データセンターのハウジング・コロケーション・ホスティングは何が違う?特徴や選び方を解説

IIJ 基盤エンジニアリング本部 データセンターサービス部 データセンターサービス課

平川 一貴

執筆・監修者ページ/掲載記事:5件

企業のサーバをデータセンターに移設・新設する際には、「ハウジング」「コロケーション」「ホスティング」という選択肢があります。それぞれのサービスには特徴があり、目的や運用体制に応じて最適な選択が求められます。本コラムでは、各サービスの違いや選び方について解説します。

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目次
  1. ハウジング・コロケーション・ホスティングの違いとは?
  2. ハウジング・コロケーションがおすすめのケース
  3. IIJのハウジング・コロケーションサービス
  4. ホスティングがおすすめのケース
  5. IIJのホスティングサービス

ハウジング・コロケーション・ホスティングの違いとは?

データセンターは利用形態から「ハウジング・コロケーション」「ホスティング」に大別できます。各サービスの特徴を踏まえて、自社の要件やリソースに応じて選ぶことが重要です。

データセンターの主な形態とハウジング・ホスティング・コロケーションの比較

一般的な違いであり、提供内容や範囲はサービスにより異なります。
項目 ハウジング・コロケーション ホスティング
提供内容 ラックや電源などの物理スペース サーバやアプリケーションを含む一式のサービス
価格 ホスティングに比べ高価 ハウジング・コロケーションに比べ安価
カスタマイズ性 高い(自社で機器を用意) 低い(ベンダーの提供する環境を利用)
構築・メンテナンス 自社で実施 ベンダーが実施
トラブル時の対応 自社対応 ベンダー対応
セキュリティ 自社で設計・運用 ベンダーが提供
拡張性 高い 限られる

ハウジング・コロケーションの特徴

ハウジング、コロケーションはともに、データセンター内のラックやスペースを借りて、企業が所有するサーバ機器を設置・運用する利用形態です。通信環境、電源、空調、セキュリティなどデータセンターが提供する高品質なインフラを活用しながら、サーバやネットワーク機器の準備・管理は自社で行います。これにより、安定した運用環境のもと、自社の要件に応じた柔軟かつ自由度の高いシステム設計・運用が可能になるという利点があります。ハウジングとコロケーションは同じ意味で使われますが、利用形態により、鍵付きサーバラックで区画された空間を借りる形態をハウジング、専用サーバ室全体または共用サーバ室の一部を借りる形態をコロケーションと呼ぶ場合もあります。

ホスティングの特徴

ホスティングはベンダーが用意したサーバやアプリケーション環境を利用する形態です。ユーザ企業は自社で機器を持たず、すぐに利用開始できるほか、運用・保守はベンダーが対応するため、導入、管理運用にかかる手間を抑えることができます。一方で、サーバの種類やOSのバージョンなどはベンダーの提供メニューから選択することになるため、ハウジング・コロケーションに比べて、カスタマイズ性は限定されます。

※参考 「データセンターセキュリティ ガイドブック2017年版」(日本データセンター協会、JDCC)(PDF)

ハウジング・コロケーションがおすすめのケース

ハウジング・コロケーションがおすすめのケースとしては以下のようなものがあげられます。

自社の要件にあわせた自由度の高い設計・運用を実現したい場合

サーバなどの調達から設定、運用・保守まで自前で対応し、なおかつ長期的に利用したい場合は、ハウジングが適しています。

自社のサーバを継続して利用したい場合

運用中のサーバの設定を継続できるため、自社内のサーバルームを撤去しつつ、よりセキュアで安定した環境で自社サーバを管理、運用することができます。

IIJのハウジング・コロケーションサービス

IIJでは、国内最大級のバックボーンネットワークと高い運用技術を背景に、安定したインフラ基盤としてハウジング・コロケーションサービス「IIJデータセンターサービス」を提供しています。国内最高レベルの安全基準をクリアし、金融機関や自治体、公的機関などのミッションクリティカルなインフラとしてもご利用いただいています。

IIJデータセンターサービス(ハウジング・コロケーションサービス)の特長

IIJの大規模バックボーンに直結

お客様のラックから構内回線に接続するだけで、IIJの高速・大容量バックボーンへ直結。安定したネットワーク基盤をご利用いただけます。BCP・DR対策を目的とした冗長構成にも対応しています。

国内最高レベルの安全基準をクリア

国内データセンターはいずれも「データセンターファシリティスタンダード(※1)」の最高位「ティア4」または「ティア3」相当以上に適合。情報セキュリティや品質に関する国際規格にも対応しています。

業界最高水準の省エネ性能

多くのエネルギーを利用する事業者の使命として、カーボンニュートラルの実現に早くから取り組み、PUE 1.3台を達成しています(※2)。

(※1)日本データセンター協会(JDCC)が策定する基準

(※2)自社データセンターの実績。PUEはデータセンターの省エネ指標で、改正省エネ法により、目指すべき水準としてPUE 1.4以下が法的に定められています。

(関連記事)[インタビュー] IIJの白井DCCってどんなデータセンターなの?

国内主要都市と海外に展開する高品質な「IIJデータセンターサービス」
(ハウジング・コロケーションサービス)

ホスティングがおすすめのケース

ホスティングがおすすめのケースとしては以下のようなものがあげられます。

初期投資を抑えて、すぐにサービスを開始したい場合

サーバ、OS、ミドルウェアなどがあらかじめ用意されているため、導入までにかかる時間が短く、初期費用も抑えられます。そのため、プロジェクトのテスト運用、スタートアップ、新規事業など暫定的な利用が想定される場合や、迅速な立ち上げが求められるケースに適しています。

ITインフラの運用をすべて委託したい場合

サーバの保守・監視・障害対応などをすべてベンダーが行うため、社内に専門人材がいない場合や人手不足の状況では、ホスティングが適しています。

保守や運用費用を抑えたい場合

社内管理・保守に比べて人的リソースを削減できるほか、設備投資や保守契約などの固定費も不要になります。予算や人的リソースが限定される場合は、コスト効率の高い選択肢といえます。

IIJのホスティングサービス

IIJでは、企業サイトや公的サイトに最適な法人向けWebホスティングサービス「IIJクラウドWebホスティングサービス」を提供しています。サービス基盤には、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」(※3)に登録された自社クラウド「IIJ GIO」を採用し、高いセキュリティと安定性を実現。情報漏えいやサイト停止といったリスクにも、堅牢な対策が施されています。サービス性能と20年以上にわたる運用実績で、官公庁、自治体、銀行、大学など多くのWebサイトでご利用いただいています。

(※3)ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program):政府情報システムのためのセキュリティ評価制度。政府機関等がクラウドサービスを調達する際のセキュリティ・信頼性を評価する制度。ISMAPのセキュリティ要求基準を満たし、ISMAPクラウドサービスリストに登録されたサービスについて、安全性を評価されたものとして、政府は民間企業等に対しても調達時に参照することを推奨しています。

※参考 「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」(国家サイバー統括室)

IIJクラウドWebホスティングサービスの特長

安定性重視のサーバ設計

お客様ごとに独立した仮想サーバをご用意。他社の影響を受けにくく、安定したパフォーマンスを発揮します。

アクセス集中時も安心

一時的にアクセスが集中したら、即座にサーバスペックをアップ。サイトダウンを回避できます。

しっかりセキュリティ対策

セキュリティ対策オプションから必要な機能を選択するだけ。お客様のサイトに合わせた最適なメニューもご提案します。

Web担当者にうれしい機能

追加費用なしのステージング環境やサーバ証明書の自動更新など。Perl、PHP、データベースも最新バージョンをインストール済みです。

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