第4話:校内無線LANを「見える化」で快適に

連載

先輩、教えて!
GIGAスクールのネットワーク

2020年度(令和2年度)のGIGAスクール構想に基づく環境整備が行われてから2年。
学校現場でのネットワーク利用にはどのような課題があり、どのような解決策が取られているのでしょうか。GIGAスクール案件に携わる営業部門のメンバーがその実経験などをご紹介。
今回は、校内無線LANで起こりがちな悩みについて、実際の事例をもとに解説します。

登場人物

けいじ先生(統括)

やたら先進的な試みを実施しているが実はせっかちとの噂も。先生役を買って出たが思い込みも激しい。 IIJ在籍25年を超える生き字引的レジェンド。

たくみ部長

優しさとマメが取り柄の中間管理職。当人はしっかり仕事をしているつもりでもどこか肝心なところが抜けている。

みなこ担当

入社1年目、右も左もわからないままいきなり教育業界担当を課せられ困惑している。先輩からの叱咤激励に耐え、日々勉強に励む健気な新人営業。


たくみ
けいじ先生、みなこさん。今日は訪問先で困ったことがありまして。ちょっと共有がてら相談させてください。とある学校の学内LANのお話なのですが、無線LANが使える教室と使えない教室がありまして、授業に影響が出ているらしいのです。勿論ですがGIGAスクールの環境整備で1教室1AP(アクセスポイント)を設置したそうです。

みなこ
あれ、GIGAスクール構想のガイドラインに従って整備したはずなのに、ですか?早速壊れちゃってるのでしょうか?

けいじ
各教室、一律同じ場所にAPを設置していても、周りの様々な影響を受けます。私も実際にいくつかの学校で経験したことがあり、色々と対応に苦労しました。一部を紹介しましょうか。

【事例1】


けいじ
まず上の図ですが、APの設置位置が近すぎて、逆に不安定な環境だった例です。どちらの教室でも無線LANのアンテナ表示は「強い」のに、ネットワークが遅かったり途中で途切れたりと非常に不安定な状況でした。電波干渉やエリアカバーの問題と推測し、教室AのAPを停止してみたところ、すぐに快適な環境になりました。

たくみ
APってたくさんあればそれだけパワーが出るものではないのですか?ビームを束ねてドーン、みたいな。

けいじ
そのような機能を謳っている無線LAN製品もありますが、万能ではありません(笑)。また無線LANのSSIDは同じ名前としている学校が多く、どのAPにどの端末がつながっているのか、一見しただけではわからないのです。

みなこ
無線LANのアンテナが立っていたらつながっている、というわけではないのですね!授業中に気付いても手遅れってことですか…

けいじ
そのとおりです。文字どおり電波は目に見えませんから、授業において十分に利用できる状況、つまり十分な電波強度やエリアカバーされた設計が望ましいです。ただ、利用しているうちに近隣環境の影響なども受ける可能性があるため、電波サーベイなどを運用に取り入れて「見える化」を行うことが重要と考えます。

みなこ
あ、ここでも「見える化」なんですね!何でも見られてしまうと、透け透けで恥ずかしいですね。

けいじ
上記のように、私たちの過去の経験から試してみて、運よく解決できることもあります。でも、全体像や相関関係や問題の箇所などを浮き彫りにしてから手当てをした方が効果的ですよね。透け透けで恥ずかしいかもしれませんが、適切な対処ができるとスッキリするはずですよ(笑)。

【事例2】


けいじ
次はこちらのケースです。教室Aでは回線速度も出ていたのですが、隣の教室Bはまったく回線速度が出ない、というものでした。こちらの例のネットワーク構成の特徴がわかりますか?

みなこ
ううーん、何が違うんでしょう? 教室Aも教室Bも同じ作りに見えます…

たくみ
これ、わかります。以前担当していた大学のお客様にもいらっしゃいました!スイッチが数珠つなぎにつながっているんですね。一番下の横線が幹線とするとそれを分岐して分岐して…

けいじ
はい、そうです。校内の幹線を分岐させることで、各教室で同時に使用すると奥(図では右)に行くほど、どんどん帯域が先細っていく可能性があるわけですね。
このネットワークの構成においては、論理面でも課題が残っている可能性もあります。学校の中が同じレイヤー2(データリンク層)の面となっていると、ブロードキャストの通信が一面に流れ、これまた学内全体の使用帯域に影響を及ぼす可能性があります。

みなこ
物理構成も論理構成も「見える化」しないとわからない点があるんですね!

けいじ
わかってきましたね(笑)。GIGAスクール構想は、もともと5ヵ年の整備計画を1年間で実施するよう前倒しされました。コロナ禍もあった当時の状況からすると、最小限の労力で短期間にネットワーク工事を完了させるためには、従前のLANにツギハギするような対応も数多くあったと推測します。今後も実利用を進めていくうちに多くの課題が出てくるでしょう。都度、「見える化」と適切な対処を行っていく必要があると考えます。

企業や大学等での経験も活かしたベストな提案を行ってまいります。(続く)