 365へ

今回は、IIJのスケジューラとメール環境についてお聞きします。まずスケジューラですが、現在はMicrosoft 365を利用していますね。

青木

そうですね。元々IIJが自社で開発したWebベースのスケジューラを利用していましたが、2年ぐらい前に外部サービスへリプレースすることにしました。リプレースに当たって様々なサービスを検討した結果、Microsoft 365の採用を決定しました。

Microsoft 365のスケジューラは、ちょっと独特の考え方というか仕様がありますよね。移行は大変だったんじゃないですか?

青木

苦労しました(笑)
一例をあげると、一度設定したスケジュールの編集があります。旧スケジューラでは誰でも編集できる仕様でしたが、Microsoft 365では基本的に予定登録した本人だけが編集できる仕様なんですね。その点、大きく考え方が異なるので。

それ、大きいですよね。その予定の参加者が別の参加者を追加したいことって、しょっちゅうありますし。IIJの旧スケジューラだけではなく、予定を全員が編集できるスケジューラって多いと思います。

青木

はい。なのでIIJでは全員に予定の編集権限を与える設定をすることで、その予定の所有者のスケジュールからにはなりますが、全員が編集できる環境を再現することにしました。やはり、それがIIJの使い方にマッチしていると思いました。

Microsoft 365のスケジューラに慣れないうちは「スケジュールを変更したのに自分しか反映されていない」というのが「あるある」ですが、みなさんのおかげで回避できているんですね。

青木

あとはデータのコンバートにも苦労しました。移行元が自社開発の製品なので、サードパーティの移行ツールが使えず、移行ツールの開発から行いました。

Microsoft 365側ではデータ移行用のAPIというか、インポート機能があるんですか?

青木

いえ、旧スケジューラのデータベースからデータをエクスポートし、Microsoft 365にメール送信して登録する仕様で、移行ツールを開発しました。Microsoft 365のUI上で登録した時と同じ動作になりますね。
そんな感じで考え方が全然違うスケジューラですし、社員のみなさんの操作トレーニングもありますので、念のため旧スケジューラとMicrosoft 365スケジューラの並行稼働期間を設けました。

そうでしたね。その間、新旧のデータの連携はどうしていたんですか?

青木

連携ツールを自社開発しました。双方向でデータ連携する必要があるので、これもなかなか大変でしたね。

おかげで他社の事例でよく聞くスケジューラ入れ替え時の混乱って、IIJの場合は少なかったと思います。
Microsoft 365に切り替えた時、想定以上にセッションが張られることでプロキシがひっ迫する話もよく聞くんですが、IIJの場合はどうでしたか?

青木

意識はしていたので、並行期間を設け、段階的に移行していく形をとっていたのですが、想像以上にプロキシサーバに負荷がかかり、一時的にアクセスが遅延する事態が起きてしまいました。
その時は対応に追われましたが、すぐにプロキシオフロードする環境が整えられたので幸いにも大きな問題とならずに済みました。

メール環境をオンプレミスからMicrosoft 365へ

続いてメール環境についてお聞きします。IIJでは、Microsoft 365と従来のメールサーバの2種類から社員が選べますよね。

IIJの場合、スケジューラのリプレースを先に完了させて、少し後にMicrosoft 365のメール機能もリリースしました。メール機能は、一部オンプレミスのメールサーバやセキュリティ系の機能と連携する必要があったので。

今は全体の約3割がMicrosoft 365のメールを利用していますね。やはり過去のメールの蓄積がありますので、簡単には移行できない方が多いみたいですね。

Microsoft 365を利用するならメーラーもOutlookの方が親和性は高いと思いますが、メーラーの切り替えって大変ですもんね。ユーザ側の作業で大量のメールデータを移行しないといけないですし、そもそも慣れたメーラーを使い続けたい方も多いでしょうし。

そうですね。情シスとしてはユーザの利便性を第一に考えて、2種類から選択できるようにしている、という意味もあります。
ユーザ自身が自分のタイミングで移行できるように、WebのGUIから変更できるツールを開発しました。

あの移行ツールはすごいですよね。私が以前勤めていた会社では有無を言わさず切り替えたので、社員が業務時間中にメールのコンバートをしないといけなくて、苦労しました(笑)

実は双方の環境を運用維持するのは大変なんですけどね(笑)
オンプレミス環境のサーバ台数も数十台レベルの規模ですし。

IIJでは、自社のサービス運用でもメールを利用します。例えば、お客様へのアナウンスにもメールを利用しているので、IIJ自身のコントロールで運用できるオンプレミスの環境も維持する必要があるんですよね。

あとは、グループ企業のメール環境も運用しているのですが、会社ごとにポリシー、運用、配送経路が違うところがありますので、個々にコントロールする必要があります。それを実現するのにオンプレミスの環境が必要ですね。統一できるところはなるべく統一するように調整はしていますが、すべては統合できないので。

なるほど、では今後も双方を運用する必要がある、ということですね。

そうですね。例えば、新入社員がメールを設定するときのデフォルトをオンプレミスからMicrosoft 365に変更するなど、徐々に移行を進めてもいいかもしれません。
Microsoft 365の良い点として、メールとスケジューラのUIがOutlookで統合されたり、Exchange Onlineでブラウザやスマホアプリで見られたりする点がありますしね。

今後は、メールに大きく依存している業務や運用を、何か別の方法へ移行することも検討できると思います。コミュニケーションツールとしてTeamsの活用も進んできましたので、より良い運用を模索したいですね。

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