◇本記事はこちらの続きになります。
井原様
経営戦略って、経営のなりたい姿の話だと思うので、毎年変わるようなものじゃないし、1年、2年でなれるものでもないので、基本的には中長期的なものだろうなと思います。弊社では経営戦略を明文化はしてないですが存在はしていまして、計画自体は3年間で立てています。でも計画と戦略は全然違うもので、経営戦略は毎年変わるものではないので、そういう意味では「経営戦略を何年間で立てていますか?」という設問は、設定自体が私としては違和感がありました。IT戦略も、経営戦略があってのIT戦略ですので、毎年立てるものではないかなと思います。ToDoリストみたいなことは毎年立てていますけど。
井原様
弊社の場合は上場もしてなくて、オーナー企業なので、オーナーがやりたいことが経営戦略にかなり近しいですね。オーナーだけじゃなく、経営層は成長志向で、こんな姿になりたいんだって攻めの人が多いですね。経営のなりたい姿はかなり固まっているんですが、なりたいなと思ってもすぐになれるものでもないので、いろんな種を蒔いて芽が出てきて、チャンスが来たらやっと実現できるという感じです。
園様
弊社の場合は2030年に向けてなりたいビジョンと、5年ごとの中期の経営戦略を発表しています。それに基づいて、各年度の計画を立てています。それが浸透しているかについては、毎年、社長が年度始めにビデオで伝えていますけど、私は細かいことは覚えてなくても、こういう風に変わってほしいぐらいのメッセージさえ伝わっていればいいかと思います。我々、現場のマネージャーとかがこういう風に変わろうとしているよね、で成り立つと思うので。弊社はそれぐらいの浸透度はあるかなと思います。
籔田様
ここまでのアンケート結果を見た時に、大きい会社ほど戦略を大事にしているという結果が出ていましたよね。逆に従業員規模が少ない場合って、果たして戦略っているのかな?ない方がいいのかな?必然的に減っているのかな?とは思いました。弊社の場合は1,000人規模ぐらいの会社ですが、経営戦略とIT戦略しっかり立ててやっていますし、浸透度合に関して言うと、毎年、社員全員に対して今期の戦略や目標を理解しているかテストを実施しています。何回もやっていると慣れてしまいますが、みんな実施しています。なので、経営戦略、IT戦略の浸透のための工夫はしていますね。テストを嫌がる人は多いですけど。
籔田様
でも、いい機会だなと思いますね。やっぱりそういうのを知っていて仕事するのと、そうでないのとでは微妙に変わるんですよね。日々の仕事で判断に迷った時などに。それがベストだとは言わないですけど、皆さんが知っていることは非常に有意義だと思います。
籔田様
大きい流れは5年ぐらいですね。毎年微妙に戦術が変わるので。各部門が掲げているビジョン、こんな世界観を目指してます、みたいなのはあまり変わらないので、毎回テストに出てきて目にしている感じですね。
園様
例えば弊社では業務改善や、新しいビジネスを創るとかは各事業本部、グループ会社単位が主体になっているのですが、それに基づいて情報システム部がサポートするという体制になっています。ただ第三者の目がないと短視眼的な改善で、もっと全体のプロセス変えた方がいいんじゃないかとか、全体最適なことができないので、最近DXサポート組織をつくりました。各事業本部、グループ会社はまずDXサポート組織と相談して、どういうことをやるべきか考えて、情報システム部が具体化する、という流れになってます。戦略は情報システム部でつくっているわけではないですね。
園様
弊社のDXサポート組織のメンバーは、かつてそれぞれの組織の中で色々な成功体験、実績を持った人達です。実は専門でやっているわけではなく、兼務しています。今までの自分の経験、知見を他の部署でも活かしてほしいので、やってもらっています。業務プロセスを変えなきゃいけないだとか、もっと違う目線で新サービスを考えなきゃいけない、というところに注力しています。改善ツールとかまで細かくやっているわけではないですね。
園様
そうですね。
籔田様
戦略を立てて実行する時にすごく大事なことは、実行者がそれをよいと思っていることなんですよね。上から言われたからやりました、だと大抵は上手くいかないですね。そういう時に、自分も戦略を考える一員という状態をつくる、その状態でないにしても、これやることでこんな素晴らしいことが起きるんだよ、というイメージができている状態でないと、なかなか難しい。やっぱりその部門を横断して実行するので、これをやるとこっちは得するけど、こっちは得しない、みたいなことで喧嘩になってしまうので。
井原様
いい枠組みだなと思いました。よくも悪くもテクノロジー起点とか、IT起点で考えると、どうしてもビジネスでやりたいこととズレてしまう。ビジネス側にオーナーシップを持ってもらうとなると、エクシオグループさんの体制、やり方はいいなと思いました。
籔田様
そうですね。相談してくる人は、自分の周りを見てここだけ改善できればいいって提案してくるんですけど、私はそれをきっかけに、別の問題も一緒に解決できる方法を考えていますね。
井原様
現場から出てくる要望って日々の改善ですよね。この改善は積み重ねるべしなんですが、現場、マネージャー、役員層でそれぞれ見方が違うので、全部の話を聞かないといけないんですよね。でもやっぱり経営層とか、部門長がどうやりたいかは優先した方がいいんじゃないかと思いますね。弊社のIT部門は「ビジネスリレーションチーム」というのを作っていて、現場の人とやり取りするのはサービスをデリバリーするチームで、部門長とやりとりするのはビジネスリレーションチームという役割に分担しています。部門長・経営クラスと、リソース配分の話とか、日々積み上げられている改善要望の話をしていると、部門長・経営クラス側が優先度を決めてくれるんですね。現場はいかに効率よくやるか、楽になりたい、というケースが多い一方で、部門長とかはもっと働けと思っているので、目線が合わないんですよね。ITとしては両方見ながら、でもやっぱりビジネスでやりたいことを助けるという意味では、部門長、経営層がやりたいようにやる方がいいと思うので、そんな関係があったらやりやすいかなと思います。
井原様
弊社はIT部門が一緒になってプロジェクトチャーターを作りつつ、一緒に事前評価書も作っています。そこで計測する効果は定量、定性、どちらも測定します。システムの導入目的と、そのためにどの仕事のやり方を変えるのか、事業部門と約束して、導入後は「本当に変わりましたか?」って効果を確認しています。大抵は上手くいっているんですけど、上手くいってなかったら、言ってたことと違うじゃん、ということで、追加策で何をやるか決めていますね。貴重なリソースを割いて対応しているため、やった甲斐がある状態にしたいので、事前に事業部門と約束して進めることを大事にしています。
園様
弊社もプロセスの可視化支援までやってあげないとだめかな。そこまでサポートするようにはしています。
籔田様
過去にやったプロジェクトでは「業務プロセスの最適化」が1番大変でしたね。色んなプロセスがある中で、それを汎用化しましょう、一律化しましょう、システムに合わせましょう、みたいなことをやりましたが、本当に大変でした。
園様
現場の抵抗がありますよね。
籔田様
まず理想形をつくるのですが、今どうなっているかを調べてみたら微妙に違うとかね。最適化することで最終的にはよくなるんですが、そこに至るまでは本当大変でした。
園様
ベタな話ですけど、プリンターをなくすから紙に写し出しているプロセスなんか絶対にダメだよという状況になって、無理やり新しいやり方をさせるということもありましたね。
籔田様
正直、現場からは嫌がられるので誰もやりたくないじゃないですか。それをやらなきゃいけないのが戦略なんですよね。こういう戦略を会社で打ち出しているからこれはやらなきゃいけないんだという強制力により、納得してくれて、しょうがないな、じゃあ協力するかとなるので。
籔田様
私はいつもITのロードマップ5年分ぐらいを1枚にまとめて、ことあるごとに出してますね。「Dr.STONE」って漫画をご存知ですか?誰が見てもゴールできるプロセスを得て、進めていくんだよ、というのが分かりやすく書いてあるんですが、それを真似た感じです。経営戦略的に解決しなければいけないボトルネックがあって、順を追っていけばここは解決しますというのを誰から見ても分かるようにしておく。5年ぐらいかかっているんですけど、段々とゴールに近づいてきています。そういうのを広めていると、会社内でそれに関するお話が来た時に、これやるのにいい機会ですね、という話になったり、こういうのをやろうとしているんですよね、って勝手に相談がきますね。
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