第14話:1人1台端末環境 わが家の事情

連載

先輩、教えて!
GIGAスクールのネットワーク

2020年度(令和2年度)のGIGAスクール構想に基づく環境整備が行われてから2年。
学校現場でのネットワーク利用にはどのような課題があり、どのような解決策が取られているのでしょうか。GIGAスクール案件に携わる営業部門のメンバーがその実経験などをご紹介。
今回は、プライベートでもGIGAスクールの波に揉まれている新メンバーが登場。子どもたちの端末利用環境について聞いてみました。

※ 本記事は、利用者である子ども目線のコメントをベースに構成しているため、事実と異なる内容が含まれる可能性があります。

登場人物

けいじ先生(統括)

やたら先進的な試みを実施しているが実はせっかちとの噂も。先生役を買って出たが思い込みも激しい。 IIJ在籍25年を超える生き字引的レジェンド。

なおつぐ部長

まるで仏のようと評判の中間管理職。実は奈良育ちのおっとりとした性格なだけとか。プライベートでは5人の子育てに奔走しているらしい。

みなこ担当

入社1年目、右も左もわからないままいきなり教育業界担当を課せられ困惑している。先輩からの叱咤激励に耐え、日々勉強に励む健気な新人営業。


なおつぐ部長
4月からGIGAスクール案件の担当をしています。遅ればせながらのコラムデビューです。皆さま、どうぞよろしくお願いします。

みなこ
夏になってしまいましたが、ようやく、コラムデビューですね!おっとりしすぎですよ!
なおつぐ部長と言えば、5人のお子さんがいらっしゃるということで社内では評判ですよね。ぜひ、ご家庭のGIGA事情をお伺いしたいです。

なおつぐ部長
そうですね。わが家は、高校生1人、中学生2人、小学生2人がいます。学校から貸与されたChromebookが、いつもリビングの床に転がっています(苦笑)。
夏休みになったので、GIGA端末をどういう使い方をしているか、中学生と小学生の子どもに聞いてきたので、ご紹介します。学校の先生方が目指されている方向とそぐわないわが家の実態があると思いますが、そこはご容赦を……。1つ目の質問として、学校でどんな使い方をしているか聞いてみました。

Q.学校で Chromebookをどれくらい、どんなふうに使っている?


次女:
中2
  • 学校では毎日使っている。
  • 毎朝15分、eライブラリをやっている。何をやるかは自分で選んでいる。
  • 数学:使わない。
  • 国語:使うことがある。例えば、漢字の音読みの漢音、呉音、唐音について調べたりした。
  • 社会:使っていない。
  • 理科:授業で使用している先生の作ったスライドを共有している。
  • 英語:使っていない。
  • 美術:写生対象を写真に撮って、それを見ながら絵を描いている。
  • 吹奏楽部のクラスルームがあり、部活連絡やマーチングなどの動画などを共有している。
  • 学校では持ち帰っても良いと言われている。ただ重たいので、自分は持ち帰らず学校に置いている。
  • 家庭学習としてeライブラリが使えるが、塾の課題があるからやっていない。
  • そもそも部活が忙しく、塾もあるので家にChromebookを持って帰る気持ちにならない。
  • ※ 家では、弟が持ち帰ってくる端末を使うことはある。「歌ねっと」で音楽を検索して聴いている。


長男:
中1
  • 学校では毎日使っている。
  • 理科:Google Formsで先生が作ったテストで授業の振り返り、調べ学習。
  • 英語:Google Formsで先生が作ったテストで授業の振り返り。
  • 技術:調べたりまとめたり。
  • 美術:写生対象を写真に撮って、それを見ながら絵を描いている。
  • 吹奏楽部のクラスルームがあり、部活連絡やマーチングなどの動画などを共有している。
  • ※ 今は持ち帰りはなし。今後、慣れたら持ち帰っても良いらしい。


次男:
小5
  • 国語:たまに使う。デジタル国語辞典で漢字を調べたり。
  • 算数:Google Jamboardに問題が書いてあって、解き方や式など自分の考えをまとめて、みんなに共有する。
  • 理科:先生が送ってきた動画を見る。実験動画や実験道具の使い方など。
  • 社会:Google Earth、Google マップで先生に言われた場所に行く。授業の振り返りをまとめる。
  • 音楽:Chrome Music LabのSong Makerを使ったりする。
  • ※ 端末の持ち帰りは個人の判断。たまに、eライブラリが宿題に出ることはある。本人は毎日持ち帰ってきている。家では、Google 検索で気になったことを調べることが多い。


三男:
小3
  • 学校では週に2~3回ほど使っている。
  • eライブラリ:宿題でやることはある。
  • 国語:あまり使わない。
  • 算数:計算ゲームのOCTatakiを使うことがある、かけ算の勉強として1人でする。
  • 理科:使っていない。
  • 社会:地元の地図を見るのに使ったことがある。
  • 調べ学習に使う:Google 検索がメイン。なぞなぞを作るための調べものや、気になったら何でも。よく調べるのは食べ物とか植物とか。

みなこ
ご家庭の子どもの声を聞くのは新鮮な感じがします。中学校では毎日使われているんですね。アプリケーションの名前も多数出てきていて、様々なサービスが活用されていることがよく分かります!

なおつぐ部長
親としては、Zoomを使ったリモート授業などの様子しか見ていないので、今回子どもに聞いたことで学校でどのように使っているか、その一端を見た気がします。一方で、親の立場では、家に持ち帰ったChromebookで何をしているのかとても気になったので、その辺りを聞いてみました。

Q.家ではどんなふうに使っているの?

  • プログラミングソフトのScratchで遊んでいる。動物を動かしたり、音楽を作成したり、色々できる。
  • タイピング練習にPopタイピングをよくやっていた。タイピング練習というよりも、スコアを競うゲーム感覚。
  • 先生から共有されたダンス動画を見て、運動会で踊るための練習を家でしていた。
  • 家では1時間くらい端末を使っている。

※ 学校では持ち帰りたい人は持ち帰ってもいいよと言われている。Scratchなどゲーム感覚で楽しいから持ち帰っている。宿題のためではない。家にはない遊び。調べ学習にも使っている。自分的にはScratchが一番好き。あとは、バーチャルピアノ、Chrome Music Labなどで音楽を作っている。Scratchでも音楽が作れる。

※ 好きなソフト 1位:Scratch、2位:Chrome Music Lab、3位:バーチャルピアノ


みなこ
プログラミングソフトが人気なんですね。タイピングソフトもそうですが、ゲーム感覚で遊んでいるんですね!

なおつぐ部長
そうなんです。宿題のために端末を持ち帰る……というよりも、ScratchやMinecraftなどゲームをする感覚で持ち帰っていて、家にはない遊びをしているという感じですね。何かを作って動かすとか、音楽を作るとかが楽しいようです。うちの子どもたちは、日ごろから、造形折り紙や工作や野菜作りなどリアルなモノづくりが好きでやっているので、「モノづくり」という点でプログラミングに通じるものがあるのかなぁと思って見守っています。

けいじ
何かを作るということは、子どもにとって良い遊びなのでしょうね。家で端末を触っていることについて。ご家族は何か仰っていますか?

なおつぐ部長
はい。今回、妻にも意見を聞きました。持ち帰り端末は時間帯や使用時間に制限がないので、多い時は2時間近く端末に向かっているらしく、妻はその様子を見て「長い時間やりすぎ!」と怒っています(苦笑)。学校の端末で何をやっているのかよく分かっていないこともあって、ゲーム機ではないけれど、ずっと画面を見てカチャカチャやっていることが気になるようですね。ちなみに、スマホやタブレットも与えていますが、それは時間と時間帯制限を入れているので、その中で上手くやりくりしているようです。

妻のコメント

  • 家でChromebookは使ってほしくない。時間や使い方を管理するのが大変。そもそも、子どもがChromebookで何をしているのかもよくわからない。家で指導せよと言われても、自分がそもそもChromebookを使ったことがないので管理できない。
  • タイピングなど、長く使っているので目が悪くなりそう。端末自体に時間制限もなく、家だとやりすぎる。
  • 学校から遊びに使わないでと言われても、指導や機能制限をすり抜けて、使いたいように使っていることがあるらしいから心配。
  • ただでさえ重たい荷物なのに、端末も加わると重たくて荷物が大変。
  • リビングにChromebookがいっぱいあって邪魔。つねに3台くらい転がっている。

けいじ
確かに、使ったことのない学校端末で何をしているか、見えないからモヤモヤして不安に感じるという奥さんのお気持ちは、他の保護者の方も同じように感じられているかもしれませんね。

なおつぐ部長
今回、子どもたちにヒアリングしたことで、私自身も端末でどんなことをしているのか知りました。更に今回のヒアリングでは、学校でのリアルな利用実態についても聞けました。

子どもから聞いた利用の実態

  • 授業中に指示された課題と違うこと(例えばScratchで投稿されているゲームなど)をやっている人がいる。先生が近付くと別画面に切り替えて平静を装うなど知恵のある友人はいて、みんながそれを真似したりしている。
  • 制限されているはずのYouTubeコンテンツを見ている人もいる。制限をすり抜ける方法を子どもたちで共有している。
  • 最近はタイピングソフトの利用はしないよう先生に言われている。

    ※ 以前タイピングソフトブームがあって、友人は全体的に一定のタイピングができるようになってきている。タイピング練習というよりも点数を競うゲーム性が強くあり、休み時間にもずっとタイピングをやっている状況があり、先生から使用について注意されている様子。

  • Scratchはゲームも音楽も作れるし、みんなよく使っているアプリ。Scratchで作ったモノの投稿機能は制限されているが、他の人が投稿されたものは見られるので、ゲームとして遊んでいる。
  • Chromebookでプレゼンスライドを作ることはある。学校でプレゼン大会もあったりした。

みなこ
やはり、アプリのゲーム性に子どもたちが夢中になっているという実態があるんですね。こうした子どもたちの興味関心を上手く学習につなげるために、先生方がご苦労されている姿も想像できますね。

なおつぐ部長
そうですね。今回はわが家の子どもの目線、親の目線から書いてみましたが、親として、子どもの端末の使い方を理解していないことが改めて分かりました。特に、どこか遠いと思っていたプログラミング教育が、家庭に浸透しているくらい身近なものであると知ったのは新しい発見でした。わが家のGIGA端末の使用実態は先生方の意図せぬ形となっているのかもしれませんが、私自身も子どもの利用方法を理解して、サポートしてあげることの大切さに気付けました。微力ながら、親が学校の意図するICT活用について理解して協力することも、1人1台端末の推進には必要なのだと考えさせられますね。

けいじ
子どもが5人もいたら、色んな使い方が分かるだろうから、気付いたことがあれば、これからも教えてくださいね!

なおつぐ部長
はい。身近な課題として、GIGAスクールの取り組みについて勉強しつつ、わが家のGIGA端末の活用について考えていきたいと思います!

子どもたちへのICT教育促進に向けて、学校現場の活用実態の把握にも努めてまいります。(続く