デジタルマーケティングの重要性とDX推進

プロフェッショナルサービス第一本部 コンサルティング部

担当部長

濱名 元実

企業、中央省庁、政令指定都市、独立行政法人など多数のCMS導入プロジェクトをはじめとする、回線からデザインまでの幅広い分野におけるワンストップのプロジェクト責任者を経て、現在は、多くのWebサイトシステム構築経験を活かしデジタルマーケティングの支援業務に携わっています。
・2020年NORENオンラインセミナー~ニューノーマル時代の企業Web戦略とは~登壇
・NOREN Award 2019「Sales Partner of the year」受賞に寄与
・2012グッドデザイン・ベスト100受賞「日本科学未来館つながりプロジェクト」ディレクター

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現在のビジネス環境において、デジタルマーケティングは企業が理解しなければならない重要な要素の1つです。デジタルトランスフォーメーション(DX)とも密接に関連しており、従来のマーケティング手法の変革が求められています。デジタルマーケティングはなぜ重要なのか。いわゆる「KKD」とデジタル技術をどのように融合すべきか。更に昨今注目されている「インサイトマーケティング」や「インテントマーケティング」の活用方法まで徹底解説します。

目次
  1. デジタルマーケティングとは
  2. 従来の広告を超える価値提供が可能に
  3. KKD(経験、勘、度胸)とデジタルマーケティングの関係性
  4. インサイトマーケティングとインテントマーケティングとは
  5. IIJが提供するデジタルマーケティングの特徴

デジタルマーケティングとは

DXの本質は、データやデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。それは一朝一夕に実現できるものではなく、長期的なビジョンに基づいて進めることが大切です。

図1:DXの定義※

図1:DXの定義※

※経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0」を参考にIIJが作成

企業の成長戦略においてDXの推進が不可欠となる中、その一環としてデジタルマーケティングの重要性も高まっています。
デジタルマーケティングとは、インターネットやデジタル技術を活用してターゲットとなるユーザとの接点を強化し理解を深め、ブランドの認知度を高めたり、サービスや商品の販売を促進したりするマーケティング手法です。従来の広告とは異なる以下のような特徴があります。

リアルタイムデータの収集と分析

WebサイトやWeb広告、SNS、電子メールなどのデジタルチャネルを通じて、ユーザの行動データを即座に収集し、解析できます。

ターゲティングの精緻化

ユーザの行動履歴や嗜好に基づき、パーソナライズされた広告やコンテンツを提供することで、より効果的なマーケティングが可能です。

費用対効果の高い施策

デジタル広告の多くは従量課金制。特定のターゲット層に絞って効率的に予算を配分することができます。

従来の広告を超える価値提供が可能に

ユーザにどのように価値を提供するか。この点においてDXとデジタルマーケティングは表裏一体の関係にあります。データやデジタル技術を活用することで、主に以下のことが可能になります。

データドリブンが切り開く意思決定

ユーザデータを収集・分析することで、ユーザのニーズや嗜好を深く理解できます。このデータ活用(データドリブン)の過程はDXにおいて中核をなす部分であり、データに基づく意思決定を可能にします。

新たなユーザ体験(CX)の創造

企業とユーザとの接点を拡大し、最適かつタイムリーなユーザ体験(CX/UX)を実現できます。ユーザが求めているコンテンツや情報を、絶妙なタイミングで提供することができるのです。従来の「マス向け」から「個々のユーザに合わせた」マーケティングが可能です。

ビジネスモデルの変革

DXの推進により、企業はユーザデータを用いた新たなビジネスモデルの創出が求められます。例えば、サブスクリプション型のサービス提供や、デジタルコンテンツを活用した販売戦略の転換などが考えられます。デジタルマーケティングはこうしたビジネスモデルの変革においても、ユーザ理解や販売方法の検討について有効な情報を提供してくれます。

KKD(経験、勘、度胸)とデジタルマーケティングの関係性

このようにデジタルマーケティングは従来のマーケティング手法を変革し、新たな価値創出とビジネスモデルの変革を促します。しかし、企業におけるデジタルマーケティングの取り組みはあまり進んでいないのが現状です。理由の1つが、根強く残る「KKD」です。
KKDとは「経験、勘、度胸」の略で、日本企業の意思決定において重要視されてきました。経験豊富な社員や過去の成功体験に基づく直感をもとに意思決定することで、今まで一定の効果を発揮してきました。
しかし、急速に変化し先を見通すことが難しいVUCA時代には、KKDだけに頼る判断には限界があります。その象徴がコロナ禍です。未曽有の事態が生じ、その影響により過去にはないような生活様式の変革が起こりました。KKDだけに頼ることなく、その強みを活かしつつ、データに基づく意思決定とのバランスを取ることが重要です。

図2:KKDとデジタルマーケティングの融合

図2:KKDとデジタルマーケティングの融合

デジタル時代においても、KKDは重要な要素です。大切なことは、デジタルデータによって、その精度を上げていくことです。具体的には、以下のような活用法によってKKDとデジタルマーケティングの融合が進むと考えられます。

経験をデータで裏付ける

長年のマーケティング経験や市場の知識に基づく勘や直感を、データ分析によって裏付け検証します。例えば、新しいサービスが市場で成功する可能性が高いと経験的に感じた場合、その市場のユーザ行動データをもとに仮説を検証することで、リスクを軽減することが可能です。

勘をデジタルテストで実証する

直感的に「このWeb改修が良い」と感じた場合、テストマーケティングによってその効果を検証します。これにより、感覚的な判断に依存することなくデータに基づく裏付けを得ることができ、より正確なマーケティング施策が可能になります。

“度胸ある決断”をデータで支援する

高リスクのマーケティング施策を実施する際、データを活用することで、リスクの予測やシミュレーションが可能です。“度胸ある決断”を根拠のない博打ではなく、データに基づく正しい決断に変えていけます。

インサイトマーケティングとインテントマーケティングとは

デジタルマーケティングはユーザの行動や意図を的確に把握し、そのニーズに応えるための「施策」がキモになります。その施策には大きく2つのアプローチがあります。「インサイトマーケティング」と「インテントマーケティング」です。どちらもビッグデータを活用するのが特徴です。
インサイトマーケティングはユーザの心理的な洞察(インサイト)に基づき、潜在的なニーズや欲求を引き出し、それに応えるマーケティング手法です。デジタルデータを用いてユーザの購買行動や興味・関心を分析し「なぜそのような行動を取るのか」という動機や感情を理解することに重きを置いています。
インテントマーケティングはユーザの行動や検索履歴から、「何をしたいのか」「どんな情報を求めているのか」「何を買いたいのか」という意図(インテント)を把握し、その意図に沿ったコンテンツや広告を提供する手法です。
どちらも自社サイトに訪れたユーザを分析しただけでは実現は困難です。データ数が限られる上、バイアスの影響も懸念されるからです。ユーザの行動や意図を精緻に理解するためには、自社サイトに訪れていないユーザにも目を向ける必要があります。それが可能になったのは、ビッグデータによって市場全体(Webにおける市場)を俯瞰できるようになったからです。インサイトマーケティングとインテントマーケティングの違い、活用シーン、強み・弱みなどは下の図の通りです。それぞれの強み・弱みを相互に補完し、最適な解を考えることが重要になってきます。

図3:インサイトマーケティングとインテントマーケティングの比較

図3:インサイトマーケティングとインテントマーケティングの比較

IIJが提供するデジタルマーケティングの特徴

デジタルマーケティングにはデータの活用が不可欠です。そのデータを効率的かつセキュアに活用し、効果的な施策を展開するためには、ネットワークやクラウド、セキュリティ、コンテンツやデザイン制作、アクセシビリティやユーザビリティ、Webログ解析など多様な技術・サービスの組み合わせが必要です。
IIJはこの取り組みをトータルにサポートします。デジタルマーケティングに必要な技術・サービスを網羅したポートフォリオを描き、企業や中央省庁、自治体、各種団体などへオールインワンで提供してきました。マーケティング支援の取り組みは20年以上の実績があります。特にWebログ解析は運用案件において求められることが多く、IIJの強みと言えるソリューションです。
従来のWebログ解析は、自社サイトに訪れたユーザ(既知ユーザ)を分析するのみで、市場に多く存在する未訪問のユーザ(未知ユーザ)を分析することができませんでした。一般的に未知ユーザは市場の90%以上(寡占市場は除く)と言われ、そのユーザ分析は手付かずの状態でした。
IIJはこの課題を解決するソリューションも提供しています。それが「インターネット行動ログ解析」です。

図4:Webログとインターネット行動ログ解析の違い

図4:Webログとインターネット行動ログ解析の違い

精度の高い属性情報を含んだビッグデータを活用することで、今まで難しかった市場全体の分析が可能です。未知ユーザの行動まで高精度に分析できるのです。精度の高い属性情報を含んだビッグデータの特徴を最大限に生かし、“この情報でしか分析できない”深い洞察を提供します。
ターゲット層を絞り込むことで、より多くの潜在顧客層に、より緻密なマーケティングを展開できます。インサイトマーケティングやインテントマーケティングの観点も取り入れることができ、今まで以上に精緻な競合分析や市場分析も可能です。競合分析と市場分析は以下のような情報を提供します。目的や活用シーンは図5の通りです。

競合分析

競合サイトとの比較精度の高い属性情報をもとに分析し、お客様が狙ったターゲット層に情報が届いているのか、また広告戦略がマッチしているのかを分析します。

市場分析

検索キーワードを1つの市場と捉え、キーワードに基づく市場内におけるユーザのニーズや欲求を分析します。これをもとに、お客様サイトと市場とのギャップ分析や課題の抽出を行い、対応策も提案します。

図5:競合分析と市場分析の主な内容

図5:競合分析と市場分析の主な内容

DX人材の不足/育成が企業にとって喫緊の課題です。人材が限られる中、デジタルマーケティングにリソースを割くことは難しいのが実情でしょう。本ソリューションはこうしたお客様にとって有効な一手となります。「DX推進の一環としてデジタルマーケティングに着手したい」「従来手法をデータとデジタルで高度化したい」といったニーズにも対応可能です。IIJは多様なポートフォリオと長年培った知見・ノウハウを生かし、“成果を上げる”デジタルマーケティング施策を強力にサポートしています。