※ IIJグループ広報誌「IIJ.news vol.159」(2020年8月発行)より転載
IIJはパートナー企業と共に、暮らしや産業など、様々な場面を便利にする“IoTソリューション”を提供しています。ここでは、農業、住宅、食品流通、見守り、産業・工場の5分野について活用事例をまとめてみます。
IIJ.news 編集部
IIJは2017年から農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の支援を受け、水田の水管理を省力化する、低コストなICT水管理システムの開発を進めてきました。このプロジェクトを踏まえて、水田の水位と水温を測定するIoTセンサや、複数のセンサから収集したデータをクラウドに送信するための無線基地局、測定値を遠隔からスマートフォンやタブレットで確認するための専用アプリなどをセットにした「水管理パックS」を2020年3月から提供しています。また、株式会社笑農和が提供する自動給水弁「PaditchValve 01」も併せて使用することで、水田の水管理にかかる手間を大幅に削減できます。更に、電源が確保できない地域でも無線通信を可能にする、ソーラーパネルと蓄電池を組み合わせた無線基地局のDIYパッケージも2020年6月から販売を始めました。
ネコリコホームプラスは、LINEで自宅の状況を教えてくれるホームIoTサービスです。温湿度だけでなく、目に見えない空気の汚れやCO2濃度を測定。わかりやすいメッセージで配信し、快適な居住空間を実現するお手伝いをします。
食品の製造・保管・販売・提供を行う現場で、HACCP(※)に対応した温度データの自動収集と異常監視・通知を低コストで簡単に行えます。温度を測るセンサー、データをクラウドに送るゲートウェイ、通信用 SIM、データを保存し可視化するクラウドサービスなどを利用できるソリューションです。
※ HACCP:食品を取り扱う工程の国際的な衛生管理手法。2020年6月から日本でも義務化された。
SoftSIMは物理的なSIMに代わって、通信モジュールの特定領域に通信プロファイルを格納して、モバイル接続を可能にする仕組みです。物理的なSIMが不要になることで、機器の部品点数を減らしたり、基板の小型化を実現でき、更に、振動・温度・湿度といった環境の変動にも対応しやすくなります。このようなSoftSIMは、屋外や車載での利用に適しており、一例として、通学中の子供を見守る小さな携帯ロボットなどに使われています。
メーカに依存せず、多様な産業設備やセンサから様々なデータをリアルタイムに収集し、設備やラインの状況を可視化することで、設備の稼働率の把握、リモート監視・制御、予測保全などを可能にするプラットフォームです。日本ではIIJのクラウド上でWISE-PaaSを提供しており、安全・安心な閉域ネットワークとともに産業IoT特化型のクラウドサービスをご利用いただけます。
(イラスト/高橋 庸平)