連載
先輩、教えて!
GIGAスクールのネットワーク
2020年度(令和2年度)のGIGAスクール構想に基づく環境整備が行われてから2年。
学校現場でのネットワーク利用にはどのような課題があり、どのような解決策が取られているのでしょうか。GIGAスクール案件に携わる営業部門のメンバーがその実経験などをご紹介。
今回はGIGAスクールにおける、学術情報ネットワークSINET(サイネット)の活用動向をご紹介します。
登場人物
けいじ先生(統括)
やたら先進的な試みを実施しているが実はせっかちとの噂も。先生役を買って出たが思い込みも激しい。 IIJ在籍25年を超える生き字引的レジェンド。
たくみ部長
優しさとマメが取り柄の中間管理職。当人はしっかり仕事をしているつもりでもどこか肝心なところが抜けている。
みなこ担当
入社1年目、右も左もわからないままいきなり教育業界担当を課せられ困惑している。先輩からの叱咤激励に耐え、日々勉強に励む健気な新人営業。
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けいじ
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今日は、皆さんから質問の多い「SINET」について、世の中の動向や私たちの見解をご紹介しましょう。
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たくみ
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待ってました!教育委員会など多くの方が興味をお持ちで、「IIJならば詳しい情報を持っているでしょう?」とよく質問されますね。
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みなこ
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私も聞かれたことがあるんですが、実のところ何がどう関係するのか全然分かってないです!でもそれだけ注目度が高いってことは、何かGIGAスクールの救世主的な役割があるのでしょうか!?
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けいじ
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まあまあ落ち着いてくださいね(笑)。まずはSINETの概要について、次に国の施策とどのように関わっているのか、SINETの有効なポイント、という順で触れていきましょう。
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けいじ
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まずSINETの特徴ですが、何と言っても強大なバックボーンです。各都道府県に1箇所以上のアクセスポイントがあり、アクセスポイント間はなんと400Gbpsの超広帯域で相互接続されています。
もう1つは豊富なVPNサービスです。レイヤー2(データリンク層)またはレイヤー3(ネットワーク層)のVPNサービスを標準で提供しています。
更には30を超える商用クラウドと相互接続環境も実現しており、国内最大の学術情報ネットワークとしてサービス提供を行っています。
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たくみ
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400Gbps?超異次元な数字過ぎてピンとこないですね…
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けいじ
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学術としての利用だけではなく、皆さんご存じのスーパーコンピュータ富岳(ふがく)や、天文・医学などの様々な研究データの相互通信に使われています。
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みなこ
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…(ぽかーん)
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けいじ
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さて、SINETですが従来は大学や研究所向けに開放されたネットワークであり、その他組織の利用は産学共同研究など限定的なものとなっています。
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みなこ
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あれれー、小学校・中学校・高等学校へも開放されているってお聞きしましたが?
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けいじ
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現時点ではSINETの規定を満たす学校や、教育委員会のみに限定されています。一方、令和6年度中の小学校・中学校向けの開放に向けて、文部科学省は令和2年度から毎年実証研究事業を行い、その有効性を検証しています。IIJも令和3年度の実証研究事業に採択され、全国6団体様と各種検証を行いました。
【令和3年度 初等中等教育段階のSINET活用実証研究事業】
- 概要
- 実施期間:令和3年5月~令和4年3月
- 実証団体、拠点数(学校数):6団体、174校
※ 詳細は文部科学省公式ホームページをご確認ください。
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けいじ
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文部科学省のお話に移りましょう。令和2年度からの実証研究事業の内容は、要約すると次のようになると私たちは認識しています。
- 教育委員会または学校からSINETへの接続方式の検討
- SINETへ接続した際の通信環境・教育的効果の測定
- より大規模団体の接続方式と効果の測定
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みなこ
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細かい中身はよく分からないですが、文部科学省も小学校・中学校・高等学校への開放には前向き、ということですよね!!
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たくみ
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中身は一緒に勉強しましょう…!
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けいじ
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はい、ぜひ勉強してください(笑)。開放に向けて非常に前向きに検討いただいているようですが、まだまだ多くの検討事項が山積みだとお聞きしています。私たちもこれらの実証研究事業やSINET接続の実績などをもとに、SINETの開放と教育現場での活用に向けて支援を続けていきたいと考えています。まだまだお話したい内容はたくさんありますが、今回はここまで。
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みなこ
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あああ、もっと聞きたいことがあります~!
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けいじ
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SINETに関してはお話が尽きませんね(笑)。 たくみさんが言うように、教育委員会の皆さまもとにかく多くのことをお知りになりたい状況なのでしょう。私たちの培ってきた経験や技術的知見などは、今後も本コラムやウェビナーなどを通じて皆様にも公開していきたいと考えています。
SINET利用にご興味をお持ちの教育委員会の皆様、気兼ねなくお問い合わせください。(続く)